更新日: 2021.11.09 厚生年金
「加給年金」は年齢差が大きい夫婦にメリットがあるって本当?
年金を受け取り始める時点で配偶者や子どもを養っている人は、通常の年金に追「加」して「給」付を受けられる可能性があります。夫婦の年齢差が大きいほど、受け取れる総額も大きくなる傾向にあります。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
加給年金とは?
加給年金を受け取れるのは「厚生年金の加入期間が20年以上」で、原則として「65歳時点で配偶者や子ども(前年の年収850万円以下)の生計を維持している」人です。
厚生年金(会社員や公務員が加入している年金制度)限定ですので、自営業でずっと国民年金のみに加入してきた人などは対象になりません。また、配偶者の加給年金は、配偶者自身も20年以上厚生年金に加入している場合はもらえません。
配偶者がいる場合の加給年金は、その配偶者が65歳未満であることも必要です。もし夫が65歳で妻が64歳なら、妻が65歳になって自分の年金を受け取り始めるまでの1年間、加給年金を受け取れます。
夫が65歳、妻が50歳なら、受け取れる期間は15年間です。1年あたりの受取額は同じでも、年の差があればあるほど受け取れる期間が長くなるため、総額が大きくなります。
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加給年金はいくらもらえる?
加給年金で受け取れる金額は、年金を受け取る人(夫婦の年上の方)の生年月日によって違います。2021年度は図表1のとおり決められています。
【図表1】
(出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」を参考に筆者作成)
15歳の年の差がある夫婦なら、年間39万円×15年=585万円を加給年金として受け取れる可能性もあります。
加給年金の金額はねんきん定期便に記載されている「将来受け取れる年金の見込み額」には含まれていない(※)うえに、受け取るためには「加給年金額加算開始事由該当届」を提出するなど手続きが必要です。もらい損ねないよう注意しましょう。
配偶者が65歳になったら「振替加算」がある
加給年金は「配偶者が65歳未満であること」が支給の条件になっています。配偶者が65歳になると加給年金はもらえなくなりますが、その代わりに、配偶者が受け取り始める年金に金額が追加される「振替加算」という仕組みがあります。
(出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」より抜粋)
こちらも受け取りにはいくつかの条件があります。また、「配偶者の」生年月日に応じて0~22万4700円(年間)までの間で金額が決まります。加給年金とは逆で、若い世代ほど受け取れる金額が減っていき、昭和41年4月2日以降生まれの人は0円、つまり受け取れないことになっています。
まとめ:自分がもらえる年金額を知っておこう
一定の条件に該当すれば「加給年金」を受け取れます。加給年金を受給できる期間は年齢差があるほど長くなるため、同い年の夫婦に比べて受給額も多くなります。
年金制度は非常に複雑で、すべてを正確に理解するのは難しいです。ただ、自分や家族の将来を計画するために最低限「自分や配偶者がいつからいくらもらえるのか」のおおよその金額だけは把握しておきたいところです。年金事務所などに問い合わせると教えてもらうこともできますよ。
出典
(※)
日本年金機構「Q 「年金見込額のお知らせ」では、加給年金額は除かれますが、扶養している配偶者がいるときは加給年金額が支給されますか。」
(出典)
日本年金機構「加給年金額と振替加算」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表