更新日: 2021.11.10 その他年金
年金の未納期間がある…そんな場合「遺族年金」や「障害年金」の受給に影響はある?
しかし、これらの年金を受け取るためには、納付要件を満たしている必要があります。未納期間がある場合、どのような影響が考えられるのでしょうか。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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遺族年金受給のための納付要件
遺族年金には、亡くなった方が国民年金に加入していた場合に受け取れる遺族基礎年金と、厚生年金に加入していた間に亡くなった場合に受け取れる遺族厚生年金があります。
これらを受け取るためには、さまざまな要件を満たす必要がありますが、中でも年金納付要件についてはどのようになっているのでしょうか。
■遺族基礎年金を受け取るための納付要件とは?
遺族基礎年金を受け取るための納付要件は、大きく2つに分けられます。まず、受給要件のうち以下の2点の納付要件についてみていきましょう。
・国民年金の被保険者である間に死亡した時
・国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本に住所を有している方が死亡した時
このような場合に遺族基礎年金を受給するための納付要件は、「死亡日の前日において、保険料免除期間を含む保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上あること」となっています。
したがって未納期間があり、納付済み期間が加入期間の3分の2に満たない場合、遺族基礎年金は受給できません。
ただし、死亡日が令和8年3月末日までは、死亡時の年齢が65歳未満であれば、その死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
また、老齢基礎年金の受給権者もしくは老齢基礎年金の受給資格を満たした人の死亡の場合だと、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間の合計が25年以上あることが要件です。
■遺族厚生年金を受け取るための納付要件とは?
次に遺族厚生年金を受給するための保険料納付要件を見てみましょう。
厚生年金保険の被保険者である間の死亡、もしくは厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内の死亡の場合、遺族基礎年金と同様に「死亡日の前日において、保険料免除期間を含む保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上あること」が要件です。
また、死亡日が令和8年3月末日までの場合は、死亡時の年齢が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないことが要件となっています。
さらに、老齢厚生年金の受給権者であった方もしくは老齢厚生年金の受給資格を満たした方の死亡の場合、納付要件は「保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間の合計が25年以上あること」となります。
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障害年金を受けるための納付要件
障害年金も、その初診日が国民年金加入期間内もしくは20歳到達時前(年金制度に加入していない期間)および60歳から65歳までで日本に居住している場合は「障害基礎年金」を、初診日が厚生年金加入期間内であれば「障害厚生年金」を受給できることとなっています。
では、それらを受け取るための納付要件はどのようになっているのでしょうか?
■障害基礎年金を受けるための納付要件とは?
初診日(その障害の原因となる病気やけがで初めて病院で診察を受けた日)の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、保険料免除期間を含む国民年金の保険料納付済期間が3分の2以上あることが要件となっています。
また、保険料納付済み期間には、厚生年金保険の被保険者期間もしくは共済組合の組合員期間も含まれます。
ただし、初診日が令和8年4月1日前の場合で、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
また、初診日が20歳に到達する前であれば、国民年金制度に加入していないことから、納付要件は問われません。
■障害厚生年金を受けるための納付要件とは?
障害厚生年金を受けるための納付要件については、障害基礎年金と同様となっています。
まとめ
年金保険料の未納期間は、将来受け取れる老齢年金額に反映されないばかりでなく、障害基礎年金、遺族基礎年金の受給資格期間への算入もされません。
したがって、自分が一定の障害の状態になった際に障害年金を受け取ることができないばかりか、万が一亡くなった場合遺族に対する保障もされないこととなります。
年金保険料を納めることが難しい場合は、免除制度や納付猶予制度を受けることで、将来受け取る年金額についても一定の範囲で保証されるほか、受給資格期間への参入も行われます。
もし、年金を納めることが難しくなった際には、未納のままにしておくのではなく、免除制度や納付猶予制度を利用し、できるだけ未納期間を作らないようにしておきましょう。
出典
(※1)日本年金機構「遺族年金」
(※2)日本年金機構「障害年金」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員