更新日: 2021.11.09 その他年金

親の年金が少ないかも……?「年金生活者支援給付金」を請求できる要件とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

親の年金が少ないかも……?「年金生活者支援給付金」を請求できる要件とは?
老後の蓄えは十分あるのが理想です。しかし「親の年金が少ない……」「少しでも収入をあげる方法はないのか……」と悩みを抱えているケースもあるでしょう。実は老齢年金を受給している人を対象に、「年金生活者支援給付金制度」が設けられました。
 
今回は年金生活者支援給付金制度や、受給する際の注意点についてご紹介します。年金が少ない親のために活用できる制度を探している人は、当記事を参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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2019年にスタートした年金生活者支援給付金とは

 

年金生活者支援給付金とは、2019年10月の消費税増税に伴い導入された制度です。消費税率引き上げ分を活用し、公的年金などの収入が少なく所得が一定以下の年金生活者の生活を支援します。
 
年金生活者とは「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」を受給している人のことです。支給要件を満たしており、支援給付金を受けるためには認定請求手続きが必要です。ここでは請求の要件などを詳しく見ていきましょう。
 

給付基準額は月額約5000円

年金生活者支援給付金は、受給している年金に上乗せして支給されます。老齢基礎年金を受給している対象者に支給されるのは、「老齢年金生活者支援給付金」です。
 
月額5030円の基準額をベースに、次の計算式(1)(2)を合算して算出されます。
 

(1)保険料納付済期間に基づく額(月額) :5030円×保険料納付済期間÷被保険者月数480月
(2)保険料免除期間に基づく額(月額) :1万845円×保険料免除期間÷ 被保険者月数480月

 
例えば、被保険者月数480月のうち納付済月数が480ヶ月、全額免除月数が0ヶ月の場合、年金生活者支援給付金は5030円です。
 
前年の年金収入とその他の所得を合算した額が、78万1200円を超え88万1200円以下の人は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
 
これは計算式(1)に調整支給率を乗じることで、給付金の支給に伴い所得の逆転現象が生まれないよう調整された給付金です。
 

年収約88万円以下が請求の目安

 
「年金が少ない」とは具体的にいくらでしょうか?「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件を見ると、88万1200円以下(2021年10月時点)とされています。
 
年金とその他の所得を合わせて約88万円以下であれば、認定請求を検討してはいかがでしょう。ただし支給される金額は毎年度、老齢基礎年金の額に基づいて改定されるので注意してください。
 

年収以外に請求できる要件とは?

「老齢年金生活者支援給付金」における、年収以外の支給要件は次のとおりです。
 

●65歳以上の老齢基礎年金の受給者
●同一世帯の全員が市町村民税非課税

 

年金生活者支援給付金を受給する際の注意点

 

市町村が所得情報を確認できていれば、収入について証明する必要はありません。給付額が変動する点や、所得金額によっては給付金が支給されないケースがあることも知っておきましょう。
 
ここでは「老齢年金生活者支援給付金」を受給するにあたり、いくつか気をつけたい注意点をご紹介します。
 

原則、課税証明書等の添付は必要なし

市町村から所得に関する情報などが提供されるため、認定請求時に課税証明書などを添付する必要ありません。
 
ただし所得情報を確認できないケースでは、提出を求められることもあります。
 

給付額は物価変動の影響を受けて変動する

給付額は、一定ではありません。毎年度、「物価スライド改定」と呼ばれる物価の変動による改定があるので注意してください。
 

給付金が支給されない場合とは

次のようなケースのいずれかに当てはまる人には、給付金は支給されません。また該当する場合には、届け出が必要ですので給付金専用ダイヤルあるいは年金事務所に連絡しましょう。
 

●日本国内に住所がない
●年金が全額支給停止されている
●刑事施設などに拘禁されている

 
なお給付金専用ダイヤルは、0570-05-4092(ナビダイヤル)です。
 

要件を満たすなら年金生活支援給付金を請求しよう

年金生活者支援給付金の支給要件や、制度自体を知らない人も多いことでしょう。また親と子どもが、老後のお金の話をする機会は少ないかもしれません。
 
しかし親の年金が少ないと判明したときには、ぜひ制度を活用してください。親が支給要件を満たしていれば、2年目以降に手続きする必要はありません。要件を満たせるのであれば、請求を手伝ってみてはいかがでしょう。
 
出典
政府広報オンライン 「年金生活者支援給付金の支給のこと」
厚生労働省 「年金生活者支援給付金制度について」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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