更新日: 2021.11.10 国民年金
年金保険料の「学生納付特例制度」を利用した社会人。追納するタイミングはいつ?
では、追納できるのはいつまででしょうか。また、納付するタイミングはいつが良いのでしょうか。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
追納できるのは10年以内
学生納付特例制度に限らず、国民年金保険料の追納ができるのは、およそ10年以内です。
日本年金機構のホームページ内にある「国民年金保険料の追納制度」のページでは、追納に関して以下のように記載されています。
・追納ができるのは追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られています。
ここでいう「承認」とは、追納を行うに当たっての承認です。例えば、2021年11月中に追納が承認された場合、2011年10月分まで(=「月の前10年以内」)の保険料であれば追納できるということになります。
余談ですが、「そもそも追納をした方が良いのか」というご質問に対しては、「追納をした方が良いのではないか」と個人的にはお答えしています。理由は以下のとおりです。
●追納をすることで基礎年金が満額受け取れる蓋然性(可能性)が高まる
●追納した保険料については、社会保険料控除が適用される(所得税・住民税が軽減される)
●公的年金なので運用先が破綻するリスクは低い
追納するかしないかはご自身の判断によるものですので、この点については参考程度にご覧いただけると助かります。
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追納するなら早い方が良い
さて、追納できるのが10年以内ということが分かりましたので、「10年以内に追納すれば良い」とお考えになるかもしれません。それは確かにそうなのですが、もう少し踏み込んで「どのタイミングが良いか?」について考えてみましょう。
結論からいえば、「早い方が良い」となります。前掲の日本年金機構のホームページでは、以下のような注意事項が掲載されています。
・保険料の免除もしくは納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされますので、お早めの追納をお勧めします。
ここでのポイントは、「加算額が上乗せされます」というところで、「追納加算額」といわれます。つまり、従来の保険料に追納加算額を加えた金額を支払わなくてはいけないということです。
では、加算額が上乗せされるのはいつからなのかというと、「保険料の免除もしくは納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には」とあります。
例えば、2021年度に学生納付特例制度を利用した場合、「翌年度から起算して」とありますので、2022年度が1年度目、2023年度が2年度目という数え方になります。「3年度目以降に保険料を追納する場合には」加算額が上乗せされるので、2024年度以降に追納する場合には、加算額が上乗せされるということになります。
ここで注意が必要なのは、追納加算額については年度単位(4月から翌年3月まで)で考慮されるということです。
例えば、2021年4月に20歳になる学生がいるとします。この学生は20歳になったタイミングで国民年金の被保険者となり、保険料納付義務が発生します。そこで、学生納付特例制度を2021年4月から利用するとします。この場合、「保険料の免除もしくは納付猶予を受けた期間」は2021年度となり、追納加算額が上乗せされないためには2023年度末(2024年3月)までに追納する必要があります。
一方、2022年3月に20歳になる学生についても、同じように考えると、追納加算額が上乗せされないためには2023年度末(2024年3月)までに追納する必要があるということになります。
この点を踏まえると、追納するタイミングとしては「〇年以内に」というより「猶予を受けた期間の翌年度から起算して2年度以内に」というのが適切となります。しかし、それでは分かりにくくなってしまうので「なるべく早くに」とお答えする方が良いように思います。
まとめ
ここまで学生納付特例制度を利用した場合の追納期限と追納のタイミングについて解説いたしました。まとめると以下のとおりです。
●追納期限は「10年以内」
●追納のタイミングは「なるべく早くに」
追納期限は規定されたものですので動かすことはできませんが、追納のタイミングについてはご自身の判断によります。ですから、ご自身の家計状況や資金計画に照らし合わせて、無理のないタイミングで、それでいてなるべく早いタイミングで追納されるのがよろしいかと思います。
出典
日本年金機構 「国民年金保険料の追納制度」
日本年金機構 「学生納付特例リーフレット(令和3年度版)」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー