更新日: 2021.11.18 その他年金

年金手帳が2冊あるのは要注意! 年金の記録漏れのリスクと確認方法とは

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

年金手帳が2冊あるのは要注意! 年金の記録漏れのリスクと確認方法とは
公的年金は、20歳になったときから60歳まで加入し、原則65歳に基礎年金の支給が開始された後、亡くなるまで老後の大切な収入となる非常に大事なものです。
 
昭和49年11月以降の国民年金・厚生年金の加入者には「年金手帳」が交付されており、その内容が正しくなっているか自身で把握しておくことも大切ですが、年金の加入記録が連続していない、年金手帳が複数冊ある、記載されている基礎年金番号が「99」で始まっている場合などは、年金記録に漏れが発生している可能性があります。
 
こうした場合、どのように対応すればいいのか解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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年金手帳とは?

年金手帳は、昭和49年11月以降に国民年金・厚生年金に加入した人に交付されている手帳で、自身の基礎年金番号が記載され、年金の加入状況を記入しておくものです。加入状況の記載について時期によっては会社などが実施していた場合もあるようですが、基本的には個人管理になっています。
 
昭和49年11月より前に年金に加入している場合は、国民年金手帳(昭和35年10月以降)または厚生年金保険被保険者証(昭和29年5月以降)が発行されています。また、公務員で共済年金のみの加入期間の場合、年金手帳ではなく基礎年金番号通知書が交付されてます。
 
令和2年の法改正で、令和4年4月から年金手帳は廃止されることが決まっており、それ以後の新たな公的年金加入者には基礎年金番号通知書の交付に変わります。すでに年金手帳を持っている場合でも、紛失などによる再発行を受けることはできなくなります。
 

年金記録問題とは?

では、年金記録の漏れなどにつながる原因となり得る複数冊の年金手帳や、基礎年金番号が「99」で始まっている場合があることの理由は何なのでしょうか?
 
まず、年金手帳が複数冊ある場合の可能性としては、転職などで勤務先が変わった際に基礎年金番号を提出し忘れたなどの理由により、別の基礎年金番号で再度加入記録が登録されてしまったケースが挙げられます。
 
また、「99」から基礎年金番号が始まるのは、上記のような理由で個人が複数の基礎年金番号を保有している可能性がある場合について、仮の基礎年金番号として「99」で始まる番号が付与されるようになったためです。
 
これらの発端となったのは、平成19年の社会保険庁改革関連法案の審議中に年金に関する記録の不備や誤りなど多数の問題が発覚したことです。結果として約5000万件もの年金記録が、基礎年金番号に基づいて整理・統合されていないことが判明しました。
 
その他にも、会社には年金保険料が天引きされていた、または国民年金保険料を支払っていたのに、それら記録が社会保険庁に残っていないといった事例や、社会保険庁が不正に記録を修正していたという問題もあり、正しく年金保険料を納めていたにもかかわらず、本来受給できる金額より実際の年金額が少なくなってしまうといった事態が発生してます。
 

記録漏れの対処法は?

年金の記録漏れなどの対処は、どのようにすればいいのでしょうか?
 
まずはご自身の年金の加入記録が正しく記録されているか、確認することが必要です。日本年金機構から毎年「ねんきん定期便」が送付されてきますので、その記載内容 からこれまでの年金加入期間などが確認できます。
 
また、インターネットを通じて「ねんきんネット」に登録すると、さらに詳しい加入期間や保険料の納付状況、厚生年金の標準報酬月額なども確認することが可能です。
 
これらを確認して加入期間や勤めていた会社名などに疑問があれば、年金事務所に問い合わせることで年金記録の漏れや誤りについて調査をしてもらえます。
 
特に、前述したように複数冊の年金手帳を所持していたり、基礎年金番号が「99」で始まる場合は記録に不備がある可能性が高くなるので、すぐに確認する必要があるでしょう。
 
結果として年金記録に漏れなどがあった場合、記録が統合されることで年金額が数十万円増加するケースもあるようです。
 

まとめ

以上、年金記録の確認について解説しました。
 
本来であれば不要な手間ではありますが、すでに起きてしまっている事象であり、将来受け取る年金額が変わる可能性もある重要なことです。これを機会に、ご自身の年金記録を見直してみてはいかがでしょうか。
 
出典
日本年金機構 基礎年金番号・年金手帳について
厚生労働省 「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」の公布について(通知)
日本年金機構 こんな方はぜひ、年金記録に漏れがないかご確認を!
日本年金機構 「年金額回復の具体的事例」の取りまとめについて
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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