更新日: 2021.11.19 その他年金

障害基礎年金はどんな人が受給できる? 給付される年金額は月いくら?

執筆者 : 上山由紀子

障害基礎年金はどんな人が受給できる? 給付される年金額は月いくら?
公的年金には、病気やけがで障害が生じ、生活や仕事が著しく制限されるようになったときに支給される障害年金があります。障害年金には、もしもの場合に備えた保障制度としての機能がありますが、ここでは障害基礎年金について紹介していきます。
上山由紀子

執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者 鹿児島県出身 現在は宮崎県に在住 独立系ファイナンシャル・プランナーです。
 
企業理念は「地域密着型、宮崎の人の役にたつ活動を行い、宮崎の人を支援すること」 着物も着れるFPです。
 

障害基礎年金はどんな人が受給できるの?

障害基礎年金はどんな場合に受給できるのか、まずは受給要件を確認していきましょう(※1)。

【初診日について】

●国民年金に加入している期間に、障害の原因となる病気やけがで初めて診療(初診日)を受けたとき
●20歳前、または60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間に、障害の原因となる病気やけがで初めて診療(初診日)を受けたとき

【障害の状態について】

●障害の状態が、その原因となった病気やけがの初診日から1年6ヶ月を過ぎた日、または1年6ヶ月以内に病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)はその日に障害等級1級、または2級に該当していること。

なお、障害の状態を定める日のことを障害認定日といいます(※2)。

【保険料納付などの期間について】

●初診日の前日に、初診日が属する月の前々月までの被保険者期間で国民年金の保険料納付済期間、保険料免除期間を合計した期間が3分の2以上あること。
●初診日に65歳未満の場合、その前日において初診日が属する前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。
●20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合、保険料の納付要件については不要。

図表1を例にすると、20歳から初診日のある月の前々月までの被保険者期間15ヶ月間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が12ヶ月あります。この場合、保険料納付済期間および保険料免除期間が被保険者期間の3分の2以上となっているため、保険料の納付要件は満たしていることになります(※3)。
 
【図表1】

出典:日本年金機構 「障害年金ガイド 令和3年度版」
 
上記の全ての要件を満たしているときに、障害基礎年金は支給されます。
 

障害基礎年金の対象となる障害の程度とは?

障害認定日に、障害等級表(※4)に定める1級または2級に該当していると認められた場合は障害基礎年金の支給対象となります。それぞれの障害の程度について確認してみましょう。
 

【1級】

他人の介助を受けなければ、日常生活がほとんどできないくらいの障害の状態。

●身の回りのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできない、または制限がされている。
●入院や在宅介護を必要として、活動範囲がベッド周辺に限られる。

 

【2級】

常に他人の助けを借りる必要がなくても、日常生活は極めて困難で、働いて収入を得ることができないほどの障害。

●家庭内で軽食を作るなどの軽い活動は可能でも、それ以上の活動はできない、または制限がされている。
●入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られる。

 

障害基礎年金の年金額は?

障害基礎年金は、障害等級によって年金額が異なります。また、生計を維持されている子(18歳に到達後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子)がいるときには子の加算が付きます。
 
障害等級ごとの年金額(令和3年4月分から)は図表2のとおりです。
 
【図表2】

等級 年金額 子の加算額
1級 97万6125円 2人まで1人につき
22万4700円
3人目以降1人につき
7万4900円
2級 78万900円

※日本年金機構 「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」をもとに筆者作成
 

【月額換算した場合の受給額】

障害基礎年金は、偶数月の15日(土日・休日の場合は金融機関などの直前の営業日)に前2ヶ月分が支給されます(初回は奇数月となる場合もあります)。上記の表より、月額に換算した場合の年金額がいくらになるのか、参考例で確認してみます。

・障害等級1級の方で、独身の場合

年額97万6125円のため、月額換算では8万1343円となります。

・障害等級2級の方で、子が1人いる場合

年額78万900円、子の加算額が22万4700円で合計100万5600円のため、月額換算では8万3800円となります。

 
月額として見ると、障害基礎年金で毎月の生活費をどのくらいカバーできるのか目安になるでしょう。
 

まとめ

障害基礎年金を受給するためには、障害の程度について医師の診断書による認定を受ける必要があるため、医師とコミュニケーションを取り、症状や状態に応じた適切な内容を記入してもらうことが大切です。
 
また、初診日における国民年金の加入状況や保険料納付済期間などについても、しっかりと確認しておくことをお勧めします。
 
出典
(※1)日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
(※2)日本年金機構 さ行 障害認定日
(※3)日本年金機構 障害年金ガイド 令和3年度版
(※4)日本年金機構 障害等級表
 
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

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