更新日: 2021.12.10 年金

退職後の再就職。働き損にならないための注意点とは?

退職後の再就職。働き損にならないための注意点とは?
日本人の平均寿命が延び続けている中、老後資金についてライフプランを立てていくことは非常に大切です。定年退職後も可能な限りは働き続ける方が安心といわれたりもしますが、退職後に再就職した場合、働き方によっては逆に損になってしまう可能性もあります。
 
本記事では、退職後の再就職時の注意点を解説します。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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働き損になるってどういうこと?

「老齢厚生年金」を受け取る際、厚生年金に加入して働いている場合は、その収入額によって年金の一部または全部が支給停止になる可能性があり、この仕組みを在職老齢年金といいます。
 
そのため、定年退職後に再就職して働く場合は年収だけでなく、在職老齢年金を計算してライフプランを立てることで、働き損を回避することができるといえます。
 

在職中の年金はどうなるの?

まず一般的に年金は65歳になった時点で、受給要件を満たしている場合は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類を受給できます。
 
また、年金の受給年齢引き上げに伴う経過措置により、男性は昭和36年4月1日以前生まれ、女性は昭和41年4月1日以前生まれであれば、受給要件を満たすと特別支給の老齢厚生年金を60歳~65歳未満の間で受け取れます(生年月日により受取開始時期は異なります)。
 
老齢基礎年金は在職中にかかわらず減額される規定はなく、満額であれば年78万900円が支給されます(令和3年4月以降)。
 
一方、厚生年金の被保険者として働きながら老齢厚生年金を受給する場合、年金額と収入の関係により、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります。
 
また「高年齢雇用継続給付」を雇用保険から受給する場合も、老齢厚生年金の一部の支給停止対象となります。
 

65歳以上の在職中の年金

65歳以上で働きながら受け取る年金については、以下の場合に支給停止となります。

●基本月額+総報酬月額相当額=47万円を超える場合
●支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×1/2×12

基本月額とは年金額(年額)を12で割った額で、総報酬月額相当額は毎月の賃金(標準報酬月額)に直近1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額を足した合計です。以下の条件で計算してみます。

例:老齢厚生年金額120万円(年額)、標準報酬月額32万円、標準賞与額108万円の場合

基本月額:120万円÷12=10万円
総報酬月額相当額:32万円+108万円÷12=41万円

この場合は基本月額と総報酬月額相当額の合計が51万円で、基準額の47万円を超えていることから、以下の金額が支給停止に該当します。
 
・支給停止額=(41万円+10万円-47万円)×1/2×12=24万円
 
当初の年金額120万円(年額)から、在職老齢年金により24万円が支給停止となって年96万円、月額換算で月10万円から月8万円に減額となる計算です。
 

60歳~65歳未満の在職中の年金

60歳~65歳未満で要件を満たしている場合は、特別支給の老齢厚生年金を受け取れますが、生年月日と性別によって受給開始年齢が異なります。受給開始年齢と対象の生年月日は以下のとおりです。
 

男性 女性
60歳 昭和28年4月1日以前 昭和28年4月1日以前
61歳 昭和28年4月2日~昭和30年4月1日 昭和33年4月2日~昭和35年4月1日
62歳 昭和30年4月2日~昭和32年4月1日 昭和35年4月2日~昭和37年4月1日
63歳 昭和32年4月2日~昭和34年4月1日 昭和37年4月2日~昭和39年4月1日
64歳 昭和34年4月2日~昭和36年4月1日 昭和39年4月2日~昭和41年4月1日

※筆者作成
 
特別支給の老齢厚生年金は「定額部分」と「報酬比例部分」に分かれていますが、支給停止額については合計額で算出されます。支給停止条件は以下のとおりです。
 
・基本月額+総報酬月額相当額=28万円を超える場合
 
また、在職老齢年金による調整後の年金支給月額の計算方法は、基本月額と総報酬月額相当額の関係で以下のように変化します。
 

基本月額
28万円以下
基本月額
28万円超
総報酬月額相当額
47万円以下
基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2 基本月額-総報酬月額相当額÷2
総報酬月額相当額
47万円超
基本月額-{(47万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-47万円)} 基本月額-47万円÷2
+(総報酬月額相当額-47万円)

 
※計算の基準になる28万円、47万円は毎年見直されます。
※日本年金機構 「60歳台前半(60歳から65歳未満)の在職老齢年金の計算方法」より筆者作成
 
次の条件の場合、基本月額は28万円以下、総報酬月額相当額は47万円以下の計算式が適用されます。

例:特別支給の老齢厚生年金額120万円(年額)、標準報酬月額32万円、標準賞与額108万円の場合

基本月額:120万円÷12=10万円
総報酬月額相当額:32万円+108万円÷12=41万円

 
・支給停止額=(41万円+10万円-28万円)÷2=11万5000円
 
基本月額の10万円よりも支給停止額が上回ることから、この場合は年金が全額支給停止となります。
 

高年齢雇用継続給付を受給した場合

60歳以上65歳未満で年金を受給しながら厚生年金に加入して働いている方が、高年齢雇用継続給付を受け取る場合は、上記の在職中の年金の支給停止に加えて、さらに一部の支給停止が発生します。
 
支給停止額は最大で標準報酬月額の6%となるため、上記の計算で例とした標準報酬32万円の場合は、1万9200円が支給停止となります。
 

まとめ

以上、退職後に再就職をした場合の年金の支給停止について解説しました。
 
それぞれの収入や厚生年金額によって支給停止額が変わりますので、本記事を参考に計算して、老後の働き方を考えてみてはいかがでしょうか。正確な年金額の計算については、お近くの年金事務所へ相談するか、社会保険労務士に相談してみてください。
 
出典
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
日本年金機構 65歳以後の在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 60歳台前半(60歳から65歳未満)の在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
日本年金機構 年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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