更新日: 2021.12.19 iDeCo(確定拠出年金)

自営業者がiDeCoに入るときの注意点って?

自営業者がiDeCoに入るときの注意点って?
原則国民年金にしか加入できず、退職金もない自営業者にとって、iDeCoは老後の資金形成のために大きな助けとなり得る制度です。とはいえ、無計画に利用するとトラブルにもなりかねませんので、自営業者がiDeCoに入るときに注意すべき点について見ていきます。

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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運転資金はストックしておく

自営業者の場合、売り上げの中から事業に必要な経費として運転資金をストックしておかなければなりません。そのため、iDeCoに拠出する金額を決めるときは、余裕を持った資金繰りを計画する必要があります。iDeCoに拠出した資金は原則60歳以降にならなければ受け取ることができませんので、売り上げが激減したり突発的に高額の支出があったりした場合でも、運転資金に流用することができません。
 
季節によって売り上げが変動しやすい業種の人は、利益が大きいときでも万が一備えてすぐに使える資金を確保しておくべきです。年間を通して収支を確認し、運用に回しても問題ない金額を決めるようにしましょう。
 
自営業者は毎月最大6万8000円までiDeCoに拠出できますが、拠出額を変更できるのは年1回までです。なお、資金が足りずに拠出できなかった場合、さかのぼって拠出したり、一部だけ拠出したりすることはできません。継続的に運用するためにも、きちんと自分が毎月払える金額を決めておきましょう。また、所得税額が少ない人は拠出額を増やしても納税額が0円のままで、節税効果が得られないことがあるので注意が必要です。
 

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他の老後対策も行う

iDeCoは個人で積み立てる年金という扱いですが、終身で受け取ることができる公的年金とは異なり、一定期間が過ぎれば給付は終了します。受け取りが可能になる年齢が近づくと、退職金として一時金で受け取るのか、年金として5~20年運用を続けながら一定額を受け取るのか、一時金と年金を併用して受け取るのかを決めるようになっています。いずれの方法でも、やがて受給はなくなりますので、将来を見据えた家計管理が重要です。
 
自営業者は定年がないため、働こうと思えばいつまでも仕事を続けることは可能です。しかし、公的年金だけでは安定した収入が心もとないことや、高齢になると思うように働けなくなる可能性が生じることを考慮して、公的年金の繰り下げ受給や個人年金等の加入のように、iDeCo以外の老後対策も立てておいた方が良いでしょう。
 

iDeCoの特徴を理解しておく

iDeCoを始めるときには、その制度の仕組みや特徴をきちんと把握しておきましょう。自営業者にとっては拠出可能額が大きく、節税効果が高いことからメリットばかりに目が行きがちです。しかし、iDeCoは税制面で優遇はされているものの、実質資産運用です。
 
もちろん、安定性を高く評価されている銘柄をそろえているので初心者でも始めることはできますが、実際に受け取る段階になって元本割れになっている可能性もないとは言えません。預金や保険商品のような元本確約型の商品も用意されていますが、毎月の口座管理手数料が発生するので、節税効果が得られても資金は目減りします。
 
iDeCoを始める際は、資産運用に関して多少の知識や興味を持つのが望ましいです。特に退職金がない自営業者にとっては老後の大切な収入源となりますので、きちんと管理しましょう。
 
iDeCoは拠出した資金について、どの銘柄をどれくらいの割合で購入するのか指示することができます。指示の変更も簡単にできますので、実際に運用をしながら自分に向いている銘柄を見つけていきましょう。積立投資の性質上、運用期間が長いほどリスクを抑えて福利の効果が得られやすくなります。
 

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iDeCoは自営業者に有利な制度

iDeCoは仕組みやリスクをきちんと把握しておく必要がありますが、運用益が非課税で拠出金が全額控除対象になるなど、非常にメリットのある制度です。特に自営業者は拠出可能額が大きく、退職金がないので一時金として受け取る場合には退職所得控除額が満額使えるなど、より有利な内容になっていますのでぜひ検討してみましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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