更新日: 2021.12.24 国民年金
年金の繰下げ受給と通常受給での年金額の推移。結局何歳で受け取るのがベスト?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年金の繰下げ受給は何歳までできる? メリットは?
年金は最大70歳まで受給開始時期を繰り下げることができ、1ヶ月繰り下げるごとに受け取る年金額が0.7%増加します。つまり、70歳まで繰り下げると最大42%増額した年金を受け取れます。
なお、令和4年4月1日以降は受給開始時期が75歳まで引き上げられ、繰下げ受給によって最大で84%増額した年金を受け取れるようになります。
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繰下げ受給と通常の受給での年金額の推移
では、実際に年金の受給開始時期を繰り下げた場合と、繰り下げなかった場合の受給額の推移について、令和3年度の国民年金の満額(年額78万900円)をベースに見ていきましょう。
通常どおり65歳から受け取った場合 | 70歳まで繰り下げた場合 | 75歳まで繰り下げた場合 | |
---|---|---|---|
70歳時点 | 390万4500円 | ― | ― |
75歳時点 | 780万9000円 | 554万4390円 | ― |
80歳時点 | 1171万3500円 | 1108万8780円 | 718万4280円 |
85歳時点 | 1561万8000円 | 1663万3170円 | 1436万8560円 |
90歳時点 | 1952万2500円 | 2217万7560円 | 2155万2840円 |
95歳時点 | 2342万7000円 | 2772万1950円 | 2873万7120円 |
100歳時点 | 2733万1500円 | 3326万6340円 | 3592万1400円 |
※筆者作成
65歳から年金を受け取った場合を基準に考えてみます。70歳まで繰り下げた場合と比較して、80歳時点では65歳から受け取った方が受給総額が62万円ほど多くなります。しかし、85歳時点では逆転して70歳まで繰り下げた方が約102万円多くなり、以降も差は広がっていきます。
75歳まで繰り下げた場合との比較では、90歳時点の受給総額で繰り下げた方が200万円ほど多くなり、以降は差が大きくなります。
なお、70歳と75歳の繰下げ受給を比較した場合、95歳時点で、75歳まで繰り下げた方が受け取る年金の総額が100万円ほど多くなります。
結局、何歳から年金を受け取るのがよいのか
本題である何歳から年金を受け取るのがよいのか、ということについてですが、結論としては貯蓄額と年金を受け取るまでの間の収入の有無、そして何歳まで生きる見込であるかによって異なるといえます。
より多く年金を受け取ることに主眼を置くのであれば、長生きすることと、年金の受給が始まるまでの生活費を就労や貯蓄で賄うことが前提になりますが、70歳以降での繰下げ受給が選択肢となります。
逆に、長生きできるか分からない、年金がなくては生活費が賄えそうにない、などという場合は65歳で受け取るのがよいでしょう。
ただし、前述した繰り下げによる年金受給額の推移の結果を踏まえると、特に男性は繰り下げをしない方がよい場合も多いのでないかと考えられます。
その理由の1つとして、厚生労働省の「簡易生命表(令和2年)」によると男性の平均寿命は81.64歳、女性は87.74歳となっており、男女ともに70歳まで繰り下げたとしても、受給総額の比較で損益分岐点となった85歳まで生きていられるとは限らないからです。
年金の繰下げ受給によるメリットは大きいですが、亡くなれば年金は受け取れませんし、平均寿命と損益分岐点となる年齢が近いことなども考えると、下手にリスクをとって繰り下げをするより、深く考えずに通常どおり65歳から受け取る方がよい場合もあるのではないでしょうか。
まとめ
年金は受給開始時期を繰り下げることで受給額を増やせますが、繰り下げた期間の分だけ平均寿命の年齢に近づくため、よほど長生きできる自信と、年金を受け取るまでの生活費を捻出する経済的な基盤がない限りは、65歳から受給する方が安定した生活を送れると考えることができます。
年金の繰下げ受給については、例えば85歳という年齢を基準に受取額を考えるなどして、迷ったら通常どおりの受給を検討してみてはいかがでしょうか。
出典
公益財団法人 生命保険文化センター 日本人の平均寿命はどれくらい?
執筆者:柘植輝
行政書士