更新日: 2021.12.30 国民年金

学生時代に猶予されていた年金保険料の追納の注意点。一定期間を過ぎると加算額が上乗せされるって本当?

学生時代に猶予されていた年金保険料の追納の注意点。一定期間を過ぎると加算額が上乗せされるって本当?
学生時代に国民年金保険料の「学生納付特例制度」を利用する人は多いでしょう。しかし、その後の追納について詳しく知っている人は、少ないのではないでしょうか。
 
学生納付特例制度で猶予を受けた国民年金保険料を追納できる期間には制限があり、さらに追納可能な期間内でも、一定期間が過ぎた保険料には加算額が上乗せされます。
 
ここでは、学生納付特例制度で猶予を受けた国民年金保険料の追納について、追納できる期間や、保険料が加算されるタイミングを解説します。これから学生納付特例制度を利用する人や、追納を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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学生の年金納付猶予制度「学生納付特例制度」とは?

 
国民年金の「学生納付特例制度」とは、学生本人の所得が基準以下の場合に申請すると、在学中の国民年金保険料の納付が猶予される制度です。
 
所得基準は以下の式で計算します(令和3年度基準)。
 
学生納付特例制度の所得基準=128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
 
所得が審査されるのは学生本人のみで、家族の所得は問題となりません。
 
学生納付特例制度を利用できるのは、次の学校に在学する学生です。

●大学
●大学院
●短期大学
●高等学校
●高等専門学校
●特別支援学校
●専修学校
●各種学校(修業年限1年以上)
●海外の大学(一部)の日本分校

 
要件に当てはまり制度を利用したい場合は、住民票のある市区町村の国民年金担当窓口か年金事務所に、申請書と学生証の写しまたは在学証明書を提出しましょう。在学中の学校で手続きできる場合もあります。
 

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「学生納付特例制度」で猶予された保険料の追納可能期間は10年

 
学生納付特例制度で猶予を受けた国民年金保険料は、あとから保険料を納める「追納」ができます。
 
追納ができるのは、追納について厚生労働大臣の承認を受けた月からさかのぼって10年以内の国民年金保険料です。それ以上前の期間については、追納したくても認められません。令和3年度中に追納する場合、追納できるのは、平成23年度分までです。
 
また、10年以内のものであっても、老齢基礎年金の受給権者になると追納できなくなります。
 
なお、追納は必ず、期間が古いものから順にしなければなりません。
 

追納をしないとどうなる?

 
学生納付特例制度で猶予された国民年金保険料を追納せずに放置すると、将来もらえる年金の金額が減ってしまいます。なぜなら、学生納付特例制度を利用した期間は、老齢基礎年金の受給資格期間には含むものの、老齢基礎年金の金額を計算する際にはカウントされないためです。
 
老齢基礎年金を満額受給するには、40年間(480月)の保険料納付期間が必要です。例えば学生納付特例制度を4年間(48月)利用して追納をしないでいると、満額に対して10分の1が減額となる計算です。
 
老齢基礎年金をできるだけ多く受給するには、10年以内の確実な追納が大切です。
 

3年度目以降の追納は経過期間に応じて保険料が加算される

 
国民年金保険料を追納する際に注意したいのが、一定期間を過ぎると保険料が加算される点です。猶予を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降になると、猶予を受けた当時の保険料額に、経過期間に応じた金額が上乗せされます。
 
令和3年度中に追納できるのは平成23年度分までですが、平成23~30年度分までは加算額が上乗せされるため注意しましょう。学生納付特例で猶予を受けた人が追納する場合の、加算額を考慮した保険料は表1のとおりです。
 
表1

平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
1万5350円
(加算額330円)
1万5200円
(加算額220円)
1万5180円
(加算額140円)
1万5330円
(加算額80円)
1万5650円
(加算額60円)
平成28年 平成29年 平成30年 令和元年 令和2年
1万6310円
(加算額50円)
1万6520円
(加算額30円)
1万6360円
(加算額20円)
1万6410円
(加算額なし)
1万6540円
(加算額なし)

 

猶予された保険料はできるだけ早く追納を

 
学生納付特例制度は、収入の少ない学生にとって非常にありがたい制度です。しかし、追納せずに放置してしまうと、将来の年金額が減るため注意しましょう。
 
また、追納ができるのは、さかのぼって10年以内と決まっています。加えて、猶予期間の翌年から3年度目以降は、保険料に加算額が上乗せされる点も、覚えておきましょう。時間がたてば納める金額が増えたり追納できなくなったりするため、経済的な余裕ができたら、できるだけ早く追納することが大切です。
 
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 学生期間中の納付が猶予されていた保険料は、あとで納めることが出来ますか。
日本年金機構 老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
日本年金機構 国民年金保険料の変遷
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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