更新日: 2022.01.04 国民年金
夫(妻)の扶養から外れて国民年金の種別が変わった。「未納期間」を防ぐために行う手続きとは?
ただ、夫(妻)が離職したり、定年退職をした場合には、新たに国民年金へ加入する必要があり、そのままにしておくと、年金の未納期間が生じることになってしまいます。
そのような事態を招かないためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
国民年金は3号から1号被保険者に変わる
夫(妻)が会社員などで扶養に入っているときには、夫(妻)は第2号被保険者となり、その妻(夫)は、国民年金の第3号被保険者となるため、扶養されている妻(夫)はご自身で国民年金保険料を支払う必要はありません。
ただし、夫(妻)が離職した、もしくは定年を迎えたときには、その配偶者は国民年金の第3号被保険者の資格を失います。そして、配偶者が60歳未満のときには、国民年金の第1号被保険者に該当することになるため、新たに第1号被保険者として、国民年金に加入する必要があります。
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届出が2年以上遅れていると、無年金や年金減額になる可能性もアリ
夫(妻)の働き方が変わると、配偶者である妻(夫)の国民年金の種別が第3号から第1号へと変わりますが、自動的に手続きがされるわけではありません。
そのまま手続きをしないと、本当は第1号であるにも関わらず、年金記録上は第3号被保険者のままになってしまいます。このようなことが後で判明することも多く、このことを「第3号被保険者の不整合記録問題」といいます。
ただ、記録上で違いだけならまだしも、実際に年金保険料を支払っていないため、「未納期間」が生じてしまいます。
所定の手続きをせずに「不整合記録」がある場合は、本来、行うべき手続き(届出)をする期限から2年以上経過してしまうと、保険料の納付そのものができなくなってしまいます。
保険料の納付ができないと、必然的に「未納期間」が生じてしまいますので、将来受け取ることができる年金額が、その期間相当分が減ることになります。また、受給資格期間を満たすことができないときには、年金そのものが受給できなくなる可能性があります。
受給資格期間は、10年以上、国民年金もしくは厚生年金に加入し、保険料を納めていることが必要ですので、それなら問題ないと思うかもしれません。ただ、障害年金や遺族年金の場合は、加入期間の3分の1以上の期間における保険料未納がないことが必要ですので、注意してください。
なお、この受給資格要件をすでに満たしていても、60歳未満の場合は、年金に加入するのは義務です。決して納めなくても良いわけではありません。
手続き方法を知っておこう
第3号から第1号へと変更になったときには、年金事務所へ届け出ることが必要です。その方法としては、夫(妻)が勤務する事業所経由で本人による「国民年金第3号被保険者関係届」等の届出をし、第3号の資格を失った日(配偶者の退職日など)から14日以内に、手続きを行うことが必要です。
また、扶養に入っていた妻(夫)が扶養から外れるときには、第3号の本人が、届出を行う必要があります。そして扶養していた配偶者は、自分が勤務する事業所に「被扶養配偶者非該当届」を提出しなければなりません。
各種届出を済ませて第1号になる場合には、市区町村窓口で切り替え手続きをします。その後、国民年金の保険料を自身で納める必要があります。
必要な手続きに関しては、日本年金機構のホームページ(※)にも掲載されています。また、届出用紙は市区町村や年金事務所にて配布、あるいは日本年金機構のホームページからもダウンロードできます。
わからないからとそのままにせず、迷ったら、年金事務所や市区町村窓口で相談するようにしましょう。
(※)
日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
(参考)
政府広報オンライン「会社員などの配偶者に扶養されている方、扶養されていた方(主婦・主夫)へ 知っておきたい「年金」の手続」
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト