更新日: 2022.01.04 国民年金
障害年金のウソ? ホント?(9) 「未納と免除はまったく違う? 」
そんなことにならないために、あらかじめ正しい知識を身に付けておきましょう。第9回は「未納と免除はまったく違う? 」です。
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。
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目次
「未納」が最も損をするパターン
国民年金の保険料は、1ヶ月当たり1万6610円(2021年度、「毎月納付」の場合)です。就職していないときや病気で収入が減っているときなどは、納付が困難になりがちです。しかし、「だから、未納にする」というのが最も損をするパターンです。
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保険料の納付をどうするか
保険料の納付をどうするか、その対応については、大きく分けて「納付」「免除」「猶予」「未納」の4パターンがあります。
「納付」は、保険料を納付対象月の翌月末の納付期限までに納付することです。厚生年金保険や共済年金の被保険者である場合もこれに該当します。
「免除」は、前年所得に応じて「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4パターンがあります。免除申請をすると、日本年金機構で審査され、承認されると免除されます。
「猶予」は、学生が対象の「学生納付特例」と50歳未満で学生以外の人が対象の「納付猶予」の2パターンです。これも、日本年金機構の審査で決まります。
そして、保険料の納付書が送られてきても、放置しておくのが「未納」です。
保険料の納付状況が問われる
障害年金を受給したいと思ったとき、まず問われるのが保険料の納付状況が一定以上であるかどうかです。一般に納付要件といわれるもので、次のどちらかであればOKです。
(1)初診日の前日時点で、初診日を含む月の前々月までの被保険者期間に「納付」「免除」「猶予」を合わせた期間が3分の2以上あること。
(2)初診日の前日時点で、初診日を含む月の前々月までの直近1年間に「未納」の月がないこと。
「免除」や「猶予」は、「納付」と同等に
上記のように、障害年金の納付要件を判定する場合、「免除」や「猶予」は、「納付」と同等に扱われます。少し複雑になりますが、上記の(1)(2)について、説明をしておきます。
▽初診日の前日時点でみるのは、医療機関を受診した後で保険料をさかのぼって納付するのを「納付」にカウントしないためです。また、初診日を含む月の前々月までを対象とするのは、保険料納付の締め切りが対象月の翌月末だからです(1991年4月30日以前は、保険料の納付方法が現在と異なるので、判定の方法も異なります)。
▽「免除」でも部分免除の場合は、免除額を差し引いた額の保険料を納付していなければ「未納」になります。例えば、「4分の3免除」の場合は、保険料の4分の1の額が納付済みでなければなりません。
直近1年間には、被保険者ではない期間も含まれる
▽(2)の直近1年間には、被保険者ではない期間も含みます。例えば、20歳前の期間や外国で暮らしていた期間は、保険料を納付していませんが、「未納」ではありません。
なお、20歳前の厚生年金保険や共済年金の被保険者期間は「納付」になります。初診日が60歳以上で、厚生年金保険などの被保険者でない場合は、初診日からもっとも近い被保険者月から過去1年間をみます。
▽(2)は2026年3月31日までの特例です。また、初診日が65歳以上の場合は適用されません。
納付する保険料がゼロ円である点は同じだが…
「全額免除」「猶予」「未納」はいずれも、納付する保険料がゼロ円である点は同じです。しかし、障害年金の受給を請求する場合には、取り扱いがまったく異なります。
障害年金は、納付要件を満たさなければ、どんなに重い障害になっても受給できません。経済的に保険料の納付が苦しいときには、ぜひ、市区役所、町村役場、年金事務所などに足を運び、免除か猶予を申請しておきましょう。
「未納と免除はまったく違う? 」の「ウソ・ホント」は「ホント」でした。
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士