更新日: 2022.01.14 国民年金

国民年金基金と付加年金、個人事業主が年金を増やすならどちらがおすすめ?

執筆者 : 柘植輝

国民年金基金と付加年金、個人事業主が年金を増やすならどちらがおすすめ?
個人事業主の方が将来の年金を増やすために上乗せ加入できる公的制度には、国民年金基金と付加年金があります。いずれも国が運営している制度ですが、どちらに加入するかによって将来の給付や現在の負担が大きく異なります。
 
そこで今回は、国民年金基金と付加年金について、個人事業主の方が年金を増やすならどちらがおすすめか検討してみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

国民年金基金の概要

国民年金基金とは、個人事業主など国民年金第1号被保険者の老後保障のための制度です。
 
1口単位で加入することができるほか、保証期間も終身(終身年金)と有期(確定年金)があり、ライフプランに応じて多くの方が加入しやすい点が特徴です。
 
国民年金基金の掛け金は月額6万8000円を上限に、給付の種類や加入する口数、加入時の年齢と性別によっても異なります。参考までに、加入時の年齢が29歳1ヶ月から30歳0ヶ月までの男性の場合、1口目が月額2万円、2口目以降は月額1万円が基本額となっています。
 
しかし、途中で脱退することは原則できないため、無理のない範囲で続けられる加入内容としておく必要があります。
 

付加年金の概要

付加年金とは、毎月の国民年金保険料に400円の付加保険料を上乗せして支払うことで、200円×納付月数分を付加年金額(年額)として老齢基礎年金に上乗せして受け取れるものです。国民年金の第1号被保険者が、最小限の負担で将来の年金額を増やせることが特徴です。
 
国民年金基金は付加年金を代行するものであり、国民年金基金の加入者は付加年金にも加入していることになります。そのため、付加年金と国民年金基金を別制度として同時に加入することはできません。
 

国民年金基金と付加年金、年金を増やすならどっち?

将来受け取れる公的年金の金額を1円でも増やしたいという点から、国民年金基金と付加年金を単純に比較すると、掛け金が高くなる分、給付額も多くなる国民年金基金に軍配が上がります。
 
仮に30歳7ヶ月から60歳まで加入した場合、付加年金は65歳から年間で7万800円が将来の年金額に上乗せされますが、国民年金基金ではA型(1口目で選択できる基礎的な部分)に1口加入するだけでも、65歳からの年金に毎年24万4200円が上乗せされます。
 
このように将来受け取る年金額を増やすという点に重点を置くのであれば、付加年金よりも国民年金基金を選んでおけば間違いないでしょう。
 

保険料やその他の資産運用も重視するなら付加年金もあり

毎月の保険料の面でお得さを重視するのであれば、あえて付加年金を選ぶのもありでしょう。付加年金は保険料400円を支払った月数分、200円が年金として戻ってくるため、2年間受け取れば元が取れる計算となります。
 
また、将来受け取れる年金額が決まっているため、物価やサービスの価値が上がるインフレに国民年金基金や付加年金は弱いという欠点がありますが、リターン率や長期的なインフレリスクを考えると、あえて国民年金基金ではなく付加年金を選択し、保険料の負担が少なく済む分をiDeCoやつみたてNISA、小規模企業共済など他の制度で将来の年金に変わる資産を形成していくのも選択肢となます。
 

国民年金基金と付加年金、どちらを選んでも間違いではない

年金額を増やすために個人事業主の方が加入するのであれば、国民年金基金と付加年金のどちらでも間違いではありません。
 
単純に終身で受け取れる公的年金額を増やすというのであれば、国民年金基金を選ぶ方が有利ですが、他の資産運用の方法でインフレリスクに備えたいのであれば、保険料負担が少ない付加年金を選ぶのも悪くはありません。どちらを選ぶべきなのかは、ライフプランや老後資金の考え方などによっても異なります。
 
いずれにしても加入するのであれば早い方が有利です。もし、どちらを選ぶべきなのか悩んで答えが出せないというときは、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談してみるとよいかもしれません。
 
出典
国民年金基金 掛金月額表
国民年金基金 年金額シミュレーション
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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