在職老齢年金の見直しで、支給停止にならない範囲が拡大? いくら引き上げられるの?
配信日: 2022.01.27
令和4年4月より、働く年金受給者の年金が支給停止となるボーダーラインが引き上げられることは、そのような人たちにとって、朗報ではないでしょうか。
ここでは、在職老齢年金制度の仕組みや令和4年4月より適用される改正内容、同時期にスタートする新制度「在職定時改定」についてまとめました。ぜひ参考にして、今後の働き方を考えてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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在職老齢年金とは
在職老齢年金とは、老齢厚生年金受給者が働いて報酬を得た際に、年金額と報酬などの金額に応じて、年金が一部または全額が支給停止となる仕組みを言います。在職老齢年金制度が適用されるのは、次の2つの場合です。
・70歳未満の人が就職して厚生年金保険の被保険者になった場合
・70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所で働く場合
在職老齢年金制度による年金額調整の仕組み
在職老齢年金制度で年金を全額受給できるボーダーラインは、年齢ごとに次のように定められています。
・65歳未満:総報酬月額相当額(※1)+老齢厚生年金の基本月額(※2)≦28万円
・65歳以上:総報酬月額相当額+老齢厚生年金の基本月額≦47万円
ボーダーラインを超えると、次の額の年金が支給停止となる決まりです。
・総報酬月額相当額47万円以下、基本月額28万円以下:基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2
・総報酬月額相当額47万円以下、基本月額が28万円超:基本月額-総報酬月額相当額÷2
・総報酬月額相当額47万円超、基本月額28万円以下:基本月額-{(47万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}
・総報酬月額相当額47万円超、基本月額28万円超:基本月額-{47万円÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2
※1 加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額。
※2 1ヶ月の賃金(標準報酬月額)と年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額の合計。
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令和4年4月から適用される在職老齢年金の改正内容
令和2年5月の年金制度改正で在職老齢年金についても見直しが行われ、令和4年4月より改正された新制度が適用されることとなります。今回の改正で変更されたのは、65歳未満を対象とした在職老齢年金制度の、年金が支給停止となる基準の収入額です。
現行の制度では、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が28万円を超えた時点で、年金の支給が一部停止されます。新制度では基準額が引き上げられ、65歳以上と同様の47万円と定められました。
制度内容の変更にともない、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が28万円超~47万円で現行の制度で年金の支給停止がある人は、令和4年4月以降、全額受給できるようになります。
新制度「在職定時改定」にも注目
「在職定時改定」は、改正在職老齢年金の適用と同時期にスタートする、65歳以上で在職中の年金受給者を対象とした新しい制度です。
従来、年金受給中に納めた厚生年金保険料は、退職などで厚生年金保険の被保険者資格を失うまでは、年金額に反映されませんでした。在職定時改定の適用が始まると、毎年10月に年金額の改定が行われ、それまでに納めた保険料が年金額に反映されるようになります。
つまり、老後も働き続けて厚生年金保険料を納めた効果が、これまでよりも早く、年金収入となって現れるのです。ただし、在職定時改定によって在職中に年金額が上がることで、在職老齢年金制度の基準額を超える可能性には注意する必要があるでしょう。
制度改正で自分の年金額がどう変わるかチェックしよう
在職老齢年金制度の改正にともなって、65歳未満で年金を受給しながら働く人の年金受給額が、増える可能性があります。新制度が適用される前に、ご自身が該当する可能性があるかどうか、チェックしてみましょう。
また、改正された在職老齢年金制度の適用と同時期に「在職定時改定」もスタートします。在職老齢年金制度を意識して働き方を調整している人は、在職定時改定によってボーダーラインを超える可能性にも、留意する必要があるといえます。
出典
日本年金機構 60歳台前半(60歳から65歳未満)の在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 65歳以後の在職老齢年金の計算方法
厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員