更新日: 2022.01.28 その他年金
余命宣告をされて半年後に亡くなった…遺族年金はどれくらい受給できる?
これは筆者の事務所に相談があった事例です。家族が余命宣告を受けた後に多少の時間があったとしても、遺族年金の金額まで調べて、将来を考える余裕がある人はほとんどいないのが現実です。
そこで、今回は遺族年金の受給額について確認していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
遺族年金の種類
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
遺族基礎年金は国民年金に加入し、一定の要件を満たす方の死亡時に生計を維持されていた、子のある配偶者や子が受け取れるものです。
一方、遺族厚生年金は厚生年金に加入している、または加入していた期間がある一定の要件を満たす方の死亡時に生計を維持されていた、妻(30歳未満で子がいない場合は5年間の有期)や子などが受けられるものになります。
遺族基礎年金、遺族厚生年金ともに、子には18歳になった年度の3月31日まで、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方という条件があります。
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遺族年金の受給額
遺族年金の受給額は、亡くなった方が国民年金のみの加入者か、厚生年金の加入者であるかによって異なります。
ちなみに筆者が相談を受けた事例では、「余命宣告を受けて半年後に亡くなったが、余命宣告の有無は遺族年金に反映されるのか」といった質問もありましたが、余命宣告の有無は関係ありません。余命宣告を受けて亡くなっても、余命宣告がなく突然亡くなっても、年金には影響しません。
遺族基礎年金はいくら受け取れる?
遺族基礎年金は金額が固定されています。子がいる配偶者が年間で受け取れるのは、78万900円(令和3年度)に子の加算額を加えた金額です。
子の人数 | 加算額 |
---|---|
1人目および2人目 | 1人につき22万4700円 |
3人目以降 | 1人につき7万4900円 |
※筆者作成
また、子が受け取る場合は年額で下記のようになります。
子が1人で受け取る場合 | 78万900円 |
子が2人で受け取る場合 | 100万5600円 |
子が3人以上で受け取る場合 | 100万5600円に、3人目以降の人数×7万4900円を足した金額 |
※筆者作成
遺族厚生年金はいくら受け取れる?
遺族厚生年金の場合、年金額は亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となります。このため、遺族がどれくらいの金額を受け取れるのかは、亡くなった方の収入と加入期間によって異なります。年間で受け取れる遺族厚生年金の計算式は下記のとおりです。
平均標準報酬月額×5.481÷1000×厚生年金の加入期間の月数×4分の3
例として、日本年金機構が提示する平均的な収入(賞与を含む月額換算で平均標準報酬43万9000円)を基に計算した遺族厚生年金は下記の金額になります。
※計算を簡略化するため、厚生年金の加入期間は平成15年4月から令和3年3月までとしています。
平均標準報酬月額(標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以降の加入期間で割った額今回は43万9000円)×5.481÷1000×加入月数(216月)×4分の3=約38万9700円
なお、遺族厚生年金は遺族基礎年金に上乗せ支給されるため、遺族厚生年金を受け取れる方は遺族基礎年金も受給できます。
遺族年金の金額は個別の事情によって変化する
遺族年金の金額は余命宣告の有無や余命の期間に全く関係なく、亡くなった方が加入していた年金制度と、遺族の家族構成など個別の事情によって異なりますが、要件を満たさず受給できない場合もあります。
遺族年金は、家族の生計を維持している方に万が一のことがあった場合、残された遺族の生活を支える大切な年金です。少しでも気になることや不安なことがあれば、最寄りの年金事務所などへ相談するようにしてください。
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 令和3年4月分からの年金額等について
日本年金機構 は行 報酬比例部分
執筆者:柘植輝
行政書士