更新日: 2022.01.31 iDeCo(確定拠出年金)

iDeCoに確定申告は必要? 必要なケースと必要でないケースを解説

執筆者 : 中村将士

iDeCoに確定申告は必要? 必要なケースと必要でないケースを解説
老後資金対策としてiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用している方は多いと思います。利用している理由に、老後資金対策だけでなく節税対策(税制優遇措置)を挙げる方も多いかと思います。
 
ところで、どのように節税対策がされるのか、具体的な手続きをご存じでしょうか。自動で(手続きなく)節税対策ができると思われている方は注意してください。手続きが必要なケースがあります。
 
特に、確定申告が必要な場合、自分で書類の作成を行う必要があります。本記事を読んで、確定申告が必要なケースと必要でないケースを理解し、制度をうまく活用しましょう。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

iDeCoの税制上の優遇措置

iDeCo公式サイトには、「iDeCo(イデコ)の3つの税制メリット」として、以下のような記載があります。

1.掛金が全額所得控除!
2.運用益も非課税で再投資!
3.受け取る時も大きな控除!

このことは、お金を「掛金を支払ったとき」「運用益があったとき」「受け取ったとき」の全てのステージで税制優遇を受けられることを意味しています。では、税制優遇を受けるためには、どのタイミングでどのような手続きが必要となるのでしょうか。
 

手続きが必要な取引

手続きについては、加入資格(国民年金の「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」)に分けて説明します。以下では、第1号被保険者を自営業者、第2号被保険者を会社員・公務員、第3号被保険者を専業主婦(夫)とします。
 

掛金を支払ったとき

iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除を受けることができ、年末調整で控除することができます。
 
自営業者は年末調整がありませんので、確定申告をする必要があります。
 
会社員・公務員は、原則として年末調整がありますので、確定申告をする必要はありません。ただし、別の理由(医療費控除を受ける、住宅ローン控除を受けるなど)で確定申告が必要な場合は、併せて申告する必要があります。
 
専業主婦(夫)は、収入(所得)がないということが前提なので、確定申告の必要はありません。
 

運用益があったとき

iDeCoの運用益は、非課税とされています。iDeCoを利用する際、専用の口座を開設し、そこで運用が行われます。その口座内で運用を行う限り、運用益が計上されたとしても非課税とされます。つまり、いずれの加入資格であっても特別な手続きは必要なく、確定申告をする必要もないというわけです。
 

受け取ったとき

iDeCoのお金は、「一時金」か「年金」の形で受け取ることができます。一時金として受け取る場合は「退職所得控除」の、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となります。これは、企業から受け取る退職金と同じ扱いになります。
 
この場合、加入資格ごとの差異はなく、受け取り方が一時金か年金かで手続きが異なります。
 
一般的に、一時金として受け取る場合は、源泉徴収により課税が完了することになります。手続きは支払者が行いますので、確定申告をする必要はありません。ただし、別の理由で確定申告をする必要がある場合は、併せて申告をする必要があります。
 
年金として受け取る場合は、原則として、確定申告をする必要があります。
 

まとめ

ここまでのことをまとめると、以下のようになります。
 

掛金を支払ったとき 運用益があったとき 受け取ったとき
自営業者 確定申告 手続き不要 一時金:手続き不要
年 金:確定申告
会社員・公務員 年末調整 手続き不要 一時金:手続き不要
年 金:確定申告
専業主婦(夫) 手続き不要 手続き不要 一時金:手続き不要
年 金:確定申告

※筆者作成
 
このことから、確定申告が必要な場合は、自営業者が掛金を支払った場合と、お金を年金として受け取った場合(全ての加入資格者)であり、それ以外は原則として確定申告をする必要がないことが分かります。
 
ただし、会社員・公務員が掛金を支払った場合やお金を一時金として受け取った場合(全ての加入資格者)であっても、別の理由で確定申告をする必要がある場合は、併せて申告をする必要があります。
 
本記事を読んで、確定申告が必要なケースと必要でないケースをご理解いただけたのではないでしょうか。ご自身の場合はどうか、ぜひ参考にしてみてください。
 
出典
iDeCo公式サイト 「iDeCo(イデコ)の3つの税制メリット」
国税庁 「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」
国税庁 「確定申告の流れ・申告書の提出が必要な方」
国税庁 「医療費控除を受ける方へ」
国税庁 「住宅ローン控除を受ける方へ」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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