年金は10年払えばもらえるから、それ以上払わなくても問題ないって本当?
配信日: 2022.02.14
実際、筆者の元を訪れた相談者さまの中にも、そういった考えを持った方がいらっしゃいました。年金保険料を10年以上払う必要性や、払わなかった場合の問題について解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
「10年払えば大丈夫」の根拠と将来の問題点は?
「年金は保険料を10年払えばもらえるから、それ以上払わなくても大丈夫」といわれる方によくある共通の根拠として、「国民年金は厚生年金を含め10年以上加入して保険料を支払った場合(免除や猶予を含む)に、また厚生年金は国民年金の受給資格を有した上で保険料を1ヶ月以上支払っていれば受け取れる」という点があります。
しかし、その考え方は老後の生活に大きな影響を及ぼす恐れがあります。確かに10年以上、保険料を支払っていれば国民年金の受給資格は得られるものの、納付済期間が10年だけでは将来受け取れる年金額は最低限となってしまいます。
国民年金は、20歳から60歳までの40年間(480月)分の保険料をすべて支払うことで満額(令和3年度は年78万900円)を受け取れますが、10年(120月)のみの納付では、その4分の1に当たる年19万5000円ほどしか受け取れなくなります。
「10年払えば大丈夫」と高をくくっていると、老後に受け取れる年金が想像以上に少なく、大変な思いをする可能性があります。そのため、こうした考え方は非常に危険なのです。
なお、厚生年金に加入して保険料を支払っている場合は、国民年金の保険料も含まれているため、会社員などで厚生年金の被保険者である期間については、その間の国民年金保険料を別途支払う必要はありません。
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遺族基礎年金と障害基礎年金が受け取れなくなることも
国民年金には、被保険者本人が亡くなった際に遺族の生活を保障する遺族基礎年金と、病気やケガで仕事や生活に制限を受けるようになった場合に支給される障害基礎年金があります。
遺族基礎年金と障害基礎年金には、受給するための最低限必要な保険料納付済月数や、納付済月数による年金額の減額がない代わりに、直近1年間に保険料の未納がないことが要件とされています。
「10年払えば大丈夫」と、それ以上の期間について国民年金の保険料を未納のままにしていると、自身の死亡時に遺族が遺族基礎年金を受け取れなくなったり、万が一、病気やケガで障害が残った場合に障害基礎年金を受給できなくなったりと、自身や家族が困ることになるという問題もあります。
保険料の未納が続くと財産を差し押さえられる可能性がある
国民年金の加入者は保険料の納付義務があるため、故意に支払わない状態が長期間続くと督促状が届き、最終的には銀行口座にある預金や給与などが差し押さえられてしまいます。
差し押さえは予告の通知書が届くものの、基本的に突然行われます。その際、納付期限の翌日からの延滞金が加算されるため、結果的に本来の保険料よりも高い金額で納付することになります。
収入が少ないなどの理由から保険料を支払えない場合、納付の免除や猶予といった制度もあるので、早めに市区町村役場の担当窓口に相談してください。
年金の保険料は60歳まで支払う必要がある
国民年金の保険料について、「10年払えば大丈夫」と未納を続けていると、将来受け取れる年金が最低限の金額となったり、万が一の際に遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されなくなったりしてしまいます。
自身の老後や家族のためにも、国民年金の保険料は60歳まできちんと納付するようにしてください。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
執筆者:柘植輝
行政書士