更新日: 2022.02.17 その他年金

年金にも「時効」がある…「納付の時効」「受給の時効」それぞれ何年?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

年金にも「時効」がある…「納付の時効」「受給の時効」それぞれ何年?
年金には「納付の時効」と「受給の時効」があるのをご存じでしょうか。
 
時効を迎えてしまうと、保険料納付や年金受給ができなくなる可能性があります。特に「年金の手続きや納付を忘れそう」という方は、事前に時効を把握しておくことが大切です。
 
ここでは、年金の納付の時効と受給の時効、注意点について解説します。
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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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年金を受ける権利(基本権)の時効は5年

 
基本権とは年金を受ける権利のことです。基本権は、権利が発生してから5年経過すると時効により消滅してしまいます。
 
通常、年金の受給資格(10年以上の受給資格期間)を満たすと、受給年齢の65歳になる3ヶ月前に日本年金機構から年金受給手続きの案内が届きます。
 
年金を受給するには、必要事項を記入した年金請求書を、受給開始年齢になる前日以降に年金事務所に提出しなければなりません。年金請求手続きをして1〜2ヶ月すると、年金証書・年金決定通知書が届き、さらに1〜2ヶ月すると年金の受け取りが始まります。
 
しかし、「年金請求手続きを忘れていた」「手続きが必要と知らなかった」などで請求手続きをせずに5年が経過すると、基本権は時効を迎えて消滅する可能性があります(※)。
 
※国などの年金支払者が時効の援用をした場合に基本権の時効が消滅する。時効の援用とは時効が成立したことを主張すること。
 
基本権には5年の時効があることを覚えておきましょう。
 

やむを得ない事情で時効を迎えた場合の対応

 
5年間で時効を迎える、年金を受ける権利である基本権。ただし、やむを得ない事情で基本権の時効を迎えた場合は、書面で申し立てすると、基本権の時効消滅を回避することが可能です(平成19年7月7日以降に基本権が発生した年金は申立書の提出は不要)。
 
平成19年7月6日以前に基本権が発生した年金で、やむを得ない事情で基本権の時効を迎え、時効を援用しない場合は申し立てをしましょう。
 

支分権の時効も5年

 
支分権(年金の支給を受ける権利)の時効も5年です。ただし、受給権の発生時期により時効を迎えることで、支分権が「自動的に消滅する」「自動的に消滅しない」が異なります。
 
・平成19年7月6日以前
支分権は5年経過で時効により消滅します。ただし、年金記録の訂正があり裁定された場合は、時効消滅の場合でも年金は支給されます。
 
・平成19年7月7日以降
年金の支分権は5年たつと勝手に消えるわけではありません。5年経過後、国が時効の完成を主張した場合に消滅します。ただし、以下の場合に国は時効援用しません。

●年金記録の訂正があり裁定されたもの
●時効援用しない事務処理誤りが認められたもの

 

納付の時効は2年

 
国民年金保険料の納付の時効は2年です(国民年金法102条4項)。
 
納付対象月の翌月末日である納付期限を迎えてから2年経過すると時効となり、原則として保険料納付はできません。ただし、未納分については10年前までさかのぼって追納することができます。
 
国民年金保険料を納めないと、万が一のときに障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない場合があります。時効消滅の前に保険料を納付するようにしましょう。
 

時効に関する注意点

 
年金の給付を受ける権利は5年で時効となります。そのため、過去にさかのぼってもらえる年金は最大で5年分です。ただし、年金記録の誤り・訂正によって増額した分は5年より前の分も支給されます。
 
基本的には請求漏れの年金は、過去5年分までしかもらえないことを覚えておきましょう。「手続きを忘れていた」などで請求漏れがないように気をつけてください。
 

納付の時効は2年、受給の時効は5年

 
年金の納付の時効は2年、受給の時効は5年です。過去にさかのぼってもらえる年金は最大5年分となります。「年金の請求手続きや納付を忘れそう」という方は気をつけましょう。
 
また、請求漏れなどに気づいた場合は、面倒に思わず、なるべく早く請求手続きをするようにしてください。
 
これから年金受給年齢を迎える方は、納付の時効と受給の時効があることを覚えておきましょう。
 
出典
日本年金機構 老齢年金の請求手続き
日本年金機構 年金の時効
一般社団法人 年金住宅福祉協会 年金の時効とは(もらい忘れの年金はどうなる?)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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