更新日: 2022.02.17 年金

熟年離婚をしたら、年金は夫婦半分ずつ分けるの?

熟年離婚をしたら、年金は夫婦半分ずつ分けるの?
20年以上一緒に暮らした夫婦の方で、今、熟年離婚を考えているとしたら、例えば老後に必要となるお金として、離婚後の年金の扱いについて、しっかりと調べておく必要があるでしょう。
 
今回は熟年離婚をする前に知っておきたい、年金の分割について解説します。
 
上山由紀子

執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者 鹿児島県出身 現在は宮崎県に在住 独立系ファイナンシャル・プランナーです。
 
企業理念は「地域密着型、宮崎の人の役にたつ活動を行い、宮崎の人を支援すること」 着物も着れるFPです。
 

熟年離婚をする夫婦はどれくらいいるの?

厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)」にある「同居期間別にみた離婚件数の年次推移」をみると、同居20年以上の熟年夫婦で昭和60年の離婚件数は2万434組でしたが、平成17年までは増加傾向にあり、令和元年は4万396組、令和2年では3万8980組と、ここ20年ほどの間は4万組前後で推移しています(※1)。
  
【図表1】

出典:厚生労働省 「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況 結果の概要」
 
総数で見た場合、昭和60年は16万6640組のうち熟年離婚が占める割合は全体の約12%、令和2年は19万3251組の中で約20%となり、約35年前と比べて熟年離婚をする方が増えているのが分かります。
 

離婚したら、お互いの年金はどうなる?

離婚しようと思ったとき、将来受け取れる年金はどうなるのか気になるところです。
 
厚生年金(報酬比例部分)は夫婦の共有財産として、婚姻期間中の厚生年金保険料の納付記録(年金記録)をお互いに分割できる制度があります。
 
夫婦ともに厚生年金に加入していた場合、その期間の年金は夫婦で分割することとなり、例えば妻が専業主婦なら夫の厚生年金を分割することになります。
 
なお、基礎年金(国民年金)については、老後の最低限の生活を保障するための個人の財産として、分割の対象外となっています。
 
では、年金の分割にはどういった方法があるのでしょうか? 制度について解説していきます。
 

離婚時の年金分割の制度とは?

離婚時の年金分割は厚生年金だけとお伝えしましたが、夫婦が加入している年金により利用できる制度は、「合意分割制度」と「3号分割制度」の2つです(※2)。
 
条件などが異なりますので、それぞれに分けて説明していきます。
 

合意分割制度

合意分割制度は、離婚をした夫婦の一方、あるいは双方からの請求によって、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割できる制度です。
 
合意分割に該当する条件は以下となります。

(1)婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること
 
(2)当事者間の合意、または裁判手続きによって按分割合を定めていること(合意がまとまらない場合、当事者の一方の求めにより裁判所が按分割合を定めることが可能)
 
(3)請求期限(原則、離婚などをした日の翌日から2年以内)を経過していないこと

上記(2)の按分割合(分割後の持ち分の割合)を定めるために、年金事務所に情報提供の請求をすることで、分割の対象期間の標準報酬月額や標準賞与額などを把握できます。この請求は当事者双方だけでなく、一方からの請求でも行えます(※3)。
 
合意分割の条件を見てきましたが、その中での注意点は以下のとおりです。

(1)厚生年金記録の合計額を当事者間で分割した場合、それぞれの老齢厚生年金の年金額は、分割後の記録に基づいて計算されます。
 
(2)厚生年金の加入期間や国民年金の保険料納付済期間などによって、受給資格期間を満たしていることが必要です。
 
(3)分割後の計算に基づく老齢厚生年金を受けられるのは、生年月日に応じて定められた支給開始年齢からとなります。すでに老齢厚生年金を受給されている方は、年金分割を請求した月の翌月分から年金額が変更されます。
 
(4)婚姻期間中に国民年金第3号被保険者の期間がある場合、合意分割と同時に3号分割(下記で説明)の手続きがあったとみなされます。

 

3号分割制度

3号分割制度は、厚生年金被保険者の配偶者に扶養されている国民年金第3号被保険者であった方が、離婚時に条件に該当した場合、申請によって利用できる制度です(※4)。
 
婚姻期間中の第3号被保険者期間に夫(妻)が支払った厚生年金の保険料は、夫婦で負担したものとして、離婚した場合、当事者間で年金記録を2分の1ずつ分割できます。合意分割とは異なり、3号分割では当事者双方の合意は必要ありません。
 
条件は以下のとおりです。

(1)婚姻期間中、平成20年4月1日以後の国民年金第3号被保険者期間で相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること
 
(2)請求期限(原則、離婚などをした日の翌日から2年以内)を経過していないこと

当事者の老齢厚生年金の年金額は、合意分割と同じく、分割後の記録に基づいて計算されます。また、年金を受け取るには受給資格期間を満たしているほか、支給開始年齢に達していることが必要となります。
 

分割請求期限

分割請求の期限は、原則、以下の事由に該当した翌日から起算して2年以内です。

(1)離婚したとき
(2)婚姻の取り消しをしたとき
(3)事実婚関係にある人が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるとき

 

まとめ

熟年離婚を考えたとき、配偶者に扶養されている方から見れば、相手の年金額は長年働いてきたことで多いと感じることがあるかもしれません。
 
しかし、厚生年金については離婚時に条件に該当することで、請求により当事者間で年金記録の分割ができます。
 
ただし、請求できるのは離婚後2年以内で、必要な書類の提出といった手続きは、原則、請求する方の住所地を管轄する年金事務所で行うことも覚えておきましょう。
 
出典
(※1)厚生労働省 令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況より「結果の概要」
(※2)日本年金機構 離婚時の年金分割
(※3)日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)
(※4)日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)
 
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者

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