更新日: 2022.02.22 その他年金
2022年4月から年金の繰上げ受給の減額率が変わる? 変更内容とは?
そこで、減額幅が0.4%になったときの「繰上げ受給をした場合の損益分岐点」「実際に繰上げ受給をするにあたってどんな点に注意すればいいか」を知りたい方もいるでしょう。
今回は、年金の繰上げ受給の概要をはじめ、0.4%の受給減額率が適用されるための条件について解説します。また、受給減額率変更後の損益分岐点や年金繰り上げの際の注意点もまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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目次
「繰上げ受給」は年金の受給開始年齢を前倒しできる制度
年金の繰上げ受給とは、通常65歳から受給する年金を60~64歳に前倒しして受給できる制度です。受給開始時期を1ヶ月繰り上げるごとに受給額は0.5%が減額されます。年金の受給開始を60歳と最大5年間繰り上げた場合、受給額から30%の減額となるのです。
しかし、自分がいつまで生きているかは想定できないため、繰上げ受給による損得を確実に判断するのは難しいでしょう。
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2022年4月から受給減額率が0.4%に変更
年金の繰上げ受給の減額率は現状0.5%ですが、年金制度改正によって2022年4月からは1ヶ月繰り上げるごとに0.4%へ緩和されます。その結果、減額率は最大30%から最大24%まで少なくなるのです。
繰上げ受給の請求時点(月単位)に応じて年金が減額され、一度適用された減額率は生涯を通して継続します。
昭和37年4月2日生まれ以降の人が対象
2022年4月以降に年金の繰上げ受給をすれば、誰でも0.4%の減額率が適用されるわけではありません。なぜなら、年金制度改正後の減額率が適用されるのは、1962年(昭和37年)4月2日以降に生まれた人が対象となるためです。
1962年4月1日以前に生まれた人や、2022年4月以前に年金の繰り上げを申請した人は、減額率0.5%のままとなることに注意してください。
受給減額率変更後の損益分岐点は81歳
年金制度改正後の減額率緩和によって、損益分岐点が4歳程度延びます。なお、損益分岐点とは「この年齢まで生きるのなら65歳から受給したほうが得」となる年齢です。
法改正の前後における繰上げ受給の減額率と累計受給額が65歳開始時に追いつく年齢を以下の表で比較してみました。
【現行制度】
年金受給開始時の年齢 | 減額率 | 年齢 |
---|---|---|
60歳 | 30.0% | 76歳8ヶ月 |
61歳 | 24.0% | 77歳8ヶ月 |
62歳 | 18.0% | 78歳8ヶ月 |
63歳 | 12.0% | 79歳8ヶ月 |
64歳 | 6.0% | 80歳8ヶ月 |
【年金制度改正後】
年金受給開始時の年齢 | 減額率 | 年齢 |
---|---|---|
60歳 | 24.0% | 80歳10ヶ月 |
61歳 | 19.2% | 81歳10ヶ月 |
62歳 | 14.4% | 82歳10ヶ月 |
63歳 | 9.6% | 83歳10ヶ月 |
64歳 | 4.8% | 84歳10ヶ月 |
60歳から年金受給を開始した場合、年金制度改正後なら24%減額の年金額が一生涯続きます。受給総額の損益分岐点は80歳10ヶ月(約81歳)となり、その年齢を超えたら65歳で受給したほうが受給総額の面で得します。
年金繰り上げをする際の注意点
年金の繰上げ受給には、いくつかの注意点があります。それらの注意点を十分に理解してから繰上げ受給をするかどうかを決めてください。
・年金受給者に立場が変わるため、年金繰り上げ後は国民年金の任意加入ができない
・老齢基礎年金と老齢厚生年金ともに、原則として同時繰り上げ請求しないとならない(老齢厚生年金と老齢基礎年金のどちらかだけ、両方とも繰り下げされる「年金の繰り下げ」と大きく異なる)
・繰り上げ請求した後に裁定の取り消しはできない
・65歳前に遺族年金の受給権が発生した場合、老齢基礎年金と遺族年金のどちらかを選ぶ必要がある
・寡婦年金の受給者が老齢基礎年金の繰り上げ請求をすると寡婦年金は失権する
年金繰り上げの時期は慎重に判断しよう
年金制度の改正によって、2022年4月から年金の受給開始時期を1ヶ月繰り上げるごとに0.4%が減額されます。しかし、0.4%の減額になるのは、1962年4月2日以降に生まれた人が対象です。1962年4月1日以前に生まれた人は、現行どおり0.5%の減額で変更はありません。
一度年金の繰り上げの請求をすると、取り消しや変更はできません。年金の繰上げ受給をするかどうか迷って自分で答えを出せないときは、お金の専門家や年金事務所などに相談して慎重に判断してください。
出典
日本年金機構 繰上げ請求の注意点
日本年金機構 老齢年金ガイド令和3年度版
日本年金機構 老齢基礎年金の繰上げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員