更新日: 2022.02.21 年金

4月から年金の繰り下げ年齢が75歳まで可能になるってほんと?

4月から年金の繰り下げ年齢が75歳まで可能になるってほんと?
2022年4月から、年金受給における繰り下げの上限年齢が70歳から75歳に延長します。年金受給開始の年齢は自分で決められますが、75歳までの上限引き上げに伴い「何歳からなら、繰下げ受給のメリットを享受できるのだろうか」「総受給額を考慮して受給開始の年齢を遅らせるべきなのか」と考える方もいるのではないでしょうか。
 
今回は繰下げ受給がどんな制度なのかをはじめ、2022年4月より始まる年金の受給開始上限年齢の引き上げについて、繰下げ受給を行うメリットなどを詳しく解説します。将来に備えるために、ぜひ当記事の内容を参考にしてください。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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「繰下げ受給」とは年金の受給開始時期を65歳以降に遅らせる制度

年金の繰下げ受給とは、通常65歳からの年金受給開始時期を66歳以降70歳までの間に遅らせる制度です。繰下げ受給の請求をした時点に応じて、受け取れる年金受給額が増額します。
 
現行の制度で繰下げ受給をした場合、1ヶ月あたりの年金受給額が0.7%増えます。例えば70歳まで繰り下げると、最大42%(0.7%×60ヶ月=42%)の増額が可能です。

 

2022年の4月以降は75歳まで延長可能

現行制度における繰下げ受給の上限年齢は70歳ですが、2022年4月以降は75歳まで延長します。増額率は1ヶ月あたり0.7%で変わりませんが、75歳まで繰り下げることで65歳から受給開始するよりも受給額が最大84%(0.7%×120ヶ月=84%)も増額します。
 
なお、遺族年金や障害年金は繰下げ受給の対象とならないため注意してください。

 

厚生年金加入者は「国民年金と厚生年金の両方」「どちらかのみ」で繰下げ受給が可能

厚生年金加入者は、国民年金と厚生年金のそれぞれを受給できます。繰下げ受給を希望して、受給開始年齢を遅らせるときは「国民年金と厚生年金を繰下げ受給」「どちらか一方のみ繰下げ受給」のいずれかを選んでください。
 
前倒しで年金を受給する「繰上げ受給」は、繰下げ受給と異なり、国民年金と厚生年金を別々に繰り上げられません。

 

年金の繰下げ受給のメリットを享受できるのは何歳から?

年金受給の開始時期を繰り下げる場合「何歳からならメリットを享受できるのか」「通常の受給開始年齢となる65歳よりも多く年金を受け取るには何歳まで生きればよいか」を比較しました。
 
【本来の受給できる年金額を100万円として計算】

70歳から繰下げ受給 およそ81歳まで生きれば、繰下げ受給をしたほうが65歳受給開始を上回る

・65歳から受給: 100万円×17年(82歳-65歳)=1700万円
・70歳から繰下げ受給:142万円×12年(82歳-70歳)=1704万円

75歳から繰下げ受給 およそ86歳まで生きれば、繰下げ受給をしたほうが65歳受給開始を上回る

・65歳から受給: 100万円×22年(87歳-65歳)=2200万円
・75歳から繰下げ受給:184万円×12年(87歳-75歳)=2208万円

 
これまでの繰下げ受給の上限年齢となる70歳なら、年金額を最大42%増にできました。65歳から年金を受給するよりも、受給総額が上回る年齢はおよそ82歳です。
 
2022年4月の改正によって上限年齢が75歳に引き上げられ、年金額が最大84%も増えます。その場合、およそ87歳まで生きれば65歳から受給するよりも受給総額が上回り、繰下げ受給のメリットをより享受できるでしょう。

 

総受給額が増える=繰下げ受給をしたほうがよいとならない

年金の総受給額が増えるからといって、必ず繰下げ受給をしたほうがよいわけではありません。年金受給の開始時期を繰り下げたものの、想定外の病気や事故により亡くなるまでの期間が短ければ、毎月の受給額は増えても総受給額が少なくなるからです。
 
また、年金受給の開始時期を繰り下げている間は年金による収入を確保できません。働ける環境や十分な資産を保有していないと、生活費の捻出が難しくなる可能性が高いです。
 
さらに繰下げ受給によって年金額が増えることにより、社会保険料や税金の負担が多くなることも考慮しておかなければなりません。
 
繰下げ受給を無理に行うのではなく、自分に適したタイミングを見極めて年金の受け取りを開始するといった対応も求められます。

 

75歳から受給開始して得をする可能性が高いのは女性

年金の受給開始時期を75歳まで繰り下げた場合、女性のほうが多くの年金を受給できる可能性があります。厚生労働省の「令和2年簡易生命表の概況」では、 主な年齢の平均余命において男性の平均寿命は81.64年、女性の平均寿命は87.74年としているからです。
 
ただし、平均寿命はあくまでも目安のため、必ずしも女性が87.74歳まで確実に生きられるとは限りません。これらの情報も参考にしたうえで、年金の受給開始時期を決めてください。

 

平均寿命や状況を考慮して繰り下げの時期を見極めよう

2022年4月から、年金の繰下げ受給の年齢が現状の70歳から最長75歳まで延長できます。75歳で繰下げ受給を開始すれば、65歳時点で年金を受給するよりも最大84%も増やせる点が大きな特徴でありメリットです。
 
ただし、繰下げ受給を意識したがために、疾病や事故により年金を少ししか受け取れずに亡くなるリスクがあります。平均寿命をはじめ、自分の健康面や病気にかかるリスクなどを考慮して、いつから年金を受給すればよいかを検討しましょう。

 
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 01概況(表紙~国際比較)R2(機密性2) (mhlw.go.jp)
厚生労働省 被用者保険の適用拡大について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
 

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