更新日: 2022.02.24 国民年金
学生時代の年金の追納は「加算時期」「確定申告」「10年」がポイント
今回は、国民年金の仕組みから学生納付特例制度、そして年金の追納について分かりやすく解説します。
国民年金の仕組み
日本の公的年金制度は「国民皆年金」と呼ばれ、原則20歳から60歳未満のすべての国民が加入しなければいけない「国民年金」(1階部分)と、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」(2階部分)からなります。
「国民年金」は、現役世代が払う年金保険料と税金で賄われ、もらえる年金額は、40年保険料を払い続けて満額約78万円(令和3年度)となります。ただし年金を受け取るためには、保険料免除期間を含め国民年金を納付する資格期間が10年以上必要です。
なお、国民年金は、賦課方式を採用しており、一定額の保険料を納めることにより、障害・死亡などに対する保障がされます。「老齢基礎年金」としては原則65歳から支給となります。
年金保険料は月額1万6610円(令和3年度)、納付方法は月単位だけでなく、前払い(6ヶ月・1年)することもでき、口座振替・クレジットカードでの支払いも可能です。
また、年金保険料は物価や賃金の伸びに合わせて毎年調整されることになっています。国民年金には、「付加保険料」というオプションがあります。これは国民保険の保険料に上乗せして、年金額を増やすことができる制度です。
「付加保険料」は月額400円の定額で納付し、「付加年金額」は200円×付加保険料納付月数で給付されます。2年以上付加年金を受け取ると、支払った付加保険料以上の年金が受け取れることになります。
また60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない人や、納付済期間が40年に満たない人が年金の増額をしたい場合は、60歳以降でも国民年金に任意加入することができます。
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国民年金の利点と注意点は
国民年金には、
(1)老後を支える終身年金である
(2)障害や死亡などの場合に遺族を保障する
(3)保険料は社会保険料控除の対象になり所得税・住民税が控除される
(4)年金の半分は税金で負担される
(5)追納した分は年金が増えるなどの利点があります。
ただ、
(1)「マクロ経済スライド方式」で年金の給付水準が調整される
(2)保険料を納めない分は年金が減額されるといった点には注意が必要です。
「マクロ経済スライド方式」とは賃金や物価の改定率-スライド調整率(現役の被保険者の減少と平均余命の延びに応じて算出した値)で算出されます。
学生納付特例制度とは
「学生納付特例制度」とは、前年所得が基準以下の学生を対象とした、国民保険料の納付が猶予される制度です。対象になる学生は、大学生・短大生・高等学校生などほとんどの学生が含まれます。
対象となる収入の目安は、家族とは別に申請者本人の前年所得が、「128万+扶養親族等の数×38万円+社会保険控除等」が基準となります。
学生納付特例制度を利用するには、
(1)年金手帳または基礎年金番号通知書
(2)学生であること(またあったこと)を証明する書類
を添えて、「国民保険料学生納付特例申請書」を市区町村役場の国民年金窓口または年金事務所などに提出する必要があります。
「学生納付特例制度」を申請すると、保険料の納付は猶予されますが、受給資格期間には算入されるため、病気やけがで障害が残ったときなどには、障害基礎年金を受け取ることができます。
年金の追納とは
国民年金保険料の免除・納付猶予や学生納付特例の承認を受けた期間は、年金の受給資格期間には含まれますが、年金額には反映されません。ただし、後から年金を追納することにより、老齢基礎年金の受給額を増やすことができます。
追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の期間の分までです。ただし、免除や納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から3年度以降に保険料を追納する場合は、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額(10年前の分で約2%)が上乗せされます。
なお、追納をする際には、マイナンバーが確認できる書類と身元確認書類を添えて申請用紙を年金事務所に提出する必要があります。
追納すると、その分の国民保険料は確定申告をすることで社会保険料控除の対象になり、所得税・住民税が控除されます。なお、付加保険料は追納の期間は納付することができませんので注意が必要です。
まとめ
学生納付特例を受けた場合の追納については、「10年前の分まで可能なこと」、「3年度以降は加算額がつくこと」、そして「確定申告を忘れないこと」を覚えておいてください。
国民年金は半分が税金で負担される終身年金であり、長寿社会での老後においては大切な収入源となりますので、追納や付加年金などを含め、できるだけたくさんもらえるように工夫してみると良いでしょう。
なお、国民年金が将来どのくらいもらえるかの目安としては、40年納付して満額約78万円支給されますので、1年分を2万円弱(78万円÷40年)として、納付した年数×2万円もらえると理解したら分かりやすいと思います。
出典
(※)日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表