更新日: 2022.02.23 その他年金
これだけは必ず見ておこう!「ねんきん定期便」
届いたら必ず確認してほしいポイント、そして保管の重要性をお伝えします。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
ねんきん定期便とは?
「ねんきん定期便」は、保険料納付の実績や将来の年金給付に関する情報を、厚生年金保険および国民年金の加入者に送られてくるものです。
冒頭に記載のとおり、毎年誕生月に送られてきます。基本的にははがきで送られてきますが、節目年齢(35歳、45歳、59歳)には封書で送られてきます。
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送られてくるはがきはどのように見るの?
今回は50歳未満の方に送られてくるはがきを見てみます。このはがきは3つ折りの圧着はがきで送られてきて、開くと図表1のようになっています。過去のこと、現在のこと、未来のことの順に、主に確認しておきたいポイントを見ていきます。
【図表1】
(日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和3年度送付分)」より引用)
(1) これまでの年金加入期間
ねんきん定期便にはこれまでの年金加入期間が記載されています。
では、国民年金の加入期間の見方です。第1号被保険者期間に未納期間は含まれませんが、全額免除期間、学生納付特例期間、納付猶予期間は、実際に保険料を支払っていない期間にもかかわらず、第1号被保険者期間に含まれています。
しかし、一部免除期間については未納期間に含まれてしまいます。また、保険料を前納している期間は、ねんきん定期便の作成年月日以降の期間であっても、納付済月数に含めて表示しています。
この納付済期間が原則として120ヶ月(10年)以上なければ、老齢年金を受け取ることができませんので注意しましょう。
(2) 標準報酬月額の確認(「最近の月別状況です」の部分)
ねんきん定期便では、厚生年金保険に加入中の各月の標準報酬月額や標準賞与額が記載されています。標準報酬月額とは、毎月の保険料の基礎となる金額で、4月から6月の3ヶ月の給与に基づき、同年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額が決定されます。
ただし、賃金の大幅な変動(2等級以上の変動)が生じた場合は、標準報酬月額の変更の届け出を行うことで変更できます。標準賞与額とは、総報酬制が始まった平成15年4月以降の賞与の支給額で、支給の都度、事業主が届け出を行います。
標準報酬月額や標準賞与額は保険料の基礎だけではなく、将来もらえる年金額の基礎となりますので、標準報酬月額の急激な変更や賞与時期の標準賞与額などを確認するのがポイントです。
(3) これまでの保険料納付総額(累計額)
ねんきん定期便には、これまで納付した保険料総額が記載されています。国民年金保険料は、これまで負担した保険料の総額で、付加保険料を納付した場合は付加保険料が含まれ、免除期間について追納した場合は加算額を含めた合計、前納で保険料の割引があった場合は、割引後の保険料合計です。
厚生年金保険料は、事業主と被保険者の折半ですが、ねんきん定期便に記載されているのは被保険者負担分のみの額で、事業主負担分は含まれていません。
(4) 年金見込み額(「これまでの加入実績に応じた年金額」の部分)
注意点としては、記載されている年金見込み額がこれまでの加入実績に応じた年金額であるということです。
年金を受け取るためには、受給資格を満たすことが条件です。120ヶ月未満しか保険料を払ってない方であっても見込み額が記載されていますが、仮に120ヶ月を満たさなければ年金は受け取れませんので注意してください。
また、離婚などにより厚生年金保険の標準報酬の分割対象となった方は、分割後の標準報酬を基に計算されています。
そのほかの注意点は
そもそもねんきん定期便が届かないということもあります。ねんきん定期便は住民票上の住所へ送られてくるので、住所が正しく登録されていないと届きません。誕生月が過ぎても届かない場合は年金事務所等で確認をしましょう。
また、以前納付者を特定できない不明な年金記録があると報道されました(※)。その後、年金記録の確認は進んだものの、まだ多数の不明な記録が残っているようです。また、厚生年金基金においても不明な記録が存在します。
加入期間や標準報酬月額・標準賞与額等の年金記録の間違いは、将来年金を受給するときになって不利益を受けることになります。
特に20代の方にとって、年金が受給できる時期についてイメージするのは難しいかもしれませんが、そのときになってからではなく、今のうちから年1回のねんきん定期便を通して、年金制度を考えてみてはいかがでしょうか。
(※)日本年金機構 年金記録問題とは?
(出典)日本年金機構 「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和3年度送付分)
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表