更新日: 2022.02.23 その他年金
その病気やけが、障害年金を受け取れるかも?
障害年金は、年金加入中に障害を負った場合であることが要件ですが、障害年金を受けられるのはどのような障害でしょうか。
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
対象となるのはどんな障害?
障害と聞くと、けがにより神経がまひして体が動かなくなる、事故により手足を失ったなど、外部障害の場合を思われるでしょう。
しかし、外部障害だけでなく、精神障害、がんや糖尿病などの内部障害により長期療養が必要な場合も対象です。
主なものは以下のとおりです。
1)外部障害
眼、聴覚、肢体(手足など)の障害など
2)精神障害
統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など
3)内部障害
呼吸器疾患、心疾患、腎臓病、血液・造血器疾患、糖尿病・がん
(日本年金機構「障害年金の対象となる病気やけがにはどのようなものがありますか」より引用)
ただし、この病気にかかったら必ず受給資格があるのではありません。
国民年金法施行令別表、厚生年金保険法施行令別表1、2の法令で定められた障害の状態にあり、かつ、その状態が長期にわたり続く場合に、等級により受給ができます。
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障害年金の対象になる障害の程度は?
では、障害年金を受給できるのはどの程度の障害なのでしょうか。
【1級】
体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、他人の介助がなければ生活ができない程度。活動の範囲がベッド周辺に限られる。
【2級】
体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、働けない状態。労働により収入を得ることができない程度。活動の範囲が家屋内に限られる。
【3級】
労働が著しく制限を受けるか、労働に著しい制限を加える。「傷病が治らないもの」については、労働が制限を受けるか、労働に制限を加える程度。
【障害手当金】
「傷病が治ったもの」で、労働が制限を受けるか労働に制限を必要とするもの。
(厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準令和4年1月1日改正」より引用)
※ただし、これは障害年金を受給する場合の等級です。身体障害者手帳の等級とは異なります。例えば、障害者1級の手帳を保有していても、必ずしも障害年金1級に該当するとは限りません。
初診日に注意
病気やけがで初めて医者に診察を受けた日(初診日)に加入していた年金制度により、受け取れる障害年金が異なります。
国民年金加入の場合は、1級・2級に該当する場合に障害基礎年金(1級=97万6125円+子の加算額(2人目までは1人につき22万4700円、3人目以降は1人につき7万4900円)、2級=78万900円+子の加算額(1級と同じ))を受け取ることができます。初診日が20歳前や60歳以上65歳未満でも支給対象です。
障害認定日は、初診日が20歳前の場合は20歳になったとき、20歳以降は初診日から1年6ヶ月経過したとき(または1年6ヶ月以内で症状が固定したとき)、以後65歳になるまでの間で、申請したときの程度が障害等給1級・2級であると認定される場合です。
初診日が厚生年金加入の場合は、1級・2級に該当すれば障害厚生年金(1級=報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金、2級=報酬比例の年金額+配偶者の加給年金)と障害基礎年金の両方を受けることができます。
その他に3級(報酬比例の年金額(最低58万5700円)、障害手当金(報酬比例の年金額×2(最低117万1400円))を受けることができます。
ここで注意が必要なのは、年金は1人1年金であること。60歳から老齢年金の繰上げ受給をしてしまっていると、繰上げ受給後に障害が発生しても障害年金は受け取れません。
また、障害認定日に認定を受けた日以降、いつでも請求できますが、さかのぼれるのは5年までです。時効にご注意ください。
障害年金に該当すると思われる場合、市区町村役場の国民年金の窓口や、年金事務所でご相談ください。
(注意:年金額は、令和3年4月のものです)
出典
日本年金機構 障害年金の対象となる病気やけがにはどのようなものがありますか。
日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準
政府広報オンライン 障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患の方も対象です
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者