免除や猶予されていた国民年金保険料を追納しない人は、将来の年金額いくら減る?
配信日: 2022.03.01
その間の保険料を追納しないままでいると、将来受け取れる年金額が減ってしまいます。具体的にいくらくらい減ってしまうか、検証してみます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
国民年金の支給額はどう決まる?
国民年金の支給額は、令和3年度の満額で年78万900円を基準とし、保険料の納付実績によって下記の計算式で決まります。
出典:日本年金機構 「老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)」
簡単にいうと、全加入期間となる40年分(480ヶ月)の保険料を納付すれば満額を受け取れますが、免除や猶予による未納期間がある場合は、支払った保険料に応じて年金額が変わります。
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追納しないままではどれくらい年金が減る?
では実際、過去に免除や猶予を受けていた保険料を追納しないままでは、どれくらい年金が減るのでしょうか。
筆者の元に相談があった以下の3つのパターンを例に試算してみます。
●学生時代の2年間、学生納付特例制度により保険料の納付を猶予されていた
●8年間、保険料の納付を全額免除されていた
●15年間、保険料の納付を半額免除されていた
なお、上記の免除・猶予の適用を受けていた以外の期間については、いずれも保険料の未納はないものとします。
学生時代の2年間、学生納付特例制度により保険料の納付を猶予されていた場合
学生時代の2年間(24ヶ月)、学生納付特例制度の適用を受けて保険料の納付を猶予されていた場合、全加入期間480ヶ月のうち、保険料を支払ったのは456月分となります。
学生納付特例制度で猶予された期間は、年金の受給資格期間を計算する際には含まれますが、年金額には反映されないので受け取れる年金額は下記のとおりです。
78万900円×456÷480=74万1855円
2年間の猶予による未納分があると、受給できる年金額が年間で3万9045円減ってしまうことになります。
8年間、保険料の納付を全額免除されていた場合
保険料の納付を全額免除されていた期間については、全額納付の8分の4とされるため、8年間(94ヶ月)全額免除を受けていた場合、保険料を納付した期間は合計432ヶ月として計算されます。
従って、受け取れる年金額は下記のようになります。
78万900円×432÷480=70万2810円
この場合、受け取れる年金額が年間で7万8090円減ります。
15年間、保険料の納付を半額免除されていた場合
40年の加入期間のうち15年間(180ヶ月)、保険料を半額免除されていた場合、免除期間の納付月数は8分の6とされ、保険料を納付した期間は合計435ヶ月として計算されるため、受け取れる年金額は下記のとおりです。
78万900円×435÷480=70万7691円
年間では7万3209円が減少します。
保険料を追納するには?
納付の免除や猶予を受けた期間の保険料を追納する場合、最寄りの年金事務所へ追納の申し込みをして、承認後に郵送されてくる専用の納付書を使って納付します。
しかし、保険料を追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られ、それ以前の分は追納することができません。
さらに、免除・猶予を受けた期間の翌年度から3年度目以降の分を追納する際は、当時の保険料額に加えて、一定の追納加算額を支払わなければなりません。
出典:日本年金機構 「老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)」
免除や猶予を受けた期間は追納の検討を
国民年金保険料について過去に納付の免除や猶予を受けていた場合、国民年金の支給額の計算時、一定の計算式に従って受け取れる年金額が減少します。
将来、自分が受け取れるであろう年金額を試算して少ないと感じた場合は、免除や猶予期間の保険料の追納について早めに検討してください。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:柘植輝
行政書士