更新日: 2022.03.05 国民年金

「学生納付特例制度」を利用した場合、一番お得に追納できるのはいつ? 加算される時期とは?

「学生納付特例制度」を利用した場合、一番お得に追納できるのはいつ? 加算される時期とは?
現在学生である方、あるいは過去学生であった方の中には、「学生納付特例制度」によって、国民年金保険料の支払いを猶予されている期間のある方もいるのではないでしょうか。
 
猶予された保険料を追納するのに一番お得な時期はいつなのでしょうか。追納時に加算額が加算される時期を踏まえ考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

学生納付特例制度とは

学生納付特例制度とは、所得が一定以下の学生に対して、在学中の国民年金保険料の納付が猶予される制度です。
 
学生納付特例制度の適用を受けていた期間は、年金の受給資格を判定するための期間としては年金記録へ反映されますが、実際に保険料を支払っていたわけではないため、将来受給する年金の額には反映されません。
 
例えば、65歳で年金を受け取るとき2年間猶予を受けていた場合、年金の受給資格の計算にあたっては未納期間なしとして年金を受給できるのですが、年金額については2年分減額された、74万1855円しか受給できないということになります。
 

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猶予中の保険料は追納できるが加算額に注意

学生納付特例制度によって猶予されていた間の国民年金保険は、10年以内であれば追納して納め、将来年金を満額受け取れるようにすることができます。
 
ただ、追納には1点大きな注意点があります。それは猶予を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に保険料を追納する場合は、猶予当時の保険料に一定の金額の加算額を加算した金額を支払わなければならない点です。いわば利子のようなものです。
 
参考までに令和3年度中に追納する場合は図表のような追納保険料額になります。
 
【図表】

出典:日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 

追納を一番お得にできる時期は?

では、追納可能な10年間のうち、一番お得に追納できる時期はいつになるのでしょうか。
 
少しでも追納加算額を発生させないようにするということを重視するのであれば、猶予を受けた期間の翌年度から起算して2年度以内、かつ、就職している時期です。
 
加算額が発生しない上、追納した年金保険料分だけ社会保険料控除が適用され、収入に対する税金が安くなるからです。
 
19歳になる年度に入学し、20歳から保険料の納付を猶予され、22歳で卒業と就職をする一般的な大学生であれば、卒業して就職した年に追納すれば加算額がない上、追納による節税の恩恵を受けられます。
 
追納加算額は保険料に対して微少であるため、そこには重きを置かず、社会保険料控除による節税の恩恵を受けるという点に重きを置くのであれば10年目ギリギリ、かつ、結婚前の段階での追納が一番お得といえます。
 
一般的には入社直後は給与が少なく、翌年からは住民税の支払いも生じるため、生活もカツカツです。だからといって結婚後は子育てなどで支出が増えたり、そもそも扶養控除など控除が独身よりも多くなる方が多いです。
 
そのため、タイミングは人によって異なりますが、追納可能な10年以内の範囲でかつ、結婚前で最も収入の高い時期もおすすめとなります。
 
また、同様に節税に重きを置くのであれば、仮想通貨でたまたま大きく利益が出たなど、突発的に収入が増えたタイミングで追納するのもよいでしょう。
 

国民年金保険料の追納は加算額と節税効果を加味してベストなタイミングを探るべき

学生納付特例制度によって猶予されていた保険料は、追納することができますが、猶予された翌年から起算して3年度目以降に追納すると保険料に対しては少額ですが追納加算額が生じます。
 
追納はいつが一番お得なタイミングなのかは人によって異なります。それを踏まえ、現在猶予を受けている方や過去猶予を受けていた分の追納について検討している方は、追納する場合、自身にとっていつが一番お得に追納できるのか考えてみてください。
 
出典
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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