更新日: 2022.03.10 年金

働き続ける65歳以上に朗報。年に1回年金額が増える「在職定時改定」はいつから開始される?

執筆者 : 柘植輝

働き続ける65歳以上に朗報。年に1回年金額が増える「在職定時改定」はいつから開始される?
老後もできる限り長く働き続けたいと考えている方に朗報となる、在職定時改定という制度が新たに始まります。 在職定時改定とはどのような制度なのか、65歳以降も就労を希望する方に向けて解説します。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

在職定時改定とは? いつから開始される?

在職定時改定とは、就労して厚生年金に加入している65歳以上の方を対象とする制度で、令和4年4月1日より導入される予定です。
 
これまで、老齢厚生年金の受給権を取得する65歳以降に就労して厚生年金に加入し、厚生年金保険料を支出していた場合、65歳以降の加入履歴分について、退職や70歳に到達するなど厚生年金を脱退するまでは年金額に反映されないという運用がされていました。
 
それにより、厚生年金を受給しながら就労し、同時に厚生年金保険料を納めている65歳以降の方は、保険料を支払っているにもかかわらず、退職時や70歳到達時までは支払った保険料分が増額されない状況が続いていました。
 
今回、在職定時改定が導入されることで、65歳以降での厚生年金の加入履歴が年金額に毎年反映されることになり、働きながら受給する年金額が早期に増えることとなります。
 
厚生労働省によると、65歳以降、毎月の給与19万5000~21万円(標準報酬月額20万円)で1年間就労した場合、在職定時改定により厚生年金の金額が年間で1万3000円程度増加する試算となっています。
 
年金収入が早期に増加することで、老後も働くモチベーションが高まることが予想されています。
 

在職定時改定の注意点

在職定時改定の導入後に注意すべき点として、在職老齢年金の存在があります。
 
在職老齢年金とは、厚生年金を受けながら働く方において給与と厚生年金の月額の合計額が、65歳以降では基準額の47万円を超えると年金額の全額、または一部の支給が停止されるというものです。
 
在職定時改定によって就労中、年金額が毎年増加していくということは、これまで在職老齢年金での年金カットの対象外だったはずの方が、増額により年金がカットされるようになる可能性があるということにもなります。
 
例えば、今まで給与と厚生年金の合計が月47万円であった場合、同じ給与でも在職定時改定による年金の増額で翌年には給与と年金の合計が47万円を超えてしまい、在職老齢年金の対象となることがあり得るのです。
 
在職定時改定は基本的に、働く高齢者にとってプラスに作用するものですが、一定以上の収入があると、かえってマイナスに作用する場合もあるということを覚えておいてください。
 
なお、現行の制度では60~65歳未満の在職老齢年金の基準額は28万円ですが、令和4年4月からは65歳以降と同じく47万円に引き上げられます。
 

厚生年金に加入していない場合は在職定時改定の影響を受けない

在職定時改定は、65歳以降の厚生年金加入者を対象にした制度です。したがって、自営業や業務委託など厚生年金に加入していない場合は、厚生年金を受け取りながら働いても在職定時改定の影響を受けることはありません。
 

65歳以降の働き方は在職定時改定を踏まえての検討を

令和4年4月からは在職定時改定が導入され、働きながら厚生年金を受け取る高齢者の生活がより安定することになります。一方で、厚生年金を含めた収入が47万円を超える高齢者にとっては、在職老齢年金との兼ね合いで収入が減少してしまう場合もあります。
 
65歳以降は在職定時改定を踏まえて、自身にとって老後がより豊かになる働き方について考えてみてください。
 
出典・参考
厚生労働省年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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