老後も厚生年金の被保険者として働き続けると妻もお得になる理由とは?

配信日: 2022.03.15

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老後も厚生年金の被保険者として働き続けると妻もお得になる理由とは?
老後も夫が厚生年金の被保険者として働き続けると、被扶養配偶者である妻は国民年金の第3号被保険者となることができるなど、さまざまなメリットがあります。今回は、夫が老後も会社員として働く場合のメリットについて解説します。
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

国民年金の第3号被保険者となることができる

60歳未満の妻は、夫が定年などによる退職後に働かない場合、国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を納めなければなりません(※1)。
 
一方、夫が厚生年金の被保険者として働いた場合は、報酬に一定の保険料率を掛けて求められる厚生年金保険料を労使で折半して納付することになり、夫に生計を維持されているなどの条件を満たせば、妻は第3号被保険者となって国民年金保険料を納付する必要はなくなります(※2、3)。
 
図表1
 
●加入する年金制度と保険料負担

※1 を基に筆者作成
 

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健康保険の被扶養者となることができる

夫が会社の退職後に就労しない場合、夫婦ともに国民健康保険に加入しなければならず(75歳未満で健康保険の任意継続被保険者になる場合を除く)、世帯として前年の収入に応じた2人分の国民健康保険料(税)を納付する必要があります(※4)。
 
一方、夫が会社員として働き続ける場合は、会社が加入する健康保険組合の被保険者となり、夫に生計を維持されているなどの条件を満たすことで、妻は被扶養者として夫と同様の保険給付を受けることができます(※2)。
 
また、夫の報酬に一定の保険料率を掛けて求められる健康保険料を労使で折半して健康保険組合に納付するため、妻は健康保険料を支払う必要はありません。
 
なお、夫が70歳に達すると厚生年金の被保険者資格を失いますが、75歳までは引き続き健康保険の被保険者となれます(※5)。そして、75歳に達すると健康保険制度から後期高齢者医療制度に移行し、世帯主が市区町村に保険料を納付します。
 
したがって、会社員の夫が75歳となった時点で、75歳未満の妻は国民健康保険に加入することになります(※6)。
 
図表2
 
●加入する健康保険制度と保険料負担

※2、4 を基に筆者作成
 

介護保険料の支払いが免除される

40歳以上のすべての方が加入する介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40~64歳の第2号被保険者に区分されています。そして、第2号被保険者の介護保険料は、加入する健康保険制度を通じて徴収されます(※7)。
 
したがって、夫が会社員として厚生年金に加入して働き続ける場合、報酬に一定の保険料率を掛けて求められる介護保険料を労使折半で負担し、健康保険料と合わせて健康保険組合に納付するため、被扶養者である妻は介護保険料を支払う必要はありません。
 
一方、夫が退職後に働かない場合は、夫婦ともに世帯として前年の収入に応じた2人分の介護保険料を、国民健康保険料(税)と合わせて市区町村に納付します。
 
なお、65歳以上の第1号被保険者の介護保険料は、原則として年金から天引きされます。
 
図表3
 
●介護保険の被保険者区分と保険料負担

※7 を基に筆者作成
 

まとめ

老後も夫が会社員として働き続けると、厚生年金と健康保険組合の被保険者となるため、その夫に扶養されている妻は保険料を負担することなく、国民年金の第3号被保険者と健康保険の被扶養者になることができます。また、健康保険料と合わせて徴収される介護保険の第2号被保険者の保険料も支払う必要はありません。
 
出典
(※1 )日本年金機構 公的年金の種類と加入する制度
(※2 )日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
(※3) 日本年金機構 保険料の計算方法について
(※4) 公益社団法人 国民健康保険中央会 国民健康保険制度
(※5) 日本年金機構 従業員が70歳になったとき
(※6) 全国健康保険協会 75歳以上の方が全国健康保険協会管掌健康保険から後期高齢者医療制度に移行することにより、その扶養家族である被扶養者の方が新たに国民健康保険に加入する場合の手続きについて
(※7) 厚生労働省 介護保険制度について(40歳になられた方へ)
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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