更新日: 2022.03.18 国民年金
高齢の夫婦は、配偶者が亡くなると収入にどんな変化があるの?
今回は、高齢の夫婦が配偶者死亡の際に、収入においてどのような変化が生じるか解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com
老齢年金の構造
老後にもらえる年金は、国民年金部分からなる老齢基礎年金と老齢厚生年金の合算額です。
老齢厚生年金は、厚生年金保険料を一定期間払っているなどの要件を満たしていない限り受給はできません。
しかし、現役時代を会社員として過ごしていたのであれば、ほぼ確実に受け取れるのではないでしょうか。
■老齢厚生年金の仕組み
老齢厚生年金は原則として60歳から受給可能ですが、65歳未満と65歳以上では受給額が異なります。本記事では高齢の夫婦を前提としているので、65歳以上のケースで説明します。
65歳以上の場合における受給額は、「報酬比例年金額」と「経過的加算」そして「加給年金額」を加えたものです。
■報酬比例年金
報酬比例部分は、平均標準報酬月額および、平均標準報酬額を基準として計算されますが、平成15年3月までとそれ以降で、異なる乗率が適用されます。具体的な計算方法は以下のとおりです。
平成15年3月まで:平均標準報酬月額×その人の生年月日に応じた乗率×平成15年3月までの加入期間
平成15年4月以降:平均標準報酬額×その人の生年月日に応じた乗率×平成15年4月以降の加入期間
ちなみに平均標準報酬月額とは、平成15年3月までの各月の標準報酬月額の総額を加入期間で除したもので、平均標準報酬額とは、平成15年4月以降の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入期間で除したものです。
■経過的加算
経過的加算の額は、以下の計算式によって求められます。
(1628円×その人の生年月日に応じた乗率×厚生年金保険加入月数)-(78万900円×(昭和36年4月以降で20歳以上60歳未満の加入期間÷加入可能月数)
■加給年金額
加給年金は定額部分が支給されており、その人に生計を維持されている配偶者や子どもがいる場合に支給されるもので、配偶者が65歳になるまで支給されます。
支給額は22万4700円ですが、配偶者の生年月日により、特別加算額が設けられています。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
遺族厚生年金
高齢の夫婦で夫が死亡した場合、妻は遺族厚生年金を受け取ることができます。
■遺族厚生年金の仕組み
遺族厚生年金の年金額は、基本的に死亡した人が受給していた老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
さらに要件を満たすことで、「中高齢寡婦加算」もしくは「経過的寡婦加算」が遺族厚生年金額に加算されます。
■中高齢寡婦加算
中高齢寡婦加算とは、夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満の、生計を一つにしている子のない妻が受給できるもので、受給額は58万5700円です。
■経過的寡婦加算
経過的寡婦加算は、以下のいずれかに該当した際に受け取れるものです。
1.65歳以上の妻に遺族厚生年金の受給権が発生した場合(妻の生年月日が昭和31年4月1日以前である場合に限る)
2.中高齢寡婦加算を受給していた妻が65歳になったとき(妻の生年月日が昭和31年4月1日以前である場合に限る)
妻も老齢厚生年金を受け取っている場合
高齢の夫婦で、妻も老齢厚生年金を受け取っている場合の遺族厚生年金額は、以下のいずれか高い額が適用されます(平成19年4月1日以前遺族厚生年金の受給権があり、65歳以上であることが要件)。夫が死亡した例で考えます。
1.夫が受給していた老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3
2.夫が受給していた老齢厚生年金の報酬比例部分の2分の1と、自分の老齢厚生年金額の2分の1を合算した額
まとめ
老齢厚生年金を受け取っている夫が死亡した場合、妻が受け取れる遺族年金は、基本的に夫が受給していた老齢厚生年金の、報酬比例部分の4分の3の額が支給され、さらに寡婦加算があります。
寡婦加算は生年月日の要件を満たす必要がありますが、それを受給できるのであれば、基本的には、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の1程度、受給額が下がると考えてよいでしょう。
さらに、自身の老齢基礎年金も継続して受給できます。ただし、平成19年4月1日以降は制度が変わり、老齢厚生年金を受け取っている場合は、自身の老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となる点には、注意が必要です。
夫が亡くなった後の年金受給額がいくらになるのか不安な人は、夫の厚生年金受給額を確認しておきましょう。
また、高齢の夫婦で夫が自営業だった場合、夫の年金は老齢基礎年金のみですので、残された妻は遺族基礎年金を受け取ることができず、自分の老齢基礎年金(老齢厚生年金の受給資格があるなら、それを加算した額)となる点にも、注意が必要です。
出典
(※1)日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
(※2)日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員