更新日: 2022.03.19 厚生年金

老齢厚生年金の「報酬比例部分」とは? 定額部分との違いもチェック

老齢厚生年金の「報酬比例部分」とは? 定額部分との違いもチェック
老齢厚生年金の支給開始年齢は、現在60歳から65歳へと段階的に引き上げられていますが、この引き上げをスムーズに行うための制度として「特別支給の老齢厚生年金」が設けられました。この年金は「報酬比例部分」と「定額部分」という2種類の計算部分で構成されており、ともに厚生年金の根幹をなす重要な要素です。
 
「報酬比例部分」がどういうものか、「定額部分」との違いを押さえながら確認していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com

そもそも厚生年金とはどんな制度?

日本の公的年金には、国民年金と厚生年金があります。国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の国民すべてが加入しているもので、基礎年金ともいわれます。
 
一方厚生年金は、会社などに勤めている人が加入し、国民年金に上乗せして支給されることから、国民年金を1階、厚生年金を2階にたとえ、この仕組みは公的年金の2階建て構造といわれています。
 
厚生年金は、被保険者期間が1ヶ月以上あれば受け取る資格が生まれますが、前提として1階部分にあたる国民年金に10年以上加入していることが条件となります。厚生年金の受給開始年齢は、現在65歳以降と定められています。
 
そもそも厚生年金とは、病気やけが、高齢などの理由で被保険者が働けなくなったり、被保険者が亡くなって遺族が困窮したりする状況を救済するために設けられた制度です。昭和17年に工場勤務などの男性労働者を対象に労働者年金として発足し、昭和19年には厚生年金保険法と名称を改めて、事務職員や女性労働者にも被保険者の範囲を広げました。
 
厚生年金のうち老齢厚生年金は当初「報酬比例部分」のみでしたが、これを「報酬比例部分」と「定額部分」に分けたのが昭和29年の法改正です。その後、国民年金法が制定され昭和36年に現在の公的年金制度の骨格をなす国民皆保険が実現したというわけです。
 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

老齢厚生年金の「報酬比例部分」とは?

前述のとおり、昭和29年の法改正で、老齢厚生年金は「報酬比例部分」と「定額部分」とに分けられました。「報酬比例部分」とは、厚生年金の保険料を支払った期間中の報酬とその加入期間に基づいて年金額が計算される部分です。そして「定額部分」とは、厚生年金の保険料を支払っていた期間に基づいて年金額が計算される部分となります。
 
制度の発足当初、老齢厚生年金の受給開始年齢は60歳でした。しかし年金財政のひっ迫などを背景に、昭和61年の法改正で段階的な引き上げがはかられ、男性は2025年度、女性は2030年度にはすべての被保険者が65歳以降での受給となることが決まりました。これによって老齢厚生年金を構成する「報酬比例部分」と「定額部分」はそれぞれ「老齢厚生年金」「老齢基礎年金」へと引き継がれることになります。
 
受給年齢を60歳から65歳へと引き上げるのにあたり、スムーズで円滑な移行措置をはかるために設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」制度です。これは、厚生年金の受給資格を満たす人で、生年月日に応じた受給開始年齢に達しており、昭和36年4月1日以前に生まれた男性、昭和41年4月1日以前に生まれた女性が対象になります。
 
特別支給の老齢年金をいくら受け取ることができるのかは、年齢によって変わります。受給開始年齢の引き上げ以前は「報酬比例部分」と「定額部分」の合計がまるまる受給できましたが、段階的な引き上げではまず昭和16年(女性は昭和21年)4月2日以降生まれの方から「定額部分」が1歳ずつ引き上げられ、5年後には「定額部分」の支給はなくなるので「報酬比例部分」だけの支給となります。
 
さらにこの「報酬比例部分」もまた、昭和24年(女性は昭和29年)4月2日生まれの方から1歳ずつ引き上げられますので、5年後には「報酬比例部分」も支給がなくなることになります。
 
このように、制度発足以来「定額部分」とともに厚生年金の骨格をなす「報酬比例部分」ですが、特別支給による支給年齢の引き上げ完了後は「老齢厚生年金」へと引き継がれていくことになります。
 

まとめ

老齢厚生年金の「報酬比例部分」は、年金加入期間中の報酬とその加入期間に基づいて年金額が計算される部分で、保険加入期間を基に計算される「定額部分」とともに、厚生年金の骨格をなすものです。
 
老齢厚生年金の受給年齢が60歳から65歳へと引き上げられるのにしたがい、「特別支給の老齢厚生年金」制度のなかで「報酬比例部分」も1年ずつ支給年齢が引き上げられ、引き上げ完了後は「老齢厚生年金」へと引き継がれていきます。
 
出典
日本年金機構 報酬比例部分
日本年金機構 定額部分
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集