令和4年より在職老齢年金の制度が改正。年金額が増えるのはどんな人?

配信日: 2022.03.22

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令和4年より在職老齢年金の制度が改正。年金額が増えるのはどんな人?
令和4(2022)年4月1日から年金制度が段階的に改正されます。
 
その改正の趣旨は、「より多くの人がより長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、在職中の年金受給の在り方の見直し、受給開始時期の選択肢の拡大、確定拠出年金の加入可能要件の見直し等の措置を講ずる」としています。
 
今回は60歳以降、厚生年金制度に加入しながら働き続ける人が受け取る老齢厚生年金に関する制度改正について解説します。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

在職老齢年金制度とは?

在職老齢年金制度とは、70歳未満の方が会社に就職し厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上の方が厚生年金保険の適用事業所に勤めた場合には、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる制度です。
 

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改正の内容

令和4(2022)年4月1日から、60~64歳の在職老齢年金制度について、「支給停止の基準額を28万円から、現行の65歳以上の在職老齢年金制度と同じ「47万円」に引き上げる」といった改正が行われます。
 
つまり、従来は、基本月額(※1)と総報酬月額相当額(※2)の合計額が28万円を超えた場合に、厚生年金が減額されました。
 

(※1)基本月額

特別支給の老齢厚生年金の月額(ただし、加給年金額は除きます)
 

(※2)総報酬月額相当額

月給(標準報酬月額)と直近1年間の賞与額の合計を12ヶ月で割った額の合計額
 
今回の改正により、基本月額と総報酬月額相当額の合計額の28万円が47万円に引き上げられます。つまり、現行の65歳以上の在職老齢年金制度と同じ額に統一されることになります。
 

年金額が増える人は?

 

(1)60~64歳の方で、特別支給の老齢厚生年金を受給している人

なお、「特別支給の老齢厚生年金」を受け取るためには以下の要件を満たしている必要があります。


1.男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと。

2.女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと。

3.老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。

4.厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。

5.生年月日に応じた受給開始年齢に達していること。

(2)改正前に、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万~47万円で、年金額が減額されていた人は、年金額が減額されずに特別支給の老齢厚生年金を全額受け取ることができます。

 

(3)具体例

基本月額10万円+総報酬月額相当額24万で、合計額は34万円のケース
 

<改正前>

(10万円+24万円-28万円)×1/2=3万円
3万円が引かれるので、在職老齢年金として受け取れる額は、10万円-3万円=7万円です。

 

<改正後>

基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下のため、年金の一部または全額が支給停止となることはありません。したがって、このケースでは3万円の年金額が増えます。

 
出典
日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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