更新日: 2022.03.23 年金

「学生納付特例制度」で猶予されていた年金保険料は、大学卒業後に払ったほうがいい?

執筆者 : 柘植輝

「学生納付特例制度」で猶予されていた年金保険料は、大学卒業後に払ったほうがいい?
今現在、学生納付特例制度によって国民年金保険料の支払いを猶予されている学生の方や、あるいは過去に猶予されていたことがある方は、その期間の保険料を後から支払う、いわゆる「追納」をした方がいいのでしょうか。納付猶予を受けていた期間の国民年金保険料の追納について考えてみます。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

学生納付特例制度とは

日本に居住している20歳以上の方は、学生であっても国民年金に加入して保険料を納付する義務があります。しかし、学生の方は前年の所得が一定以下などの場合、申請に基づき在学中の国民年金保険料の支払いが猶予される「学生納付特例制度」という制度を利用できます。
 
学生納付特例制度の適用を受けて猶予された期間は、老齢基礎年金(国民年金)の受給資格を得るための保険料納付期間(最低10年以上)には算入されますが、将来支給される年金額の計算には反映されません。
 
例えば、22歳から60歳まで国民年金保険料を払い続けていても、20歳から22歳までの2年間、学生納付特例制度で納付が猶予されていた場合、その期間の保険料について追納(後から支払うこと)しないままでは、将来は減額された国民年金を受け取ることになります。
 
ちなみに、2年(24ヶ月)分が減額された場合に将来受け取る国民年金は、全加入期間(480ヶ月)で保険料を納めた満額の年間78万900円(令和3年度)に対して、74万1855円となります。
 

猶予されていた保険料は追納できる

学生納付特例制度によって猶予されていた期間の保険料は、追納が承認された月の前10年以内の期間であれば追納することができます。
 
10年を過ぎると追納ができなくなりますが、一度に全額を追納する必要はなく、1年分ずつなど分割して納めることもできるため、無理のない範囲で行っていけるようになっています。 ただし、猶予を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に保険料を追納する場合には、一定の加算額が課されるため早めの方がお得です。
 
追納は年金事務所へ申請後、承認を受けた上で専用の納付書により保険料を支払います。手続きの詳細は、最寄りの年金事務所へお問い合わせください。
 

猶予期間の保険料は追納すべきなのか

学生納付特例制度で猶予されていた期間の保険料は、可能であれば追納した方がいいといえます。
 
理由としては大きく分けて2点ありますが、1つは将来受け取る年金額を増やすことができるという点です。国民年金は終身年金であり、生きている限り受け取れるため、年間で数万円でも老後のお金が増えるのは将来の安心につながります。
 
もう1つは、追納した国民年金保険料は全額が社会保険料控除の対象となるので、その分、税金が安くなるという点です。
 
このように将来の年金の給付額が増え、さらに現在の税金が安くなるという理由から、可能であれば追納した方がいいという結論になります。
 

追納は絶対ではない

猶予を受けていた国民年金保険料は、追納することで将来の安心につながるといえますが、現在の生活を犠牲にしてまで無理にする必要はないでしょう。
 
例えば、緊急時の資金として生活費の半年分から2年分程度の貯蓄と、直近で確定している支出を除いた部分で追納するなど、まずは必要なお金の貯蓄ができており、その上で余剰資金があれば行うべきといえます。
 
将来のためとはいえ、保険料を追納したことで現在の生活に支障が及んでは本末転倒です。この点について十分にご留意の上で、追納を検討するようにしてください。
 

年金保険料の追納は余裕のある範囲で行う

学生時代、学生納付特例制度によって国民年金保険料の納付を猶予されていた期間がある場合、将来受け取る年金額を増やすためにも追納の検討がおすすめです。
 
ただし、現在の生活に影響が出るならば、無理して追納を行うことがベストとは言い難いのも事実です。 追納を考えている方は、余裕のあるときに無理のない範囲で行っていくのがいいでしょう。
 
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 
執筆者:柘植輝
行政書士

auじぶん銀行