夫の扶養範囲内で働いていたパート主婦が働き方を変えると、どのくらい年金が増えそう?
配信日: 2022.03.29
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
働き方を見直すきっかけ
Aさん(45歳)は高校を卒業後、親の扶養範囲内でアルバイトをして20歳で結婚、その後は専業主婦を経て33歳からパートとして12年間、夫の扶養範囲内で働いてきました。
今回、Aさんの勤め先の社員が1人辞めることになり、これまで長期間パートで働いてきたAさんに、上司から契約社員になってフルタイムで働いてほしいと依頼がありました。
Aさんが夫に相談すると、夫の勤務先では配偶者の扶養手当が廃止になる話が出ているようで、Aさんの収入が増えることに賛成してくれたそうです。
このように自身や配偶者の勤務先の条件が変わることが、働き方を変えるきっかけとなることもあります。
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契約社員として働くことと社会保険への加入
Aさんは契約社員として働く意向を上司に伝えると、上司から契約社員は社会保険に加入することになると説明を受けました。
上司や夫は、社会保険に加入すると将来受け取れる年金額が増えると言いますが、Aさんはこれまで厚生年金に加入したことがなく、どのくらい年金額が増えるのか知りたいとのことでした。
Aさんが受け取れる老齢厚生年金の額
Aさんはこれまで時給1000円で1ヶ月に80時間(1日5時間で週4日)働き、月8万円、年間96万円の収入で扶養範囲内でのパート勤務をしていました。
契約社員になると1日7時間、週5日のフルタイム勤務で月給制となり、給与は月額16万円になるそうです。ボーナス支給はありません。
Aさんが45歳からフルタイム勤務の契約社員となって、60歳になるまで毎月同額の給与を受け取り、厚生年金に15年間加入したと仮定した場合で、65歳から受け取れる年金額について計算してみます。
Aさんは45歳から60歳になるまでの15年間、標準報酬月額16万円で180ヶ月(加入月数)分の厚生年金保険料を納めることになります。
現在の厚生年金額(報酬比例部分)の計算式は、「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」です。
従って、Aさんは年間で約15万7800円(=16万円×5.481/1000×180月)の厚生年金を65歳から受け取れます。月額に換算すると約1万3000円の増額であることを、Aさんは確認できました。
まとめ
今回はAさんの前提条件を基に、現在の年金制度で将来受け取れる厚生年金の金額のみを簡易的に試算しました。
扶養から外れて社会保険に加入して働く場合は、厚生年金保険料や健康保険料、介護保険料(40歳以降)の自己負担分のほか、所得税や住民税などの税金も納めることになるため、それらも踏まえて働き方について考えていくことになります。
出典
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 報酬比例部分
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント