更新日: 2022.04.25 国民年金

年金の受け取り年齢の違いによって2倍以上も差が出るって本当? 結局何歳で受給するべきか

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

年金の受け取り年齢の違いによって2倍以上も差が出るって本当? 結局何歳で受給するべきか
年金を受け取る年齢によって年金額が変わることを知っている方は多いと思いますが、実際に何歳から受け取るとお得なのかはわからないという方が多いのではないでしょうか。
 
本記事では年金の受け取り年齢による違いやメリット・デメリット、結局何歳から受給するべきなのかといった点についてご紹介していきます。
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年金の繰上げ制度と繰下げ制度

年金を受給するにあたって繰上げ制度と繰下げ制度というものがあります。それぞれの制度についてご紹介します。
 

・年金の繰上げ制度

年金の繰上げ制度とは、通常老齢基礎・厚生年金は65歳から受け取れますが、希望することで60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受給が可能となる制度です。ただし年金の繰り上げ受給を行うと、請求した時点での年金額に減額され、その減額率を変えることができなくなります。
 
繰り上げによる減額率は1962年4月1日以前生まれの場合0.5%、最大で30%、1962年4月2日以降生まれの場合0.4%、最大で24%です。
 
繰上げ制度のメリットは60歳から年金を受け取れることです。デメリットが最大で24%の減額となり、長生きするほど総受給額が少なくなってしまいます。
 

・年金の繰下げ制度

年金の繰下げ制度とは、希望することで66歳以降から70歳になるまでの間に繰り下げて受給が可能となる制度です。繰下げ受給は毎月0.7%、42%増額されます。
 
また法令改正によって2022年4月以降から70歳までと定められていた繰下げ受給が最大75歳まで延長されることになりました。そのため最大で84%の増額となります。
 
繰下げ制度のメリットは最大で84%の増額で年金を受け取れることです。デメリットは長生きできなかった場合、本来受け取れた年金が受け取れなくなることです。
 

年金は繰り上げと繰り下げどっちがお得?

年金の繰り上げと繰り下げはどちらがお得なのかをご紹介していきます。
 

・年金受給の損益分岐点

年金受給の損益分岐点とは、繰り上げまたは繰下げ受給をする場合に、最低何歳まで生きていればプラスになるかを表したものです。
 
実際に厚生労働省が出している『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』から厚生年金の平均額である約14万4000円で計算してみましょう。

受給開始年齢 年金受給額 増減率 損益分岐年齢
60歳 131万328円 -24.0% 76歳未満
63歳 147万9168円 -14.4% 79歳未満
65歳 172万8000円 0%
67歳 201万8304円 16.8% 78歳以上
70歳 245万376円 42.0% 81歳以上
73歳 288万9216円 67.2% 84歳以上
75歳 317万952円 84.0% 86歳以上

 

・平均余命表から見る損益分岐年齢

平均余命とはある年齢の時点でその後何年まで生きられるかを表した期待値のことです。似ているもので平均寿命があります。平均寿命は0歳から見てその後何年まで生きられるかを表した期待値になります。
 
厚生労働省が出している『令和2年簡易生命表の概況 主な年齢の平均余命』があります。

年齢 男性 女性
60歳 84歳まで 89歳まで
65歳 85歳まで 90歳まで
70歳 86歳まで 90歳まで
75歳 88歳まで 91歳まで

 
どの年齢においても平均余命が、繰下げ受給した場合の損益分岐年齢よりも超えているため、繰下げ受給する方がお得になることが分かります。もちろん自分がそこまで長生きできるのかを想定することは難しいことですので、あくまで目安として考えるとよいでしょう。
 
また75歳から繰下げ受給する場合、もし65歳で定年を迎えた後も75歳まで働く必要が出てしまいます。自分が何歳まで働くことができるかを勘案して繰下げ受給するのか、または繰上げ受給するのかを判断することになるでしょう。
 

まとめ

年金の繰上げ受給と繰下げ受給、実際にどちらがお得なのかをご紹介してきました。
 
2022年から年金の繰り上げや繰り下げをした場合の受給増減額が変わります。定年を迎えた後にどのように生活をしていくのかを考えた上で、通常どおり65歳から受け取るか、あるいは70歳まで働いて年金を受け取るのかなどを判断するとよいでしょう。
 
出典
日本年金機構『年金の繰上げ受給』
日本年金機構『年金の繰下げ受給』
厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』
厚生労働省『令和2年簡易生命表の概況 主な年齢の平均余命』
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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