更新日: 2022.04.06 iDeCo(確定拠出年金)

もう知ってる?iDeCoの3つの改正ポイントを具体的に解説!

執筆者 : 高畑智子

もう知ってる?iDeCoの3つの改正ポイントを具体的に解説!
老後資金の資産形成として、iDeCo(個人型確定拠出年金)に興味をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
 
わが国においては、退職年齢の見直しとともに、公的年金等の受給開始時期の上限が繰り下げされている観点から、iDeCoについても改正されています。
 
今年のiDeCoの改正ポイントは3つあります。



1. 受け取り開始年齢が75歳までに引き上げ
2. 加入可能年齢が65歳まで拡大
3. 企業型DC加入者がiDeCoと併用可能




具体的な内容を確認しましょう。
高畑智子

執筆者:高畑智子(たかばたけ ともこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者

受け取り開始年齢75歳まで引き上げ

2022年4月から受け取り開始年齢が75歳までに引き上げられました。
 
これまで、iDeCoの受け取りは60歳から70歳までの間に開始しなければなりませんでしたが、2022年4月以降は、受け取り開始年齢の上限が75歳までに引き上げられました。
 
iDeCoは運用益が非課税になるので、受け取りを急がず運用を継続したい方は、その分、長く運用ができるようになります。
 
iDeCoの受け取りは、所得税において退職所得控除または年金控除等の対象ですが、退職所得控除は控除額が大きいため、こちらを活用される方もいらっしゃると思います。
 
これまでは、退職所得控除を活用して14年以内である場合は、その影響を受ける制度でしたが、受け取り開始年齢引き上げに伴い、19年以内と変更になっています。
 
会社の退職金など、ほかにも退職一時金がある場合、それと合算してこの退職所得控除を使うことになりますが、退職金が多い会社に勤務している方や公務員の方の場合、「退職所得控除」は退職一時金で使い切り、iDeCoの一時金はすべて退職所得として課税されるといったケースがあります。
 
これは、受給時期を調整することにより多額の退職所得控除を受けることがないよう調整されたもので、これまでは「14年内」までが調整対象とされていましたが、一時金受取の最終年齢が70歳から75歳に延長されたことに伴い、この「14年内」が「19年内」に5年延長されることになりました。
 

加入可能年齢が65歳まで可能

これまでiDeCoの加入対象者は60歳未満の方でしたが、国民年金被保険者は2022年5月より、65歳まで加入することができるようになります。
 
ここで注意いただきたいのは、国民年金被保険者であることです(iDeCoの老齢給付金を受給した方、65歳より前に公的年金を繰上げ受給した方を除く)。
 
国民年金を40年納付済みである方は、国民年金被保険者に該当しないため、新規にiDeCoに加入できません。国民年金の40年間の納付済期間がないために年金額の増額を希望する場合など、60歳以降、国民年金に任意加入した方(任意加入被保険者)は、60歳以降もiDeCoに加入できます。
 
すでにiDeCoに加入している方が60歳以降会社で働き続ける場合は、65歳まで積み立てしながら資産運用することが可能です。
 

企業型DC加入者がiDeCo の併用が可能に

企業型DC(企業型確定拠出年金)の加入可能年齢も、今回の改正により、70歳まで拡大されます。
 
また、今回の改正で、規約の定めがなくても、マッチング拠出を導入していても、企業型DC加入者がiDeCoを併用できます。
 
これまで企業型DC加入者がiDeCoに加入できるのは、「企業型DCとiDeCoの併用を認める規約を定めている」などの条件に合った方に限られていました。このため、企業型DC加入者のほとんどはiDeCoに加入できませんでしたが、今回、一部の方は併用利用が可能となります。
 
しかし、「企業型DC加入者がマッチング拠出を選んでいる場合」「企業型DCの会社掛金が限度額に到達している場合」「企業型DCの会社掛金が年単位での拠出になっている場合」は、企業型DCに加えiDeCoに加入することはできませんのでご注意ください。
 
すなわち、加入者がマッチング拠出を選択しておらず、会社掛金が限度額でなく、かつ、掛金が年単位でない方が適用となります。これらの条件を満たした場合に、併用可能となります。
 
また、併用する場合にも掛金に上限があります。例えば企業型DCにだけ加入している方の場合、事業主の掛金額は最大で5万5000円まで、iDeCoの掛金額は最大で2万円までですが、2つの掛金の合計は5万5000円までとなります。
 
iDeCoと企業型DCを併用するメリットは、会社と加入者の掛金が少ない場合に掛金額を増やすことができることです。
 
掛金全額が所得控除できるため、掛金額が多いほど所得税や住民税の税額を減らせます。この全額控除ができるという点は大きな利点です。
 
例えば、個人掛金を毎月2万円にした場合、年間控除は24万円となり、所得税10%・住民税10%だった場合、年間節税額は4.8万円です。これを10年行った場合は、48万円となります。
 
それに加えて、企業型DCの商品が自分の希望に合わないとき、自分が希望する商品をそろえているiDeCoに加入することも可能です。
 
注意していただきたいのは、口座管理料等がかかる金融機関が多いため、加入前にその点を確認いただければと思います。
 

まとめ

以上のようにiDeCoの改正で、受け取り開始年齢や加入可能年齢が引き上げられることで運用期間が増えることになるため、対象の方はぜひ検討いただければと思います。
 
また、企業型DC加入者の方もiDeCoを活用できる場合があるので、そちらも検討いただいて、老後の資産形成のために活用いただければと思います。
 
執筆者:高畑智子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者

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