更新日: 2022.04.13 年金

新たに101人以上の事業所で働くパートも対象。厚生年金保険適用の拡大はいつから?

新たに101人以上の事業所で働くパートも対象。厚生年金保険適用の拡大はいつから?
短時間労働者への厚生年金保険および健康保険の適用範囲が拡大されることを知って、自分が新たな対象者になるかどうか気になっている人も多いでしょう。令和4年10月から適用されるルールでは、事業所の規模と、雇用見込期間に関する要件が変更されます。
 
ここでは、短時間労働者への厚生年金保険・健康保険の適用について、現行の制度、令和4年10月からの新制度と令和6年10月からの改正制度に分けて紹介します。自分に当てはまるかどうかチェックしてみましょう。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

現行の厚生年金保険の適用条件

 
平成28年10月から運用されている、現行の短時間労働者への厚生年金保険および健康保険の適用条件は、次のとおりです。

<対象企業>

●短時間労働者を除く被保険者の総数が常に500人を超える事業所(特定適用事業所)で働いている
●短時間労働者への厚生年金保険・健康保険の適用について労使合意を得て任意特定適用事業所の申請をした事業所で働いている

<短時間労働者が被保険者となる一定の要件>

●週の所定労働時間が20時間以上である
●雇用期間が1年以上の見込みである
●賃金の月額が8万8000円以上である
●学生ではない

したがって、現状では従業員数(被保険者数)が500人に満たない規模の事業所に関しては、短時間労働者の厚生年金保険・健康保険の加入義務はありませんでした(任意特定適用事業所となる場合があります)。
 

令和4年10月から拡大される厚生年金保険の適用条件

 
令和4年10月から適用される新制度では、短時間労働者への厚生年金保険および健康保険の適用範囲が、次のように拡大されます。

●短時間労働者を除く被保険者の総数が常に100人を超える事業所
●雇用期間が2ヶ月超の見込みである

そのため、現行ルールよりも規模が小さい従業員数(被保険者数)101~500人の事業所に勤める短時間労働者にも、厚生年金保険・健康保険が適用されるようになります。また、雇用期間が2ヶ月超~12ヶ月未満の短期間契約であっても、厚生年金保険・健康保険の適用が義務付けられます。
      

令和6年10月にはさらに適用範囲が拡大へ

 
令和6年10月には、適用事業所の要件が「短時間労働者を除く被保険者の総数が常に50人を超える事業所」に拡大されます。労働時間や月額賃金、雇用期間などの要件は、令和4年10月から適用のルールと同様です。
 
現行制度から令和6年10月までの、短時間労働者への厚生年金保険・健康保険の適用条件の移り変わりをまとめると、図表1のようになります。
 
【図表1】

現行制度 令和4年10月から 令和6年10月から
事業所規模(被保険者数) 常時501人以上 常時101人以上 常時51人以上
週の所定労働時間 20時間以上 変更なし 変更なし
月額賃金 8万8000円以上 変更なし 変更なし
雇用見込期間 継続して1年以上 継続して2ヶ月超 継続して2ヶ月超
その他 学生ではない 変更なし 変更なし

出典:日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
 

厚生年金保険の適用拡大で短時間労働者が得られるメリット

 
厚生年金保険および健康保険の短時間労働者への適用が拡大されると、次のようなメリットがあります。

●厚生年金を受給できるようになる
●健康保険の保障が充実する
●保険料が安くなる場合がある

厚生年金保険に加入すると、受給できる年金が国民年金(基礎年金)と厚生年金の2種類になり、支給額が増えます。健康保険にも加入するため、病気やけがで仕事を一定期間以上休んだ際の傷病手当金や、産休期間中にもらえる出産手当金などの保障も充実します。
 
また、厚生年金や健康保険の保険料は会社が半分負担するため、家族構成や年収にもよりますが、国民年金・国民健康保険よりも保険料が安くなることもあります。
 

厚生年金保険の適用拡大にともなう注意点

これまで配偶者の扶養内の年収で働いていた人(第3号被保険者)のうち年収が105万6000円を超えている人は、厚生年金保険の適用拡大により、これまでと同じ働き方でも扶養から外れるケースがあるため注意が必要です。扶養から外れると、収入額に応じた保険料を負担しなければならなくなります。
 
ただし年金や保障は充実するため、一時的な負担は増えるものの、長い目でみると保険料を負担した分を丸ごと損するわけではありません。
 

厚生年金保険の適用拡大に合わせて働き方を見直そう

 
短時間労働者への厚生年金保険・健康保険の適用が拡大されることで、これまでは収入が扶養の範囲内になるように働き方を抑えていた人(第3号被保険者)も、厚生年金保険・健康保険の加入対象となるケースが考えられます。加入対象となった場合、勤務時間や収入を抑えずに働くほうが、将来もらえる年金額などの面で有利になる可能性があります。
 
ただし、年収が増えることで、配偶者が扶養手当や配偶者控除などの適用を受けられなくなり、家計にマイナスとなるケースもあることに注意が必要です。どう働けば最も損をしないのか、さまざまな条件でシミュレーションしながら働き方を見直してみるとよいでしょう。
 
出典
日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
日本年金機構 パート・アルバイトのみなさまへ 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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