更新日: 2022.04.18 国民年金

国民年金保険料が免除された! でも将来の支給額はどうなる?

執筆者 : 柘植輝

国民年金保険料が免除された! でも将来の支給額はどうなる?
国民年金保険料は、所得の状況などによっては納付が免除されることがあります。保険料の納付の免除が認められて安堵(あんど)する半面、将来の年金額はどうなるのだろうと不安になることはないでしょうか?
 
国民年金保険料の免除が、年金支給額に与える影響について考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

国民年金保険料の免除とは

国民年金保険料の免除制度の利用を考えているのであれば、まず免除とは何なのか知っておくべきです。
 
国民年金保険料の免除とは、離職や収入の減少などの理由で保険料の支払いが困難な場合に、本人からの申請に基づいて納付が免除される制度です。免除される金額の割合は全額、4分の3、半額、4分の1と、所得の状況に応じて4種類が用意されています。
 

免除の割合 全額 4分の3 半額 4分の1
年金へ反映される額 2分の1 8分の5 8分の6 8分の7

※筆者作成
 
ただし、いずれも保険料の全額を納めるわけではないため、免除された期間について、将来受け取れる年金は保険料を全額納付した場合と比較して減額されることになります。
 
つまり、国民年期保険料の免除とは、その時点では保険料の支出は減るものの、将来受け取れる年金額も減ってしまう仕組みなのです。
 

免除を受けると、どれくらい年金額が減る?

前述したとおり、国民年金保険料の納付の免除を受けると、免除の割合に応じて将来受け取れる年金額が減少します。
 
ここでは免除を受けていた期間と免除の割合について、モデルケースごとに将来受け取れる年金額を計算し、国民年金の全加入期間40年(480月)で保険料を納めた場合に受け取れる年金額(令和3年度の満額で年78万900円)との違いを確認してみます。
 

出典:日本年金機構 「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
 

2年間、半額免除されていた場合

2年間(24ヶ月)、保険料の半額を免除されていた場合、将来受け取れる国民年金は年間で76万8078円となります
 
77万7800円×(456+24×6÷8)÷480=76万8078円
 

2年間、全額免除されていた場合

2年間(24ヶ月)、保険料を全額免除されていた場合、将来受け取れる国民年金は年間で75万8355円となります。
 
77万7800円×(456+24×4÷8)÷480=75万8355円
 

免除で減った年金額を満額に近づけるには?

免除を受けることで減った年金額は、後から保険料を追納することで満額に近づけることができます。
 
追納の申請先は年金事務所です。ただし追納ができるのは、追納の申し出が承認された月の前10年以内の免除期間に限られているため、この期限が過ぎる前に行わなければなりません。
 
さらに、免除を受けた期間の翌年度から3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に一定の加算額が上乗せされます。
 

出典:日本年金機構 「国民年金保険料の追納制度」
 

まとめ

国民年金保険料の納付について免除を受けた場合、免除の割合と期間に応じて将来受け取れる年金額が減少します。そのため、割合や期間によっては年金額への影響も大きくなります。
 
過去に保険料の免除を受けていた期間がある、または現在免除を受けている方で、将来の年金額が心配だという場合、経済的に余裕ができたときには追納について検討してみてください。
 
出典
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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