更新日: 2022.04.19 国民年金

国民年金保険料を忘れずに納めるためにはどうすればいい?

執筆者 : 大泉稔

国民年金保険料を忘れずに納めるためにはどうすればいい?
厚生年金保険料等を差し引かれた後に、給料を受け取る会社員などの場合は、国民年金保険料を納め忘れるというリスクはほとんどありません。
 
その一方で、自営業者等の方や失業中の方、そして学生等の第一号被保険者は、毎月の国民年金保険料を翌月末までに「自分で」払わなくてはなりません。
 
国民年金保険料を忘れずに納めるには、どうしたら良いでしょうか? 国民年金保険料の納め方には、納付書・ペイジー・口座振替・クレジットカードがあります。本稿で大まかに見ていきましょう。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

納付書で納める

日本年金機構から届く納付書により納める方法です。納付書を使って、金融機関や郵便局の窓口、コンビニエンスストア等で支払います。
 
現金で納付する必要がありますので、期日までに現金を準備しておきましょう。
 

ペイジーで納める

ペイジーに対応しているATMやネットバンキングを利用して、国民年金保険料を納める方法です。
 
国民年金保険料の納付書にはペイジーのマークが載っていますし、ペイジーに必要な収納機関番号・納付番号・確認番号も記載されています。もし、ペイジーに対応しているネットバンキング等の利用者で、残高があれば、いつでもスマートフォンから国民年金保険料を納めることができます。
 

口座振替で納める

年金事務所や金融機関には、「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書兼国民年金保険料口座振替依頼書」という用紙があります。基礎年金番号などを記入し、届出印を押印して、年金事務所か口座のある金融機関に提出します。
 
不備なく書類が受け付けられた月の翌月から、口座振替が開始されます。口座振替が始まる日については、「国民年金保険料口座振替開始(変更)・振替額通知書」というはがきで知らせてくれます。そして、毎月末に前月分の国民年金保険料の振替が行われます。
 
月末が金融機関の休業日だった場合には、その翌営業日に振替が行われます。
 
例えば、2022年4月30日は土曜日なので、5月2日に振替を行います。金額は1万6610円で、これは3月分を振替しています。3月分は、2021年度の額1万6610円です。2022年度の年金額1万6590円の振替が始まるのは5月31日からです。
 

■口座振替の留意点

残高不足で振替ができなかった場合には、翌月に再振替が行われます。例えば、5月31日に1万6590円の振替ができなかった場合は、6月30日に5月分と6月分をまとめて(1万6590円×2ヶ月分=3万3180円)再振替が行われます。
 
再振替もできなかったときは、後日納付(案内)書が届きますので、納付(案内)書を持って金融機関かコンビニエンスストアで納めることになります。
 
口座振替は書類に記入し、提出するという手間がかかりますが、変更等がなければ書類の記入と提出は一度だけです。以後は口座の残高に気を付けていれば、国民年金保険料の納め忘れは防ぐことができます。
 

口座振替・早割で納める

前述のとおり、口座振替では毎月末に前月分の国民年金保険料を納めます。「口座振替・早割(以下、本稿では早割とします)」の手続きを行うと、毎月末に当月分の国民年金保険料を納めることになりますが、毎月納める国民年金保険料の額が50円割引になります。
 

■早割の留意点

すでに国民年金保険料の口座振替を利用している人も含めて、早割を利用するためには書類の提出が必要です。不備のない書類を提出してから早割が始まるまで、おおよそ2ヶ月かかります。
 
早割による振替が始まる月に限り、2ヶ月分の国民年金保険料の振替が行われます。そして、この2ヶ月分の国民年金保険料のうち、1ヶ月(前月)分については50円の割引がありません。
 
具体的には、例えば早割による振替が始まるのが5月31日の場合、この5月31日には4月分の1万6590円と5月分1万6540円(=1万6590円-50円)を合わせた3万3130円の振替が行われます。それ以降、2022年度中は毎月末1万6540円の振替となります。
 
ところで、早割の場合で、残高不足により振替ができなかった場合には、どうなるのでしょうか?
 
先述の口座振替と同じく再振替となるのですが、早割の割引はなくなってしまいます。つまり、早割を利用する場合には、口座振替よりも残高に慎重になる必要があります。
 

クレジットカードで納める

クレジットカードで納めることもできます。
 
「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」を年金事務所に提出します。また、国民年金の被保険者と異なる名義のクレジットカードの利用もでき、その場合は「国民年金保険料クレジットカード納付に関する同意書」も提出します。
 
クレジットカードによる納付なら、最初に書類の記入と提出を行っておけば、やはり国民年金保険料の納め忘れを防ぐことができそうです。しかし、クレジットカードの限度額を気に留めておく必要があります。
 

■クレジットカード納付の留意点

一括払いのみで、分割やリボルビング払いの利用はできませんし、先述の早割もできません。カード会社からの納付は原則として毎月末ですが、利用明細書等には、該当月初から数えて第8営業日(前月末日が休業日の場合第9営業日※)が利用日として載ります。
 
※該当日が月の14日を超える時は、その月の14日となります。利用日とカード会社の締切日などの都合により2ヶ月分をまとめて一度にカード会社に支払うこともあります。
 
また、クレジットカードには有効期限があります。もし有効期限が到来した際には、基本的には被保険者に知らせることなく、新たな有効期限がカード会社から日本年金機構に通知され、原則としてクレジットカード納付が続きます。しかしなかには、通知されないカードもありますので留意しましょう。
 
クレジットカードによる納付開始までは、不備のない書類を提出してから2ヶ月くらいかかります。クレジットカードによる納付が、いつから始まるかは申し込み手続きが完了した際に送付される、「国民年金保険料クレジットカード納付開始(変更)通知書」で確認できます。
 
また、現在、口座振替で国民年金保険料を納めている方が、クレジットカード納付に変更する場合、クレジットカード納付が始まるまでの間、納付書により納める期間が生じることもあります。
 

まとめに代えて

国民年金保険料の納める方法として、納付書・ペイジー・口座振替・クレジットカードを、それぞれを大まかに紹介しました。
 
ご自身の状況に合わせた納め方を選び、国民年金保険料の納め忘れを防ぐようにしましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 現金納付(納付書でのお支払い)
日本年金機構 国民年金前納割引制度(口座振替 早割)
日本年金機構 国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書
日本年金機構 国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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