更新日: 2022.04.24 その他年金

シニアが知っておきたい公的年金控除の制度。65歳未満と65歳以上の違いは?

シニアが知っておきたい公的年金控除の制度。65歳未満と65歳以上の違いは?
65歳未満から公的な老齢年金を受け取り始めている人が65歳以上になった際に、年金支給額の総額は変わっていないのに所得額が変わっていることがあります。これは65歳未満と65歳以上で公的年金控除が異なるという仕組みが影響しています。
杉浦詔子

執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)

ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
 
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
 

公的年金控除額の違い

働いて給与を受け取ったときの所得は給与所得となりますが、公的な年金を受け取るときには雑所得という所得の区分となります。公的年金等に係る雑所得の額は、以下の計算方法・計算式で計算できます。
 
公的年金等に係る雑所得の金額=受け取る年金額-公的年金等控除額
 
表-公的年金等に係る雑所得の金額の計算方法(令和2年分以後)
~所得が年金のみまたは年金以外の所得が年額1000万円以下の場合~

年金を受け取る人の年齢 受け取る年金額(A) 公的年金等控除額
65歳以上 330万円以下 110万円
330万円超410万円以下 (A)×25%+27万5000円
410万円超770万円以下 (A)×15%+68万5000円
770万円超1000万円以下 (A)×5%+145万5000円
1000万円超 195万5000円
65歳未満 130万円以下 60万円
130万円超410万円以下 (A)×25%+27万5000円
410万円超770万円以下 (A)×15%+68万5000円
770万円超1000万円以下 (A)×5%+145万5000円
1000万円超 195万5000円

※筆者作成
 
一例として、年金以外の所得が年額1000万円以下の方で、受け取っている年金額が年間145万円の場合、65歳以上と65歳未満のそれぞれの所得は以下で計算できます。
 

〈例1〉65歳以上の方
145万円(受け取る年金額)-110万円(公的年金控除額)=35万円(年間所得の見積額)
 
〈例2〉65歳未満の方
145万円(受け取る年金額)-(145万円×25%+27万5000円)(公的年金控除額)=81万2500円

 
上記の計算結果より、受け取る年金額が同じでも、65歳未満と65歳以上では所得額が異なることがあります。これは表を見ると分かりますが、受け取る年金額330万円以下の場合において、65歳未満と65歳以上の公的年金控除額の計算が異なるからです。
 

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65歳未満で年金を受け取るときに注意しておくこと

現在、公的な老齢年金は原則65歳から受け取れますが、繰上げ受給を選択すると60歳以降から公的年金を受給することができますが、公的年金控除額の計算が年齢によって異なるため、65歳未満の所得額が多くなることがあります。
 
所得額が増えることは、所得税や住民税など、納める税金が増えることにつながります。老齢年金を65歳になる前に繰り上げて受け取ろうと考えている方は、受け取る額によって所得額に影響が出ることは知っておきましょう。
 

出典

国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
 

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