更新日: 2022.04.23 厚生年金
大人になって発達障害と診断された社会人。「障害厚生年金3級」は受給可能?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
障害厚生年金とは
障害厚生年金とは、下記の条件にある方が受け取れる障害年金です。
(1)厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけがの初診日がある
(2)障害認定日において障害の状態が障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当している
(3)初診日の前日に初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること
※ただし、初診日が令和8年4月1日前であれば初診日において65歳未満であることを条件に、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいとされています。
簡単にまとめると、会社員などで厚生年金に加入している間に、発達障害など何らかの障害を有すると診断され、それが障害厚生年金の定める症状に合致し、直近の保険料の納付状況が良好であれば受けられる年金が障害厚生年金となります。
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障害厚生年金の等級
障害厚生年金には症状の度合いに応じて1級から3級までの等級が設定されています。それらよりも軽度の場合は年金ではなく、障害手当金による一時金の支給がなされます。
1級に関しては他人の助けがなければ日常生活における身の回りのことがほとんどできない状態を、2級に関しては日常生活を一人で送ることが困難な場合があり、労働によって収入ができないような状態を指します。
そして、3級においては日常生活に支障はほとんどないが、労働については著しい制限が必要となるような状態を指しますなお、労働に制限がかかるにとどまるような場合は障害手当金による一時金を受けられることもあります。
大人になってから発達障害と診断されても障害厚生年金3級は受けられるのか?
結論から申し上げれば、大人になってから発達障害と診断されても障害厚生年金の3級を受けられる場合があります。3級に限らず、程度によっては1級や2級であったり、障害手当金の支給にとどまる場合もあります。
その理由は、発達障害について精神障害の1つとして、障害厚生年金の対象としているからです。3級と認められる基準としては、発達障害によって社会性やコミュニケーション能力が不十分で、それによって労働に著しい制限がかかる状態とされています。
出典:日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第3 障害認定に当たっての基準 第8節 精神の障害
なお、障害者向けの就労施設や小規模な作業場などで働いている方だけでなく、一般的な会社で働いている場合でも対象となり得ます。
例えば、一般の会社に勤めてはいるものの、発達障害によってコミュニケーションがうまく取れず、仕事も長続きせず、職を転々として親の支援なしでは生活できないような方であれば、障害厚生年金の3級に該当する可能性があります。
障害厚生年金の申請手続きは?
障害厚生年金を受給するための申請手続きは最寄りの年金事務所で行います。受給までの流れとしては一般的に下記のようなステップで進んでいきます。
- 1.発達障害の初診日を確認した上で年金事務所へ相談する
- 2.年金請求書など前回の相談を踏まえ必要書類を年金事務所へ提出する
- 3.審査に通過後、自宅へ年金証書などが到達する
- 4.年金証書が到達後、1ヶ月後から2ヶ月後に障害厚生年金が振り込まれる
ただ、障害厚生年金は必ず受け取れるというものではなく、発達障害に苦しんでいる方でも、審査によって受給が認められないこともあります。そのため、申請手続き自体は自身でできるという場合でも、障害厚生年金の申請を得意とする社会保険労務士の先生へ依頼することをおすすめします。
事実、過去に年金事務所に断られた方でも社会保険労務士の先生とともに書類の作成や提出を行ったところ、審査に通過して受給に至ったという事例もあります。社会保険労務士の先生に頼めば絶対というわけではありませんが、少しでも確実にと考えるのであれば、そういった障害厚生年金の申請が得意な先生に相談だけでもしておくとよいでしょう。
大人の発達障害でも障害厚生年金の受給は可能
大人になってから初めて発達障害と診断された場合でも、障害厚生年金の3級を受けられる可能性があります。
しかし、医師に発達障害と診断されても、必ずしも3級の年金を受けられるというわけではなく、少なくとも労働について著しい制限があるような状況でなければなりません。
大人の発達障害に悩んでいる方は、一度最寄りの年金事務所や専門の社会保険労務士の先生に障害年金の受給について相談してみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 障害年金ガイド
日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第3 障害認定に当たっての基準 第8節 精神の障害
執筆者:柘植輝
行政書士