更新日: 2022.04.25 国民年金
2022年の公的年金は0.4%減額予定。満額支給なら月いくら減る?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
公的年金の繰上げ受給と繰り下げ受給
原則、日本の公的年金(国民年金と厚生年金)は65歳からの受給となっています。しかし、本人が年金事務所に申し出ることで、65歳より早く年金を受け取ったり(繰上げ受給)、65歳よりも遅く受け取ったりすること(繰り下げ受給)を1ヶ月単位で変更できるようになっています。
繰り上げをすると繰り上げた期間に応じて年金が減額され、繰り下げをすると繰り下げた期間に応じて年金が増額されることになります。減額ないし増額された金額は一生変わることがありません。年金の繰り上げや繰り下げをする場合、後悔しないようによく考える必要があります。
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2022年4月からの繰上げ受給と繰り下げ受給は?
2022年3月までは繰上げ受給をすると、1ヶ月繰り上げるごとに0.5%減額された年金額を将来にわたって受け取ることになっていました。繰り下げ受給をすると、1ヶ月につき0.7%増額された年金額を将来にわたって受け取ることができるようになっていました。
これが、2022年4月から、現在60歳未満の人(昭和37年4月2日以降生まれの方)が繰上げ受給した場合の減額率が0.4%となります。繰り下げた場合の増額率は0.7%のままですが、繰り下げ可能の年齢が最大75歳までに拡大されます。
特に繰り上げた場合の減額率が0.5%から0.4%へ変更される点は、できるだけ早く年金を受け取りたい方や、繰上げ受給を検討していた方にとっては朗報となります。
繰上げ受給によって年金がどれくらい減額されるのか
繰上げ受給によって1ヶ月当たり0.4%減額されると聞いても、数値だけではなかなかイメージがつかないことでしょう。そこで、実際に繰上げ受給によって年金がどれくらい減るのか、令和4年度の国民年金が満額受給できる方(月額6万4816円)を例に試算してみると下記の表のようになります。
受給開始年齢 | 減額率 | 減少額 | 実際に受け取る年金額(端数を四捨五入しています。) |
---|---|---|---|
60歳(5年繰り上げ) | 24% | 1万5555.84円 | 4万9260円 |
61歳(4年繰り上げ) | 19.2% | 1万2444.67円 | 5万2371円 |
62歳(3年繰り上げ) | 14.4% | 9333.504円 | 5万5482円 |
63歳(2年繰り上げ) | 9.6% | 6222.336円 | 5万8593円 |
64歳(1年繰り上げ) | 4.8% | 3111.168円 | 6万1705円 |
64歳6ヶ月(6ヶ月繰り上げ) | 2.4% | 1555.584円 | 6万3260円 |
64歳11ヶ月(1ヶ月繰り上げ) | 0.4% | 259.264円 | 6万4557円 |
※筆者作成
1ヶ月繰り下げただけでは、減少額は月額で259円程度ですが、1年繰り上げると月々の減少額は約3111円となり、60歳まで繰り上げたとなると、これが1万5000円超えと大きな金額となってきます。
減額率が0.4%になったところで繰り上げをすべきか
筆者の見解としては、減額率が0.4%になったからと飛びつかず、公的年金による収入が必要なのであれば、そのタイミングで無理せず繰り上げをするといったスタンスが良いと考えます。0.1%減額率が小さくなったとはいえ、結局繰り上げた分だけ受け取る年金が生涯にわたって減額されることには変わりがないからです。
せっかく減額率が小さくなったからと安易に繰り上げをすると後悔してしまう原因にもなりかねません。
2022年4月以降は年金繰り上げの減額率が小さくなります
2022年4月以降、新たに60歳となり年金の繰上げ受給ができるようになる方については、繰り上げした際の減額率が1ヶ月当たり0.5%から0.4%になり、減額率が0.1%緩和されます。
これにより、国民年金を満額受け取れる方が繰上げ受給を請求した場合、減額される金額は1ヶ月繰り上げるごとにおおよそ259円程度となります。とはいえ、1年、5年と繰り上げる期間が長くなればなるほど減額される金額も3111円程度から6222円程度と大きくなります。
今回の改正を機に公的年金の繰り上げを考えられている方は、減額される金額と繰り上げの必要性について十分に検討した上で繰り上げを選択するようにしてください。
出典
日本年金機構 令和4年4月から老齢年金の繰上げ減額率が見直されました
日本年金機構 年金の繰上げ受給
執筆者:柘植輝
行政書士