更新日: 2022.04.26 国民年金

配偶者からのDVにより別居…国民年金保険料は免除になる?

配偶者からのDVにより別居…国民年金保険料は免除になる?
配偶者から耐え難いDVを受け別居している場合、国民年金保険料の全額、または一部が免除になるかもしれません。詳しくみてみましょう。
篠原まなみ

執筆者:篠原まなみ(しのはら まなみ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士

外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人、外国人を対象とした起業家支援。
自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。

ドメスティック・バイオレンス(DV)とは

ドメスティク・バイオレンス(家庭内暴力)は、身体に対するものだけではなく、精神的なものや性的なものも含みます。
 
これらの暴力は、単独で起きることもありますが、多くの場合は、重なって起こります(※1)。 
 
令和2年度(平成2年4月1日~令和3年3月31日)の、全国 296カ所の配偶者暴力相談支援センターにおける相談実人員(同じ人の相談は、何度相談してきても1とした場合の相談者数)は、8万579人で、男女の内訳は、女性が7万8054人に対して、男性は2525人です。
 
このように女性の相談が97%以上と圧倒的に多い現状があります。
 

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国民年金保険

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人で、厚生年金保険に加入していない人は、すべて国民年金の第1号被保険者、または第3号被保険者です。
 
保険料を納めることは、国民としての義務であり、国民年金保険料を納めることにより、将来国民年金(老齢基礎年金)がもらえます。
 
第1号被保険者は、自営業者・農業者・漁業者、学生および無職の人とその配偶者で、第2、3号被保険者以外の人が対象です。
 
国民年金の保険料は、本人、または保険料連帯納付義務者である世帯主・配偶者のいずれかが、個別に収める必要があります。
 
第3号被保険者は、厚生年金保険や共済組合などに加入している会社員や公務員に扶養されている配偶者で、原則として年収が130万円未満の人が対象です。
 
保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担をするので、個別に収める必要はありません。保険料は、1ヶ月あたり1万6590円(令和4年度)です。
 
国民年金は、65歳から受給できますが、20歳から60歳まで40年間(480ヶ月)保険料を全額納めた人は、1ヶ月6万4816円(平成4年度)受け取ることができます。
 

国民年金保険料の全額、一部免除

国民年金保険料を納めることは、国民の義務ではありますが、保険料を納めるのが困難な場合に、国民年金の保険料の免除、納付猶予の制度があります。
 
配偶者からの暴力(DV)により配偶者と住所を別にした場合は、特例免除制度を利用できます。
 
この場合は、DV被害者の前年所得が一定以下であれば(※2)、加害配偶者の所得にかかわらず手続きをすることにより、保険料の全額または一部が免除になります。DV被害者の前年所得により、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除になります。
 
申請をしないと、未納の期間は年金をまったく受け取れませんが、申請をすることで免除になった期間でも(保険料を全額納付したときと比べて、将来の年金は少なくなりますが)、年金を受け取ることができます。
 
例えば、全額免除の期間は、保険料を納めなくても年金額の2分の1が保証されます。
 
相談をしたい場合は、婦人相談所(※3)や配偶者暴力相談支援センター(※4)にまず連絡をしてください。また、日本年金機構のホームページ(※5)を参考にしてください。
 
(※2)DV被害者本人のほか、別居先の世帯主(父母等の第三者)が所得審査の対象となる場合があります。
 

まとめ

特例免除制度を受けるには、申請時点で2年1ヶ月前までの申請ができます。DV加害者の配偶者から逃れて別居し、しばらくは手続きをする余裕がなかった人でも、間に合えば申請をして、将来の受取額を少しでも増やすようにしましょう。
 
国民年金を納付せず、免除も受けない場合には、将来の年金額に負の影響があるだけでなく、自分が病気や事故で障害が残ったときの障害基礎年金や、遺族が遺族基礎年金を受け取ることができない恐れがあります。
 
免除となる期間は、毎年7月から翌年6月までで、申請および住居に関する申し出は毎年必要ですので、忘れないようにしましょう。
 

出典

(※1)内閣府 男女共同参画局 配偶者からの暴力被害者支援情報 ドメスティック・バイオレンス(DV)とは
(※3)内閣府 男女共同参画局 配偶者からの暴力被害者支援情報 婦人相談所
(※4)内閣府 男女共同参画局 配偶者からの暴力被害者支援情報 配偶者暴力相談支援センター
(※5)日本年金機構 配偶者からの暴力を受けた方の国民年金保険料の特例免除について
 
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、宅地建物取引士、第一種証券外務員、内部管理責任者

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