更新日: 2022.05.06 その他年金

年金を受け取る前に夫が亡くなった。どのような手続きが必要?

執筆者 : 新井智美

年金を受け取る前に夫が亡くなった。どのような手続きが必要?
年金保険に加入している夫が年金を受け取る前に亡くなった場合、遺族年金ほか、要件を満たすことで、さまざまな年金を受け取ることができます。ただし、受け取る際には手続きが必要です。
 
本記事では、年金を受け取る前に夫が亡くなった場合、どのような年金が受け取れるのか、またその際の手続きについて解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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遺族年金

夫が年金を受け取る前に亡くなった場合、遺族基礎年金もしくは遺族厚生年金を受け取ることができます。
 
ただし、それぞれに要件があり、それを満たす必要があります。
 

■遺族基礎年金

夫死亡時に、生計を一にしている子のある妻もしくは子に対して遺族基礎年金が支払われます。
 
ただし、支給されるのは子どもの年齢が18歳に達した年の最後の3月31日まで(子どもに一定の障害がある場合は20歳に達した年の最後の3月31日まで)です。
 

■遺族厚生年金

厚生年金にも加入していた場合、生計を一にしている妻や子ども、孫などに対して遺族厚生年金が支払われます。
 
ただし、30歳未満で子どものいない妻については5年間の有期給付となっているほか、祖父母の場合は55歳以上であることなど、細かく条件が決まっている点には注意が必要です。
 
また、遺族厚生年金は厚生年金の資格喪失後であっても、厚生年金に加入していたときに初診日がある病気によって、初診日から5年以内に亡くなった際にも支給されます。
 

■遺族年金の請求手続き

遺族基礎年金の場合は、市区町村役場の窓口もしくは年金事務所に「年金請求書(国民年金遺族基礎年金)」を、遺族厚生年金の場合は、年金事務所に「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)」を提出し、手続きを行います。
 
その際には、以下の書類もあわせて提出する必要があります。
 

・亡くなった人の基礎年金番号が分かるもの
・戸籍謄本
・世帯全員の住民票の写し
・亡くなった人の住民票(除票)
・請求者の収入証明書類
・死亡診断書の写しもしくは死亡届の記載事項証明書
・受取先の口座内容がわかるもの、など

 

寡婦年金

国民年金の保険料納付期間が10年以上ある夫が亡くなった場合には、その妻に対し寡婦年金が支給されます。
 
ただし、10年以上の婚姻関係があることが条件で、受け取れるのは60歳から65歳までです。
 

■寡婦年金の請求手続き

寡婦年金を受給する際には、市区町村役場の窓口、もしくは年金事務所に「年金請求書(国民年金寡婦年金)」を提出し、手続きを行います。また、あわせて以下の書類も必要です。
 

・亡くなった人の基礎年金番号が分かるもの
・戸籍謄本
・世帯全員の住民票の写し
・亡くなった方の住民票(除票)
・請求する人の収入確認証類
・受取先の口座内容が分かるもの

など

 

死亡一時金

国民年金の保険料納付期間が3年(36ヶ月)以上ある場合で、老齢基礎年金を受給しないまま亡くなった際には、残された家族に対して死亡一時金が支給されます。
 
ただし、受け取れる遺族に優先順位があること、保険料を納めた月数によって金額が変わるほか、遺族基礎年金および寡婦年金との併給はできない点に注意が必要です。
 

■死亡一時金の請求手続き

死亡一時金を受け取る際には、市区町村役場もしくは年金事務所にて「国民年金死亡一時金請求書」を提出する必要があります。
 
その際には以下の書類も必要ですので、あわせて準備しておきましょう。
 

・亡くなった夫の基礎年金番号が分かるもの
・戸籍謄本
・亡くなった夫の住民票および請求者の世帯全員の住民票(写し)
・一時金を受け取る人の口座内容が分かるもの

 

前納していた国民年金保険料は還付される

もし、亡くなった夫が国民年金の保険料を前納していた場合、死亡日以降の国民年金保険料が還付されます。
 
還付に対する案内は日本年金機構から届きますので、その案内をもとに、市区町村役場の窓口にて手続きを行うようにしてください。
 

まとめ

年金を受け取る前に夫が亡くなった場合には、その人が加入していた年金保険によって、遺族基礎年金や遺族厚生年金、死亡一時金、寡婦年金が支給されます。
 
ただし、これらは請求しないと受け取ることができませんので、必ず請求手続きを行うようにしましょう。
 
また、死亡一時金以外については、請求する人の所得によっては、受給できない可能性もある点には注意が必要です。
 
亡くなった夫の国民年金の加入期間において、遺族基礎年金を受け取るための保険料納付済期間を満たしているのか、未納の有無も確認しておく必要があります。
 
請求手続きには、所定の請求書とあわせて提出が必要な書類が多くありますので、事前に確認し、漏れなく準備しておくことが大切です。
 
亡くなった後は年金関係以外にもさまざまな手続きを行う必要があります。項目ごとに何をしなければならないかをまとめ、1つずつ確実に行っていきましょう。
 

出典

(※1)日本年金機構 遺族に支払われる年金
(※2)日本年金機構 寡婦年金
(※3)日本年金機構 死亡一時金を受け取るとき
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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