更新日: 2022.05.10 国民年金
国民年金を満額に近づけるため60歳から65歳まで任意加入。年金額はいくら増える?
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
将来の年金額や保険料の未納月数を確認
老齢基礎年金は保険料の納付月数により決まる
原則として65歳から受け取れる老齢基礎年金は、20~60歳までの40年間の国民年金保険料の納付月数などによって、下式のとおり年金額が計算されます。
老齢基礎年金額(年額)=77万7800円(令和4年度の満額)×保険料納付済月数(注)÷480月
(注)保険料の免除を受けた期間がある方は、免除された割合に応じて保険料納付済月数が調整されます。
保険料納付済月数とは
老齢基礎年金の算定で使用される保険料納付済月数には、20~60歳までの以下の期間が含まれます。
(1)国民年金保険料を納付した期間
(2)保険料の納付の免除や猶予を受けた期間について、後から保険料を納付(追納)した期間
(3)厚生年金の被保険者(第2号被保険者)、および被扶養配偶者(第3号被保険者)の期間
「ねんきん定期便」で老齢基礎年金の見込額を確認
毎年の誕生月に送付される「ねんきん定期便」には、50歳以上の方の場合、現在の働き方を続けたと仮定して65歳から受け取れることが見込まれる老齢基礎年金の額が記載されています。
したがって、50歳以上の方が令和3年度中に受け取った「ねんきん定期便」の老齢基礎年金の見込額が、令和3年度の満額である78万900円(令和4年度に受け取る「ねんきん定期便」では77万7800円)に満たない場合、国民年金保険料の未納期間があることになります。
国民年金保険料未納月数を確認
50歳以上の方が受け取る「ねんきん定期便」に記載されている老齢基礎年金の見込額から、令和3年度における保険料の未納月数を下式により算出することができます。
令和3年度保険料の未納月数=480月-(老齢基礎年金の見込額÷78万900円×480月)
例えば、令和3年度に受け取った「ねんきん定期便」に記載されている老齢基礎年金の見込額が68万3300円の方は下式のとおり、保険料の未納月数が60月となります。
480月-(68万3300円÷78万900円×480月)≒480月-420月=60月
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
国民年金の任意加入制度とは
60歳までに40年の保険料納付済期間がないため、老齢基礎年金を満額で受給できない方が年金額の増額を希望する場合は、60歳以降でも国民年金に任意加入することができます。
国民年金に任意加入するためには、以下のすべての条件を満たす必要があります。
(1)日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
(2)老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
(3)20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
(4)厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
(5)日本国籍を有しない方で、在留資格が以下の「特定活動」での滞在ではない方
●医療滞在または医療滞在者の付添人
●観光、保養等を目的とする長期滞在、または長期滞在者の同行配偶者
60歳以降も国民年金への任意加入を希望される方は、お住まいの市区町村役場の国民年金担当窓口、または最寄りの年金事務所で申込手続きをすることになります。
5年間任意加入するといくら年金額が増える?
国民年金保険料の未納期間が5年以上ある方が、60~65歳になるまでの5年間で任意加入して保険料を納付すると、令和4年度の保険料を基にした場合は、下式のとおり、合計で99万5400円を支払うことになります。
1万6590円(令和4年度の保険料)×60月=99万5400円
5年間の任意加入により上記の保険料を納付することで、下式のように老齢基礎年金を9万7225円増やすことができます。
77万7800円(令和4年度の満額)×60月÷480月=9万7225円
まとめ
老齢基礎年金は、20~60歳までの40年間で保険料を納付すると満額を受け取れます。保険料の未納があり、満額の老齢基礎年金を受け取ることができない方は、60歳以降も国民年金に任意加入して年金を増やすことができます。
保険料の未納がある方は年金受給額を増やすためにも、年金保険料の追納や任意加入を検討してみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 令和3年度「ねんきん定期便」(ハガキ)の見方 50歳以上の方
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 国民年金保険料
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士