厚生年金保険料の納付が免除されるのはどんなとき?
配信日: 2022.05.12
ここでは、厚生年金保険料が免除されるケースについて解説するとともに、収入に応じて厚生年金保険料の負担を調整する仕組みも紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
産休・育休時には厚生年金保険料が免除される
いわゆる産休・育休期間は一般的に給与の支払いがないため「この間の社会保険料は自己負担しなければならないの?」と不安に思う人もいるでしょう。しかし「産前産後休業期間」「育児休業期間」については、厚生年金保険料を含め、社会保険料は原則免除となるため心配はいりません。
また、育児のための時短勤務などで育休明けに報酬が大きく下がった場合、標準報酬月額が改定される「育児休業等終了後の社会保険料の特例」もあります。
産前産後休業期間、育児休業期間の厚生年金保険料が免除される期間や手続き方法、育児休業等終了後の社会保険料の特例を受ける条件などを、以下で詳しく説明します。
産前産後休業期間中
「産前産後休業期間」(産前42日(多胎妊娠は98日)、産後56日のうち、妊娠・出産が理由で仕事を休業した期間)の間は、厚生年金保険料の納付が免除されます。産前産後休業を取得する従業員が勤務先内での手続きをして、勤務先の事業主から日本年金機構に申出書を提出することで免除を受けられるようになります。
また、産前産後休業によって厚生年金保険料が免除された期間は、将来、年金額を計算する際に、保険料納付済期間として扱われます。
育児休業期間中
育児・介護休業法の定めによって満3歳未満の子どもを養育するための育児休業等期間の間も、厚生年金保険料の免除の対象です。育児休業を取得する従業員が勤務先内での手続きをして、勤務先から日本年金機構に届出書が提出されることで免除が適用されます。
また、育児休業等期間で厚生年金保険料が免除された期間は、将来、年金額を計算する際に保険料納付済期間として扱われます。
育児休業等終了後の社会保険料の特例
育児休業等期間の終了直後には、育児などを理由に産休・育休前よりも報酬が下がることは珍しくありません。「育児休業等終了後の社会保険料の特例」は、育休明けに報酬が大きく下がり、実際の報酬と従来の標準報酬月額に大きな差が生じて保険料負担が重くなるのを防ぐために設けられた制度です。
この特例により、育児休業等期間終了時に子どもが3歳未満の場合、毎年1回の定時決定を待たずに標準報酬月額改定の申し出ができます。特例が適用されると、育児休業等終了日翌日を含む月以降3ヶ月間の報酬〔支払基礎日数(給与計算の対象となる日数)が17日(特定適用事業所勤務の短時間労働者は11日)未満の月を除く〕の平均額によって決定した標準報酬月額に、4ヶ月目から改定されます。
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給与が大幅に下がったときは標準報酬月額の随時改訂が適用される
厚生年金保険料は、給与などの報酬額によって決まる標準報酬月額をもとに計算します。標準報酬月額の等級は年に1回の定時決定のタイミングで見直され、収入に見合った保険料に調整される仕組みです。そのため通常時は、収入が減ったからといって厚生年金保険料が免除されることはありません。
その代わりとして、報酬に大幅な増減が生じたときに定時決定を待たずに標準報酬月額が改定される「随時改定」の制度が設けられています。
随時改定が適用されるのは、次の3つをすべて満たす場合です。
・固定的賃金に変動があった
・変動月からの3ヶ月間の報酬の平均月額による標準報酬月額と従来の標準報酬月額に2等級以上の差が生じた
・3ヶ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所勤務の短時間労働者は11日)以上である
このように収入が大きく減った場合も、随時改定によって報酬額と標準報酬月額が大きく解離して保険料負担が重くなりすぎないようになっているのです。
産休・育休中は厚生年金保険料が免除。給与が大幅に下がったときは標準報酬月額の引き下げ
厚生年金保険料は「産前産後休業期間」と「育児休業等期間」に限っては、納付が免除されます。この制度を利用すれば、保険料の負担を心配することなく、出産や育児に専念しやすくなるでしょう。
また、育児休業明けもしくはそれ以外のタイミングで収入が大きく減少した場合、厚生年金保険料の免除はありません。しかし、収入に合わせて早期に保険料が調整される制度があることを覚えておきましょう。
出典
日本年金機構 厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)
日本年金機構 育児休業等終了時報酬月額変更届の提出
日本年金機構 随時改定(月額変更届)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部