配偶者が亡くなったら受給できる場合がある「寡婦年金」と「死亡一時金」。2つはどう違うの?
配信日: 2022.05.12
しかし、この2つは併給することができないため、どちらか一方を選択する必要があります。そのため、寡婦年金と死亡一時金のどちらを選択したほうがよいのかを見極めなければなりません。
本記事では、寡婦年金と死亡一時金の違いや、いくら受給できるのか、受給の注意点などについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
寡婦年金とは
国民年金の第1号被保険者として10年以上、保険料を納付した夫が年金を受け取らずに亡くなった場合に、妻が60歳から65歳になるまでの5年間に支給されるのが寡婦年金です。国民年金保険料の免除期間がある場合は、保険料の納付期間と免除期間を合算して10年以上が受給資格期間となります。
寡婦年金の年金額
夫の老齢基礎年金額の4分の3が寡婦年金額となります。夫が生きていた月の前の月まで、第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての、保険料納付期間と保険料免除期間で計算されます。計算方法は老齢基礎年金の算出と同じです。
寡婦年金が支給される期間
妻が60歳から65歳になるまでの期間、以下のとおりに寡婦年金の支給が開始されます。
・夫の死亡時に60歳以上65歳未満の妻の場合:夫が亡くなった月の翌月から
・夫の死亡時に60歳に達していない妻の場合:60歳になった月の翌月から
寡婦年金が支給停止になるケース
下記いずれかのケースに該当した場合は、寡婦年金の受給権が消滅され支給停止となります。
・妻が65歳になったとき
・妻が死亡したとき
・妻が結婚したとき
・妻が直系姻族または直系姻族以外の人の養子となったとき
・妻が老齢基礎年金の繰上げ受給をしたとき
また、夫の死亡で遺族補償を受ける場合は、死亡日から6年間は寡婦年金が支給停止となります。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
死亡一時金とは?
国民年金の第1号被保険者として3年以上、保険料を納付した人が老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らずに亡くなった場合に、生計を同一にしていた遺族が受けられるのが死亡一時金です。
国民年金保険料の免除期間がある場合は、保険料の納付期間と免除期間(4分の3納付月数は4分の3月・半額納付月数は2分の1月・4分の1納付月数は4分の1月として計算)を合算して3年以上が受給資格期間となります。
死亡一時金を支給できる遺族は下記のなかで優先順位が高い人となります。
1.配偶者
2.子
3.父母
4.孫
5.祖父母
6.兄弟姉妹
また、死亡一時金は死亡日の翌日から2年以内に手続きをしなければ、受給の権利がなくなります。
死亡一時金の支給額
国民年金保険料の納付済期間によって死亡一時金の支給額が決まります。
【図表1】
保険料納付済期間 | 支給額 |
---|---|
3年以上15年未満 | 12万円 |
15年以上20年未満 | 14万5000円 |
20年以上25年未満 | 17万円 |
25年以上30年未満 | 22万円 |
30年以上35年未満 | 27万円 |
35年以上 | 32万円 |
※付加保険料を3年以上納めた人は、死亡一時金に8500円が加算されます。
出典:平塚市 寡婦年金と死亡一時金
寡婦年金と死亡一時金の気をつけるべき点
配偶者が亡くなった場合に妻が受け取れる寡婦年金と、家族が亡くなった場合に遺族が受け取れる死亡一時金で注意すべき点について解説します。
・寡婦年金と死亡一時金は併給できない
寡婦年金と死亡一時金の2つの受給資格がある場合は、どちらか一方を選択することとなります。
・寡婦年金と他の年金は併給できない
特別支給の老齢厚生(退職共済)年金・障害基礎厚生年金・障害基礎共済年金・遺族厚生年金・遺族基礎共済年金などの年金と、寡婦年金は併給できません。
・損害賠償を受けた場合
事故発生日から寡婦年金は一定期間停止します。
・損害賠償金を受け取った後に寡婦年金の受け取りが始まる場合:支給停止期間が終了するまで支給停止
・寡婦年金の受け取りが始まった後に損害賠償金を受け取った場合:損害賠償金の受け取りから支給停止期間が終了するまで支給停止。その後は受け取った寡婦年金の額に達するまで寡婦年金は半額
調整による支給停止期間は最長3年です。また、損害賠償金のうち慰謝料や医療費などは支給停止される金額に含まれません。
寡婦年金と死亡一時金の違いを理解して選択しよう
寡婦年金と死亡一時金は、配偶者の死亡によって支給される点は同じですが、この2つの受給要件は異なり併給することはできません。寡婦年金は配偶者が死亡した場合に妻が受給できる年金です。一方、死亡一時金は家族が死亡した場合に遺族が受給できる年金となります。
寡婦年金と死亡一時金は受給される金額が異なりますので、どちらを受け取るほうがよいのかを見極めて選択しましょう。
出典
日本年金機構 寡婦年金
日本年金機構 死亡一時金
厚生労働省 死亡一時金、寡婦年金 お手続きガイド
平塚市 寡婦年金と死亡一時金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部