更新日: 2022.05.14 その他年金
年金を繰上げ受給して失敗する人の共通点とは?
ただし、それはあくまでも原則であり、タイミングを繰り上げる制度があります。早く受け取れることはメリットですが、一方でデメリットも存在するので注意しましょう。
そこで本記事では、年金の繰上げ受給で失敗する人に、どのような共通点があるのか紹介していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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トータルの年金額が減少する場合がある
繰上げ受給の制度を利用すれば、最短で60歳から年金を受け取れます。早期退職などにより、65歳未満で収入がなくなる場合には、魅力的に感じられるでしょう。年金以外の収入源がある人でも、将来的に年金の支給開始時期が遅くなる可能性を考え、この制度に興味を持つケースもあります。
いずれにせよ、早く受け取れる代わりに、支給される金額が減ってしまうリスクを理解しておくことが大事です。減額される割合については、制度の手続きを済ませた年齢ごとに定められています。
例えば、60歳0ヶ月の人は30%(昭和37年4月2日以降生まれの場合は24%)、60歳11ヶ月の人は24.5%(昭和37年4月2日以降生まれの場合は19.6%)を引かれた年金が支給されます。それが生涯にわたって続き、減額率を途中で変更する手段は存在しません。
そのため、65歳になって受け取り始めるよりも、トータルの年金額が少なくなる可能性もあります。受給を始めてからそれに気付き、長生きを想定していなかったことが原因で、失敗したと感じる人もいるのです。
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ほかの年金の受給資格を失効することも
老齢基礎年金と老齢厚生年金以外にも年金は存在します。それらを受け取る権利がなくなることも、繰上げ受給をして失敗する人に見られる特徴の一つです。
例えば、夫が亡くなった妻を対象とする寡婦年金も、繰上げ受給の請求をした日から対象外になります。10年以上の継続的な婚姻関係があるなど、寡婦年金の受給要件をすべて満たしていても受け取れません。
また、障害基礎年金も同様であり、それらを受給する権利自体が失効してしまうのです。治療中の病気やリハビリ中のケガがある人は、特に気を付ける必要があります。
繰上げ受給をすると、遺族共済年金や遺族厚生年金などを支給してもらうことも、不可能です。いずれかを選択しなければならず、すべて受け取れると勘違いしている人は、収支の計画が大きく狂いかねません。
年金の任意加入ができなくなる
繰上げ受給の失敗として、国民年金の任意加入が不可能になることも挙げられます。老齢基礎年金の納付期間が40年に満たない場合、支給のスタートが65歳でも満額を受け取れません。しかし、これには救済措置が設けられており、60歳以降でも任意加入することで納付期間をのばせます。
一般的には60歳で加入期間は終わりますが、足りない分を引き続き納められるという制度です。若い頃に資金不足で納付できなかった人や、忙しくて納め忘れていた人などに利用されています。
ただし、繰上げ受給を開始すると、任意加入の対象外になってしまうのです。早めに受給を始めて納付も並行していく、という考えは通用しないということです。
繰上げ受給は失敗のパターンを踏まえて検討しよう!
年金の繰上げ受給を検討するとき、メリットにばかり目を向けるのはよくありません。申請しない方が、自分にとって有利なケースもあります。具体的なデメリットを理解して、長期的な視点で慎重に考えることが重要です。
上述のような失敗のパターンを事前に知っていると、繰上げ受給がもたらすリスクを回避しやすくなるでしょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年寡婦年金
日本年金機構 任意加入制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部