更新日: 2022.05.13 厚生年金

65歳以前に厚生年金がもらえるのはどんな人? 自分が対象なのか確認する方法とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

65歳以前に厚生年金がもらえるのはどんな人? 自分が対象なのか確認する方法とは?
65歳より早くもらえる厚生年金があると聞いて、自分が対象かどうか気になっている人もいるでしょう。老齢厚生年金には、ある期間に生まれた人を対象に65歳前に支給される「特別支給の老齢厚生年金」という制度があります。
 
ここでは、特別支給の老齢厚生年金についての概要や対象者の範囲、自分が対象かどうかを確認する方法をまとめました。自分が受給の要件に当てはまるかどうか、早速チェックしてみましょう。
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65歳未満の人に支給される「特別支給の老齢厚生年金」とは

 
「特別支給の老齢厚生年金」は、特定の期間に生まれた人を対象に、65歳よりも早い時期に支給される老齢年金です。
 
1985年に法律が改正され、老齢厚生年金の受給開始年齢がそれまでの60歳から65歳に、段階を追って引き上げられることになりました。この受給開始年齢の移行をスムーズにするために設けられたのが、特別支給の老齢厚生年金です。
 
特別支給の老齢厚生年金には、現役時の収入と加入期間をもとに決まる「報酬比例部分」と、生年月日と加入期間で決まる「定額部分」があります。ただし、それぞれ段階的に受給開始年齢が引き上げられてきた結果、2013年より定額部分はすでに廃止されています。
 

特別支給の老齢厚生年金を受給できる人と生年月日別の受給開始年齢

 
特別支給の老齢厚生年金を受給できるのは、次の要件を満たしている人です。

●老齢基礎年金の受給資格期間(公的年金の加入期間10年)を満たしている
●厚生年金の加入期間が1年以上ある
●次の期間に生まれた人 男性:1961年4月1日以前、女性:1966年4月1日以前
●生年月日に応じた受給開始年齢に達している

また、特別支給の老齢年金の受給開始年齢は、図表1のとおりです。ただし、厚生年金保険の被保険者期間が44年以上の人、障害状態にある人、坑内員・船員の期間が15年以上ある人の例外があります。
 
図表1 「特別支給の老齢厚生年金」の受給開始年齢

 

生年月日 受給開始年齢
男性 1941年4月1日以前 報酬比例部分:60歳
定額部分:60歳
女性 1946年4月1日以前
男性 1941年4月2日~1943年4月1日 報酬比例部分:60歳
定額部分:61歳
女性 1946年4月2日~1948年4月1日
男性 1943年4月2日~1945年4月1日 報酬比例部分:60歳
定額部分:62歳
女性 1948年4月2日~1950年4月1日
男性 1945年4月2日~1947年4月1日 報酬比例部分:60歳
定額部分:63歳
女性 1950年4月2日~1952年4月1日
男性 1947年4月2日~1949年4月1日 報酬比例部分:60歳
定額部分:64歳
女性 1952年4月2日~1954年4月1日
男性 1949年4月2日~1953年4月1日 報酬比例部分:60歳
定額部分:支給なし
女性 1954年4月2日~1958年4月1日
男性 1953年4月2日~1955年4月1日 報酬比例部分:61歳
定額部分:支給なし
女性 1958年4月2日~1960年4月1日
男性 1955年4月2日~1957年4月1日 報酬比例部分:62歳
定額部分:支給なし
女性 1960年4月2日~1962年4月1日
男性 1957年4月2日~1959年4月1日 報酬比例部分:63歳
定額部分:支給なし
女性 1962年4月2日~1964年4月1日
男性 1959年4月2日~1961年4月1日 報酬比例部分:64歳
定額部分:支給なし
女性 1964年4月2日~1966年4月1日

出典:日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金 より筆者作成
 
例えば令和4年度には、同年度に受給開始年齢の62歳を迎える1960年4月2日~1961年4月1日生まれの女性が新たに受給資格を得ることとなります。
      

特別支給の老齢厚生年金の対象かどうかを確認する方法

 
特別支給の老齢厚生年金の対象者かどうかは、生年月日で確認ができるほか、毎年届く「ねんきん定期便」に記載があるかどうかでも確認できるようになります。
 
50歳以上のねんきん定期便の「老齢年金の種類と見込額(年額)」の項目には、特別支給の老齢厚生年金の欄があります。特別支給の老齢厚生年金について対象の場合は、加入していた厚生年金の種類別に、特別支給の老齢厚生年金の見込額が表示されるため、表示の有無で対象かどうかの判別が可能です。
 
また、特別支給の老齢厚生年金の対象者には、受給開始年齢に達する3ヶ月前に「年金請求書(事前送付用)」が送付されます。年金請求書が送られてくるかどうかでも、特別支給の老齢厚生年金の対象者かどうかを判断できます。
 
なお、特別支給の老齢厚生年金の受給を開始するには、年金請求書の提出が必要です。年金請求書に必要事項を記入および添付書類を準備して、受給開始年齢の誕生日の前日以降に提出します。
    

請求手続きは忘れないように

 
自分が特別支給の老齢厚生年金の対象かどうかは、50歳以上になるとねんきん定期便を見れば分かるようになります。ねんきん定期便では特別支給の老齢年金の見込額も確認できるため、あわせてチェックしましょう。
 
また、受給開始年齢が近づくと、年金請求書(事前送付用)が届きます。年金請求書が届けば特別支給の老齢厚生年金の対象者であることは間違いないため、忘れずに請求手続きを行いましょう。
 

出典

日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金にある「報酬比例部分」、「定額部分」とは何ですか。
日本年金機構 さ行 受給資格期間
日本年金機構 「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)
日本年金機構 令和4年度「ねんきん定期便」(ハガキ)の見方 50歳以上の方
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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