更新日: 2022.05.18 国民年金

ねんきん定期便の「年金見込額」と実際の年金額にどのくらい違いがある? 記載されていない項目とは?

ねんきん定期便の「年金見込額」と実際の年金額にどのくらい違いがある? 記載されていない項目とは?
あらかじめ「ねんきん定期便」で見込み額を確認している・試算しているという人もいらっしゃるでしょう。
 
では、実際に受け取れる年金額と見込み額に、どれくらいの違いがあるのでしょうか? また、「ねんきん定期便」に記載されていない項目には、どういうものがあるのでしょうか?
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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「ねんきん定期便」でどのようなことが分かる?

「ねんきん定期便」は、将来、受け取れる年金額を知る手がかりとなる資料のうちの1つです。そのため、年金見込み額を確認して、セカンドライフをイメージしながらライフプランを立てたり、調整したりする人もいるのではないでしょうか。
 
とはいえ、実際に年金を受け取るときに年金額を確認してみると、あらかじめ確認していた年金見込み額よりも少ない、ということがあります。どうして、そのようなことが起こるのでしょうか? まずは「ねんきん定期便」そのものの仕組みを理解しておく必要があります。
 
「ねんきん定期便」では、50歳未満と50歳以上で記載されている内容が異なっています。違いは、以下のとおりです。
 

50歳未満:これまでに加入していた実績をもとに計算していくが、今後の見込み額は含まれていない。
 
50歳以上:現在と同じ給与水準で60歳まで働いたと仮定して見込み額を計算する。

 
つまり、50歳未満で「ねんきん定期便」を確認した場合には、それまでの加入実績のみであり、今後の見込み額は含まれていないため、この先も保険料を納め続けていけば、受け取れる年金額は増えることになります。
 
50歳以上のねんきん定期便に記載の金額は、あくまでも現在と同じ給与水準で働き続けた場合の見込金額となっています。50歳以降に働き方の変化や給与の見直しなどが行われたときには、見込み額よりも増えたり減ったりすることになるのです。
 
また、加入期間も受取額に影響します。
 
老齢年金の受給基準を満たすためには、120ヶ月(5年)以上の加入が必要であり、遺族年金の受給基準を満たすためには、300ヶ月(25年)以上の加入が必要です。ただし、遺族年金は条件によって、300ヶ月(25年)以上を満たさなくても受給できる場合があります。
 

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「ねんきん定期便」に載っていない項目

人によっては、「ねんきん定期便」に反映されない年金が存在しています。例えば、それまで勤務していた企業を辞めた場合です。
 
その企業が運営していた厚生年金基金から脱退しなければなりません。納めた実績はなくなるわけではありませんが、年金基金から脱退したことにより、年金資産が企業年金連合会へ引き継がれます。将来、年金として受け取ることはできますが、50歳以上の定期便には載っていません。
 
また、年下の妻がいる場合には、配偶者が65歳になるまでは加給年金が厚生年金に上乗せされることになっていますが、これも載っていません。加給年金は65歳になると配偶者に振替加算され、生涯給付されることになっていますが、記載されません。
 
そのほか、確定拠出年金などの企業年金、配偶者の年金も記載されていません。
 

~「ねんきん定期便」に記載されていない項目~

・加給年金、振替加算、企業年金、配偶者の年金

 
※企業年金は国民年金基金の窓口で確認できますし、配偶者の年金は配偶者宛ての「ねんきん定期便」で確認できます。
 

正確な金額は住所地の年金事務所で確認する

便利な「ねんきん定期便」ですが、見込み額として反映されない項目もあるため、どうしても差額が生じてしまいます。より正確な見込み額を知るためには、自分が住んでいる地域の年金事務所で確認するとよいでしょう。
 
また、実際に年金を受け取るときには、税金や社会保険料が差し引かれることになっています。差し引かれるものは、所得税、住民税、介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料です。
 
このため、実際に受け取るときには、年金事務所の見込み額よりも少なくなってしまいます。
 

出典

日本年金機構 年金Q&A(年金見込み額の試算)
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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