年金を繰上げ受給する場合のメリットはどんなものがある? デメリットとあわせて解説

配信日: 2022.05.26

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年金を繰上げ受給する場合のメリットはどんなものがある? デメリットとあわせて解説
老齢年金を最短で60歳0ヶ月から受け取れる「繰上げ受給」の制度に魅力を感じ、利用を検討している人も多いのではないでしょうか。
 
しかし繰上げ受給には、老齢年金を早く受け取れるという利点がある一方で、いくつかのデメリットもあります。ここでは、老齢年金の繰上げ受給の仕組みやメリットを解説するとともに、デメリットもまとめました。
 
メリット・デメリットの両方をチェックして、自分にとって利点があるかどうかを検討してみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

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年金の繰上げ受給の仕組み

年金の繰上げ受給とは、原則65歳から受け取りが開始する老齢基礎年金・老齢厚生年金を、60~65歳になるまでの希望する時期に繰り上げて受給できる制度です。老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として同時に繰り上げなければなりません。
 
繰上げ受給を選択すると、年金を早いうちから受け取れる代わりに、受給を始めるタイミング(繰上げ請求月)に応じた割合が年金から減額されます。一度決まった減額率は生涯変わりません。繰上げ受給で減額される年金の割合は、次の計算式で算出します。
 
減額率(最大24%)= 0.4%(※)×繰上げ請求月から65歳の誕生日前日を含む月の前月までの月数
 
※昭和37年4月1日以前生まれは0.5%(最大30%)
 
例えば、昭和38年生まれの人が62歳0ヶ月から老齢年金を受給開始した場合、減額率は0.4%×45ヶ月=18%となります。
 
このようにして算出した減額率を老齢基礎年金(振替加算を除く)、老齢厚生年金(加給年金を除く)のそれぞれの金額に掛けて求めた金額が、繰上げ受給によって減額される年金額です。
 

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繰上げ受給のメリット

繰上げ受給を選択して年金の受給を早期に開始すると、次のようなメリットがあります。


・65歳までの生活費の不足をカバーできる
・健康なうちに年金を受給できる

例えば60歳で定年を迎えて無収入になり、65歳までの生活費を賄える貯蓄がない人や、定年後の再就職で大幅に減収した人にとって、年金の繰上げ受給によって収入が得られることは、大きな利点でしょう。
 
また、健康上の理由などで「65歳からでは年金をあまり受け取れずに亡くなるかもしれない」という不安を抱える人や、「健康に動けるうちに年金を受け取って好きなことをしたい」という人にとっても、年金を早くから受け取れることが助けになると考えられます。
 

繰上げ受給のデメリット

繰上げ受給の最大のデメリットは、年金が減ってしまう点です。繰上げ受給をすると、同じ年齢まで生きた場合の受給期間は長くなりますが、受給月額が減ることで、年齢によっては、受給総額が65歳以降に受給を開始した場合を下回る可能性があります。
 
仮に60歳0ヶ月に繰り上げて老齢年金を受給すると、80歳10ヶ月を超えた時点で、受給総額が65歳から受給開始した場合を下回り、以降は長生きするほど損失が大きくなる計算です。
 
また、状況によって以下のようなデメリットが生じる可能性もあるため、該当する人が繰上げ受給を選択する際には、十分な注意が必要です。


・ほかの公的年金の受給が制限を受ける
・国民年金の任意加入や追納ができなくなる
・在職老齢年金制度により年金が減額されることがある

老齢年金を繰上げ受給する場合、65歳になるまでは遺族厚生年金や遺族共済年金など、ほかの年金との併給ができません。また、寡婦年金の受給権がなくなる、障害年金の請求がなくなるなどの影響もあります。
 
また、繰上げ受給をすると、老齢基礎年金の受給資格を満たしていない人や、納付済期間が満期に満たない人が、60歳以降も国民年金に加入できる「任意加入制度」が利用できなくなります。保険料の追納もできなくなるため、繰上げ請求をする前に保険料納付状況を確認しましょう。
 
60歳以降も厚生年金に加入して働いている人は、働いて得た報酬と年金額の合計が一定額を超えると年金が減額(支給停止)される、「在職老齢年金制度」にも注意しましょう。
 
年金を繰上げ受給すると、報酬との合計が基準額を超える見込みの場合は、繰上げ受給をしてもメリットが得られない可能性があります。
 

繰上げ受給は自身にメリットがあるかをよく考えて選択しよう

老齢年金の繰上げ受給には、年金を早期に受け取れることで、生活費の不足をカバーできる、健康なうちに長く年金を受け取れるなどのメリットがあります。
 
老後の生活費の備えが十分ではない場合や、健康上の懸念から早めに年金を受け取っておきたい人にとっては、助けとなる制度といえるでしょう。
 
ただし、繰上げ受給をすると、受け取れる年金額が減ることには注意が必要です。また、ほかの公的年金と併給ができない、国民年金の任意加入ができない、在職老齢年金制度による年金減額の対象となる可能性がある、などのデメリットもあります。
 
年金の繰上げ受給を選択する場合は、自分にとって本当にメリットがあるかどうかを慎重に検討することが大切です。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)
日本年金機構 任意加入制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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